白のグリモワールの後継者~婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります!

ユウ

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第一章婚約破棄と白のグリモワール

10お茶会

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豪華絢爛なお菓子と美味しいお茶。
領地ではまず見ることがないお菓子に目を輝かせる。


「存分お召し上がりくださいな」

「ハッ…」

淑女ならばお菓子にがっつくのははしたないと思い我に返る。

「いっ…いえ」

「あら?お嫌いでしたかしら?」

パンパンと手を叩く。


「失礼します」

「ここのお菓子を下げてくださる?」

「え!」

「やっぱり貧相だったかしら?もっと豪華なケーキにしてくださる?宮廷パティシェを今すぐ呼びなさい」

「姫様!いただきます!」

贅沢は敵という考えを持ち食べ物を粗末にするのが嫌いなメアリは急いでリーシアを止める。


見た事がない豪華なお菓子の数々。


「宝石みたい」

「まぁ、メアリ様は普段どんなお菓子を」

「乾パンとか、果物を干した物とか…後は穀物の入ったパンを」


辺境地は食料不足に備えて、長期保存できるようにする。
お菓子はあまり食べる事はないのだった。


「あ、一番のごちそうはコッペパンです!」


「コッぺパンがごちそう…」

「なんと哀れな」

「泣いていいか」


満面の笑みでコッペパンをご馳走という辺境伯爵令嬢。
別にバルセルク家はそこまで貧しいわけではないが、お菓子を質素倹約に過ごしているのだ。

食事自体はきっちり三食食べているが、肉よりも魚が多い。
その理由は民達の生活を最優先としているので自分達が贅沢をするぐらいならば民に食べさせたいと言う思いからだった。


「バルセルク辺境伯爵は率先して移民を受け入れていたな」

「恐らくそれは…」

「メアリ、存分に食べてくれ。僕の分まで」


「え?」

本来なら辺境伯爵家は侯爵家よりも重宝され、辺境地を守る大事な戦力だったが。
だが、辺境地を見下し、宮廷貴族が腐敗している。

辺境地は戦が始まれば困窮する。
国に十分な資金がなければ国王軍にお金が行くが、辺境地を守る彼等に割り当てられるのは僅かだった。


「メアリ様、貴女様は戦場でもそのような…いいえ」

「はい?」


「政治をもっと考えなくてはなりませんわ」

「ああ、辺境貴族に達に甘えていてはダメだ」

王家に忠誠を誓う辺境貴族に甘えすぎている事は以前から解っていたが、今も踏ん張っている彼等に返したいとも思っていた。


「辺境貴族は皆騎士です。王家を守る剣であり盾。皆解ってます」

「メアリ?」

「この国の希望の光を消さないために尽くすのが彼等の勤めです」


メアリの言葉にミカエル達は言葉も出なかった。


「できれば彼等の事を教えてくれないか?僕は彼等をもっと知りたい」

「喜んで」

戦場に出て辺境貴族と共に治癒師として知っている彼の顔をお茶を飲みながら語ったのだった。

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