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48.定期報告会①
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そう言いながらナンシーはケラケラと笑っている。でも殿下の噂が流れた経緯を知っている私として笑えない。
思わず遠い目をしてしまう。
…………ナンシー…。
まことしやかに流れているルカディオ殿下の男色疑惑説。その噂が生まれるきっかけを作ったのは目の前の彼女に他ならない。
彼女がここで働き始めてすぐに、彼女の魔力を妬んだ一人の年配の魔術師から陰険な仕打ちを受けたらしい。
そしてナンシーは泣き寝入りするタイプではなかった、壮大な報復しようと計画し、それを事前に察知した殿下に『上が対処するから』と止められた。
それが当たり前の対応だろう。
でも彼女は大人しく頷くだけで終わらなかった。
思いの丈を殿下に遠慮することなくぶつけた…らしい。
それは今や伝説となっている。
『あの時は腹が立って思わず言っちゃったのよねー。王子のくせして婚約者もいないのは男色だからだなバレてるぞって、えへ。
でもあの時に止めてくれなかったら首になっていただろうし、今は悪いことしたなってちょっとだけ反省している』
それから今に至るまで男色疑惑は消えずに残っているのだ。
本当に反省をしているのならこの噂を消してあげたほうが良いだろうと思ってしまう。
「…全力で噂を否定してあげたほうがいいと思うわ」
真面目な顔でそう言ってみる。きっとナンシーは否定しないだろうと思いながらも…。
「えー、今更消えても記憶に残っているから意味ないじゃん。それにもしかしたら自然に消える日も近いかもしれないしねー」
…ちっとも反省はしていないようだ。
だがこれもナンシーらしい、苦笑いしながらそれ以上は言わなかった。
自然に消える日が来ることを祈っておこう。
「それじゃあ行ってくるわ。またねナンシー」
「適当に頑張ってー」
ひらひらと手を振るナンシーに見送られながら私はルカディオ殿下の執務室に向かった。
この国に来てから私はルカ様とは呼ばなくなった。
彼は王族だし、今の私は彼の臣下でもある。
ルカ様は『君と私は友人なのだから』と言ってくれたが、それでは周りに示しがつかない。
だから二人だけの時でしかルカ様とは呼ばないようにしている。
『トントンッ』と扉を叩いてから執務室の中に入るといつものメンバーがすでにそこには揃っていた。
ルカディオ殿下とその側近であるジェイクと数人の魔術師達。
みなの視線が最後に来た私に集まる。
「遅れて申し訳ございません」
一番の下っ端が最後に来るなんてと焦ってしまうが、誰もそんなことを気にしている様子はなかった。
ルカディオ殿下は私に目で座るようにと優しく促してくれる。
私が空いている椅子に座ると、殿下が口を開いた。
「気にすることはない、シシリア。
では始めようか」
殿下の言葉とともに一人の魔術師が立ち上がり報告書を片手にいつものように報告を始めた。
思わず遠い目をしてしまう。
…………ナンシー…。
まことしやかに流れているルカディオ殿下の男色疑惑説。その噂が生まれるきっかけを作ったのは目の前の彼女に他ならない。
彼女がここで働き始めてすぐに、彼女の魔力を妬んだ一人の年配の魔術師から陰険な仕打ちを受けたらしい。
そしてナンシーは泣き寝入りするタイプではなかった、壮大な報復しようと計画し、それを事前に察知した殿下に『上が対処するから』と止められた。
それが当たり前の対応だろう。
でも彼女は大人しく頷くだけで終わらなかった。
思いの丈を殿下に遠慮することなくぶつけた…らしい。
それは今や伝説となっている。
『あの時は腹が立って思わず言っちゃったのよねー。王子のくせして婚約者もいないのは男色だからだなバレてるぞって、えへ。
でもあの時に止めてくれなかったら首になっていただろうし、今は悪いことしたなってちょっとだけ反省している』
それから今に至るまで男色疑惑は消えずに残っているのだ。
本当に反省をしているのならこの噂を消してあげたほうが良いだろうと思ってしまう。
「…全力で噂を否定してあげたほうがいいと思うわ」
真面目な顔でそう言ってみる。きっとナンシーは否定しないだろうと思いながらも…。
「えー、今更消えても記憶に残っているから意味ないじゃん。それにもしかしたら自然に消える日も近いかもしれないしねー」
…ちっとも反省はしていないようだ。
だがこれもナンシーらしい、苦笑いしながらそれ以上は言わなかった。
自然に消える日が来ることを祈っておこう。
「それじゃあ行ってくるわ。またねナンシー」
「適当に頑張ってー」
ひらひらと手を振るナンシーに見送られながら私はルカディオ殿下の執務室に向かった。
この国に来てから私はルカ様とは呼ばなくなった。
彼は王族だし、今の私は彼の臣下でもある。
ルカ様は『君と私は友人なのだから』と言ってくれたが、それでは周りに示しがつかない。
だから二人だけの時でしかルカ様とは呼ばないようにしている。
『トントンッ』と扉を叩いてから執務室の中に入るといつものメンバーがすでにそこには揃っていた。
ルカディオ殿下とその側近であるジェイクと数人の魔術師達。
みなの視線が最後に来た私に集まる。
「遅れて申し訳ございません」
一番の下っ端が最後に来るなんてと焦ってしまうが、誰もそんなことを気にしている様子はなかった。
ルカディオ殿下は私に目で座るようにと優しく促してくれる。
私が空いている椅子に座ると、殿下が口を開いた。
「気にすることはない、シシリア。
では始めようか」
殿下の言葉とともに一人の魔術師が立ち上がり報告書を片手にいつものように報告を始めた。
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