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21.辺境貴族会議~将軍side
しおりを挟む四大貴族の会議にて。
恐ろしい程の怒りと殺気が入り混じっていた。
こうなる事をある程度予想していたが、官僚は真っ青に怯え口を挟む暇もない。
私も四大貴族の一角を担う者ゆえに彼等を抑え込むことはできなかった。
だが当然の事かもしれない。
「今すぐ潰すべきです」
「同感だ」
ここに集結するのは開国前から存在する四大貴族。
彼等はこの国の要でもあり国の守護職就いているがあくまで民を守る事を最優先していたのだが、今回の事で王家にも疑念を感じていた。
「我らを軽んじているからではないか」
一番に怒りを表すのはファミリア辺境伯爵。
「辺境地の聖女を殺そうなどと許しがたい!ユーモレスクの鬼を待たずしても我らで奇襲をかけるべきです。王家も信用ならない!」
「王妃陛下より、チェイス侯爵家は降格させるとのことだ」
「甘い!甘すぎる!」
次に殺意を隠そうとしないのは商人貴族のサンウェルド伯爵。
彼は中立的な立場であるのだが、今回の事件で胸を誰よりも痛めていた。
なんせ彼はセオドールを慕っていた。
三男で跡継ぎでもない彼は冷遇されていた頃に気さくに話しかけたのはセオドールだった。
他にも家庭内事情で色々問題を抱えている。
私も同じだ。
サンチェスト侯爵という立場にあり将軍でもありながら重圧に押しつぶされそうなときに彼にどれだけ助けてもらったか。
ここにいる者はセオドールに恩があり、苦悩を共にした戦友であり運命共同体だ。
我らを敵に回すことの恐ろしさをまるで理解していないようだな。
「しかしここで事を荒げてはならぬ」
「何故だ!アルベール」
「将軍である君が随分と腑抜けたな。王家と形だけの公爵家が怖いのか」
随分と噛みついて来るな。
別に私はあんな連中に後れを取る気はない。
王族の分家筋というだけだ。
「頭を使えと言っているんだ。私達が公に動いてセオドールだけでなくジゼル嬢を苦しめる気か?彼女は隣国の王太子殿下との婚約話を耳にしている」
「何だと!」
「いきなり立ち上がらないでください。ファミリア辺境伯爵」
「しかし、驚くの仕方なかろう」
沈黙を守っていたのはウィリシア女辺境侯爵だった。
「だが、中々見る目があるではないか。実は彼を調べさせたが…幼い頃から一途に慕っていたそうだ」
「何だと!そうだったのか」
本当にゲンキンな男だな。
まぁ、昔からセオドールと親しい奴ゆえに今回の事は決闘を申し込もうとしていたのだろう。
「私としては降格はさせても貴族としての籍を残したまま屈辱を味合わせ社交界で爪はじきに合わせるのが一番と考えている。死ねば良かったと思う程の苦痛を味合わせてな?」
「アルベール…」
「一番怒っているのは侯爵様でしたか」
私達が手を下しても苦しみは一時だ。
それでは割に合わないからな。
だからこそ、奴等には死ぬまで苦しんでもらおう。
手放した者がそれ程素晴らしい宝だったか直々に教えてくれるわ。
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