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第四章若き王と明日への架け橋
9恋い慕う
しおりを挟む側近の思わぬ恋話に俺は嬉しくなった。
「ナツメとステラか!嬉しいな」
「呑気ね」
「いやぁ、俺も責任を感じていたんだ」
実際ステラは真面目だからきっと気を使わせてしまった。
「そうね?彼女を辺境地に連れて来るほどですものね」
「いや…あれは」
「ステラも貴方を追いかけて来たのだから、当然でしょう」
根に持っているな。
だけどステラは恋の為にすべてを捨てる女の子じゃない。
「解ってるわよ過去の事だって。だけど今後、側室を持たなくてはならないのよ。その時は私の許可なくは許さないから」
「え!」
「何よその顔は…貴方はどうしてこうも自覚がないのよ!」
何で怒るんだ。
普通は逆だと思うんだけど、変に潔いもんな。
「でも俺、君以外娶る気は…」
「甘いわよ。そんな甘い考えで生き残れるの?」
「でも…まだまだ国は落ち着いていないしさ?側妃を迎える余裕は」
貴族社会では愛人を持つのがステータスだがその分お金がかかる。
エリンデール王国は余裕があるわけじゃない。
「だから援助してくれる国の姫君、貴族を迎えるのよ」
「だけどな…」
リーシェ以外を妻に迎えるのは別の意味で無理がある。
なんせ俺は甲斐性がないのだから。
「俺は君と婚約する事を決めたのは義務だけじゃない…君のことが好きだからだ」
今さらだけど。
「俺の感情は世間でいる激しい恋とは違うだろう…だけど俺は君だから今回の契約婚約を受けた。君には幸せになって欲しいから」
「なっ…何言っているの」
「他の誰でも良いならこんな事はしない」
「今ここでいう事じゃないでしょ!」
「今言わないで何時言うんだ。俺は王としての責務は果たす覚悟だ。だけど側妃は取らない」
「貴方ねぇ!」
確かに他国の姫君を妻に迎える事で援助を受けられるだろう。
だけど俺の前世では一夫一妻制だ。
何より俺の産みの母も育ての母も側妃を持たない父を支えていた。
「甘い事を言うけど、俺は君を傷つけたくない」
「この馬鹿!」
「わぁ!」
クッションを投げられ、リーシェは怒ってそのまま部屋を出て行ってしまった。
「リーシェ…」
俺は国王として間違っているのだろうか。
確かにリーシェの気持ちも解る。
だが、下手に他国の姫を妻にすれば政治にも口出しをして国を乗っ取ろうとするだろう。
どちらにしてもリスクが伴うならば、後悔はしたくない。
何より俺は――。
「今さら君が好きだなんて信じて貰えないのか…」
君以外を娶りたくないなんて我儘なのか。
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