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6ドワーフの姫と優しき青年~侯爵夫人side
しおりを挟む双方の種族のいがみ合いが続く中、ドワーフに戦争を仕掛け彼らの国を従国にしてしまえばいいと考える馬鹿な国が増え、反ドワーフ同盟が結成された。
けれど、その同盟は三日で壊れた。
ドワーフは見た目こそ小さいが、人間よりも頑丈な体に圧倒的な技術を持ち圧勝だった。
戦争を仕掛けてあっさり敗北する人間側にドワーフは国を滅ぼす真似はしなかったが、人間側はなんとしても彼らの技術が欲しくてあの手この手を使った。
敵国と同盟を組むには王族同士の婚姻が必要になるが、ドワーフと婚姻関係を結ぶことを拒絶した王族は多く、
王族の分家筋に当たる貴族にドワーフの姫を娶らせようと考えたが、その方法が鬼畜外道だった。
愛人に迎えて子供だけ生ませて幽閉するというものだった。
そんな企てをドワーフの姫は見抜いていたのか。
「愚かな…低俗な種族は考えることも低俗か」
大勢の貴族相手に心底軽蔑した目を向けたと伝えられている。
勿論人間側は、武力行使に出たのだが、ドワーフの姫に力でねじ伏せられてしまった。
多くの国が拒絶され続けたころ。
国境内で原因不明の感染病が発生した。
過去にその病で多くの死者を出してしまったのだが人間側はこれ幸いとドワーフの王に交渉を持ちかけた。
薬が欲しいならドワーフの姫を寄越せと。
そうすれば薬を分けてやると。
気位の高いドワーフの姫は断ったが、一人の貴族がその場に現れ薬を差し出した。
感染病の薬となる薬草は魔の森にしか生えていない。
しかも大変貴重であるにも拘わらず青年は無償で差し出した。
「困った時はお互い様です」
何の見返りもなく差し出した青年はそのままその場を去った。
その優しさにドワーフの姫は心を打たれ、人間への敵意を緩めていった。
そしていつしかその青年を愛するようになったが、青年は欲がなく。
ドワーフの姫から何も求めなかった。
高価な剣や鎧は勿論のこと。
宝石も装飾品も何一つとして受け取らない青年は本当に無欲だった。
ただ願ったのは――。
国の為ではなく本当に愛する人を選んでほしい。
そう告げたのだった。
青年はドワーフの姫が政治的に利用されることも自身が利用することも望まなかった。
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