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第三章雇われ国王物語
閑話8王女の恋
しおりを挟む毎日寝ないで灯がつく部屋を見る。
「まだ寝てないのね」
私も執務があるけど、フィルは誰よりも遅くまで起きて誰よりも早く起きている。
「失礼します」
「貴方は…」
「僕はフィルベルト様の側近のポッポと申します。どうかお休み下ださい」
ハーブティーを用意するポッポに首を振る。
「彼が寝ていないのに寝るわけにはいかないわ」
「ですが姫様も激務だと聞いております。フィルベルト様が心配されて…」
「彼の仕業ね」
「うっ…」
嘘が下手なポッポの顔を見てため息をつく。
「私が夜に眠れないときに好んで飲んでいたお茶。蜂蜜の入ったハーブティー。覚えていたのね…本当に残酷な人」
カモミールはリーシェが一番好きな花だった。
カモミールのお茶と蜂蜜も大好きだった理由はフィルベルトと思い出があるからだ。
「姫様、フィルベルト様は!」
「解っているわ。ちゃんと解っているわよ」
フィルベルトの意図する行動が解らない程リーシェは馬鹿ではなかった。
「姫様はフィルベルト様がお好きですか」
「え?」
ポッポは無礼承知で尋ねるもリーシェは静かに告げた。
「ええ…」
「良かった。僕もです。フィルベルト様が好きです。ですからどうか信じてください」
ポッポの言葉にリーシェは驚く。
偽りの婚約でしかないのにどうしてここまで嬉しそうにするのか。
「僕はフィルベルト様は独身を貫くと言っておられるのを聞いています。でもそれは、ご自分への咎だと贖罪の為だと思うんです」
「そんな…」
「そう言う方です。でもそんなのおかしいと思います」
フィルベルトに幸せになって欲しいと思う者がいても不幸になって欲しい者はこの場にいないのだから。
「僕はあの方に幸せになって欲しい。そして姫様にも」
「何故私なの」
「それは誰よりも国を思い守ろうとされているからです」
国の為に、民の為に己の身さえも犠牲にしている二人だからこそポッポは幸せになるべきだと思った。
「僕はご自分をどうしても卑下されるフィルベルト様にそうじゃないと教えてく挙げられるのは姫様ではないかと思うんです」
「私が?」
「はい、姫様はフィルベルト様の戦友だと聞いています。戦友の貴女なら届くんじゃないかと」
フィルベルトは幼少期の環境もあり自分を卑下位している。
自分の価値をまるで解ってない。
「相変わらずね」
「姫様!僕は…」
「原因はあの性悪令嬢よ」
リーシェはフィルベルトがどうしてこうも自分を卑下している原因を理解していた。
そうならざる得ないように仕組んだのが誰かを。
「私にできることはするわ。形だけでも婚約者だもの」
「姫様はフィルベルト様をご自分に振り向かせようとは思われないのですか」
「十年間したわよ!」
「へ?」
「なのにあの朴念仁!全然気づかないのよ!」
最初こそはしんみりした空気だったが、リーシェだんだん腹が立って来た。
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