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第三章雇われ国王物語
閑話7臣下の心得②
しおりを挟むナツキはフィルベルトがどれだけ優しいか。
そして誰よりも民を思っている事を理解していた。
だからこそ、民を心から思える主君こそ、支えなくてはならない。
優しいだけの君主で夢見がちならば論外だが、世間の厳しさも理解しながらもできる限りの努力と覚悟を持っているならば守る価値は十分だった。
「君主が罠にかけられながらも見ているだけの無能な貴方は最低です」
「そんな酷い…」
「そもそもの原因の貴女に言われたくありません。そのお花畑の頭でしか考えられない馬鹿なら口を挟まないでください」
ナツキはステラが泣きそうになるも容赦がなかった。
「あの方が今も罪悪感に苦しみ、ご自分の価値を見出せない理由が解りますか?」
「それは…」
「環境と間違った庇い方をする貴方の所為でしょう?まぁ、環境が最悪だったのも否めませんが…ここで過度に貴方方が庇えばあの方の立場はどうなりますか」
ナツキは今回の見合いは好機だと思った。
後ろ盾が弱いフィルベルトはまた同じように僻地に飛ばされても同じことの繰り返しだと思った。
「何故もっとあの方を信じようとなさらないのか。あの方は狭い空にいるべきではない」
「ナツキ…お前」
ジェフはナツキの真意に気づく。
彼等を責めながらもナツキは最善の道を考えていた。
「この私を屈服させておいて、ここで消えるなんて許しませんよ」
「ナツキさん、ツンデレですね」
嬉しそうにポッポが笑うも。
「煩いですよ。私は静かに本を読んで好きに過ごそうと思ったんです。ですがあの方が面白いと思ったから一緒に歩こうと思ったんですよ」
「一緒に…」
レクサスの言葉にナツキはあの日の事を思い出す。
「私が正式に採用された日にあの方は仰せでした。着いて来るんじゃなくて一緒に歩いて欲しいと」
「僕にもそうおおせでした」
「何所の世界に下々にそんなことを言う城主がいましょうか」
フィルベルトには足らない部分が多すぎる。
それでも、その足りない部分を差し引いても素質があった。
「あの方には天性のリーダーとしての素質があります。ですが今のままでは宝の持ち腐れです」
「ちょっとナツキさん」
「手始めに利用できる姫君がいます。王位が用意されているので利用させていただきます」
「「「鬼か!」」」
他国とは言えど、一国の姫を利用してしまえと言うなんてどんだけだと思ったが。
「先方は政治能力のない無能な王です。まぁ私の祖国の王ですが…だまくらかすにはちょおうど良いでしょう」
「ナツキ、お前はどれだけ腹が黒いんだ」
少しでも見直したことを心から後悔する一同だった。
そして結果的に話は進んで行った。
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