君の紡ぐ言葉が聴きたい

月内結芽斗

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 新年度が始まって、授業が本格化してきた。今僕たちはグループになって、英語の課題に取り組んでいる。

 英語のクラスの先生は発表をさせることが大好きな人だった。それは去年から噂に聞いていたが、今学期は特進を持つことになるなんて思わなかった。

 今日はネイティブもいる日で、せっかくだからということで、修学旅行でどこに行きたいかを発表しましょうということになった。修学旅行先は、毎年先生たちが決めるのでまだ知らされていないが、せっかく英語の授業なのだし、海外に行く設定でどこがいいかプレゼンしてみてとのことだった。

 僕のグループは四人、宮瀬くんも一緒だった。宮瀬くんが自然とリーダーぽいポジションになるので、僕は書記を担当した。

 何個か挙げられた候補の中から、ハワイを選択し、文化や歴史を簡単に調べていく。

 みんながあげてくれたものをノートにまとめるとあっという間に時間が経った。

「はい、じゃあ各グループ、トム先生に発表お願いしまーす!」

 発表の仕方は完全に生徒に投げられていたので、みんな誰が発表するかと慌ててじゃんけんを始めたり、内容をメモしてないと焦っているようだった。そんななか、宮瀬くんが僕の方に振り返ってきて「ノート借りていい?」と聞いてきた。

 慌ててノートを差し出すと、宮瀬くんはありがとうと微笑んで挙手をした。

「先生、俺たちの班から初めていいですか?」
「はいどうぞ!」

 それから宮瀬くんは僕のノートを見ながら発表を始めた。所々なんと言えばいいかわからないと、トム先生に助けを求めながら、それでも堂々と発表をこなしていく。

 そんな、完璧とまではいかない発表にみんな少し安心したのか、そこからの各グループの発表は、日本語がわかるトム先生との協力プレーで進んでいった。

「はーい、短い時間で充実した時間を過ごせました。拍手!」

 手を叩きながらみんなそれとなく宮瀬くんを称賛する視線を送っていた。そんななか宮瀬くんは僕の方をわざわざ向いて拍手をしてきた。

「宮本がノートにメモしてくれてなかったら発表できなかったよ」
「えっ?」
「宮本が英語と日本語、両方書いてメモしてくれただろ? だから発表できたんだ!」

 僕が聞こえなくて聞き返したと思ったらしい宮瀬くんは、顔を近づけてきて繰り返すと「ありがとう」と続けた。

 頬が熱くなるのを感じて「うん」と誤魔化すように頷くと、離れていった宮瀬くんの唇が淡く笑ったのが視界に映った気がした。

 同じグループの二人も宮瀬くんに続いてありがとうと言ってくれて、恐縮してしまった。
 
 それからも何かと席が前後の宮瀬くんとは同じ班になることが多かった。英語や国語、理科の実験なんかはグループ活動が多くなるので、何かと言葉を交わす機会も多くなった。

 人間は平等であってほしいと考えていた僕だったが、宮瀬くんと接すれば接するだけ、彼の素晴らしさがわかった。彼は僕なんかが自分を守るために考えた「人間平等説」で語ってはいけない存在だった。「宮瀬颯人は特別」、そのことに気づくと、この新説が逆に嬉しくて、宮瀬くんはいつしか僕の憧れの人になっていた。
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