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1.残酷な声
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社交界で絶大な影響力を持っているハリソン侯爵家の夜会には多くの貴族が華やかな衣装を身に纏い参加している。
豪華な料理に贅沢な生演奏、そして賑やかな会話をみなそれぞれ楽しんでいる様はいつもと変わらない。
私も夫であるライアン・リーブス伯爵と一緒にハリソン侯爵夫妻に挨拶を済ませたあとは彼とともに数曲ダンスを踊り、今は乾いた喉を潤しながら休憩をしている。
すると彼の親友でハリソン侯爵家の嫡男であるアーノルドが私達のところにやってきた。
「やあライアン、アリーナ楽しんでいるかい。
少しだけ借りてもいいかな?」
アーノルドがいつものように明るい口調でライアンと私に話し掛けてくるが、後者のセリフは『夫を借りてもいいか』と私に訊ねているものだった。
どうやら男同士の遊びに連れ出したいらしい。
もちろん断る理由はなかった。
私もこのあと友人達とお喋りを楽しみたいと思っていたから。
「ええ勿論ですわ。私も友人達とお喋りを楽しんできますから、どうぞ」
私の返事を聞きライアンは頬に優しく口づけながら『すぐに戻ってくるから、愛してるリーナ』と耳元で囁く。
その姿にアーノルドは『おいおい、いつもながらお熱いな~。ライアン、独占欲丸出しだぞ』とからかいの言葉を口にする。
私は恥ずかしくて顔を真っ赤にして俯くが、夫は動じることなく『愛しているんだからこれくらい当然だろう』と言う。
「はっはっは、仲が良くてなによりだな。だが男同士の付き合いも大切にしろよ、さあ行こうぜ」
「ああ分かった、じゃあリーナちょっとだけ行ってくる。変な奴に声を掛けられても無視しろよ」
「ふふふ、大丈夫よ。ライ、いってらっしゃい」
親友であるアーノルドに連れられライアンは私から離れていく。
何度も振り返っている彼を安心させるように軽く手を振ると、彼も嬉しそうに手を振り返してくれる。
まるで新婚のようなやり取りだが、私達はもう結婚してから五年経っている。
結婚当初はこんな風ではなかった。
私達は政略結婚でそこにお互いの感情はなかった。
二つ年上の彼には学園に在学中から愛する女性がいた。付き合っていたわけではないが、誰もが憧れるその女性に彼が惹かれているのを知らない人はいなかった。
私には特別に想いを寄せる人はいなかったけれども、彼の気持ちは理解できし嫌悪感も抱かなかった。
貴族の婚姻は所詮家の為のもの。
お互いに尊重しあうことは必要だが、愛し合うことは必要不可欠ではない。
婚姻後も常識の範囲内ならお互いに愛人を持つことを受け入れるのが貴族の心得というものだ。
だからお互いに割り切って婚姻を結び、貴族らしい夫婦生活を始めた。
しかし予想外のことが起こった。
穏やかな結婚生活を続けるうちにお互いの間に自然と愛が芽生え、私達はその愛を育み真の意味で夫婦になれた。
私にとって夫が初恋となり、彼にとっては妻である私が真実の相手となった。
お互いに『ライ』『リーナ』と愛称で呼び合い、政略から生まれた愛に私達は永遠を誓う。
政略から始まったのにおとぎ話のような結末を手に入れる。
彼からの愛を疑ったことはないし、私だって誰よりも彼を愛していると言い切れる。
…この愛は揺るがないはずだった。
ライアンと別行動をしていた私は友人とお喋りを楽しんでいたが少し気分が悪くなり、新鮮な空気を吸いに一人でバルコニーに出た。
誰かから声を掛けられるのを避けるために、柱の陰に隠れるようにして休んでいると数人の男性達の声が聞こえてきた。
時折聞こえてくる笑い声から、彼らが酒に酔ってご機嫌な様子なのが分かる。
この場から離れたかったが酒に酔った男性達に絡まれるのが嫌で、彼らがいなくなるまでこの場に留まることにした。
周囲に誰もいないと思っている彼らは声を潜めることもなく、思ったままを口にしている。
「今日も楽しい夜を一緒に過ごせるような美しい未亡人は見つからなかったな…。あーあ、なんで誘っても断らられるんだ?」
「馬鹿だな、お前なんかがそんなに上手く行くわけないだろう。」
「美しい人に夜のお相手を頼むんだったら、もっと閨の技術を磨いてからにしろよ。そうしないと恥をかくだけだぞ、はっはっは~」
男同士の明け透けな会話は続く。聞くつもりはないが彼らの声が耳に入ってくるのを止めることは出来ない。
「そういえば、今度カトリーナ・ガザンが帰国してくるらしいぞ、知っているか?
夫であるとガザン侯爵が外交官として隣国に赴任していたから一緒に行っていたのは知っているだろう。どうやら夫が愛人を作って子供まで産ませたらしい。それを知った彼女は当然のごとく傷ついて夫を責め立て夫婦関係が上手くいかなくなったようで、一人でこちらに戻ってくることになったってさっき聞いたんだ」
『カトリーナ』という名を聞き心臓の鼓動が早まる。
彼女は夫の同級生で学園に在学中多くの男子生徒から女神のようだと持て囃され、女子生徒からは淑女の鏡として目標にされるような人だった。
社交界でも『麗しの黒薔薇』と言われ羨望の的だった。
私なんかでは足元にも及ばないそんな素敵な人。
そして夫も彼女に恋い焦がれ、結婚当初はまだその想いを大切に胸に仕舞っていた。
『夫の昔の想い人』であるカトリーナの帰国に心が揺れる。
彼がこのことを知ったらどう思うだろう。
懐かしいと思うのか、それともかつて抱いた想いを思い出すのか。
できれば何も感じないで欲しい、気にも留めないで欲しい。
そう願うのは妻として当然だろう。
もう何年も会ってもいないわ。
ただ知り合いが帰ってくるだけよ。
彼は今更きっとなにも思わない。
だって今は私だけを愛してくれているから。
そうよ、何も気にすることなんてないわ。
変に気にしちゃ駄目…。
少しでも疑うような感情を抱いてしまった自分に呆れてしまう。自分がこんなにも嫉妬深いなんて知らなかった。
淑女ならば夫の愛人に寛容でなければならないのは分かっている。でも今は受けいれられない自分がいる。
…それは愛を知ってしまったから。
淑女としては失格でもこんなにも夫を愛している自分が誇らしい。
貴族なのに純粋に夫を愛せるなんてこんなに幸せなことはないだろう。
そんな風に思っていると知っている声が耳に入ってきた。
「我らの女神、カトリーナが傷心で帰ってくるなんて胸が痛くなるよ。その心を慰め射止める幸運な奴は誰だろうな~」
少しおどけた調子で話す声はアーノルドのものだった。
彼の言葉に数人が『俺が慰めよう』と名乗りを上げる、その中に知っている声はない。
「はっはっ、お前達じゃ駄目だな。女神は振り向いてさえくれないさ。
そうだライアン、お前はどうだ?
あんなにも女神を好きだったじゃないか。
傷ついた心を癒やしてあげろよ。
今だって変わらずに愛しているんだろう?」
いきなり出て来た夫の名に衝撃を受ける。
まさかこの場に彼もいるとは思っていなかった。
何も答えないライアンに周りは煽るような言葉を掛ける。
「そういえば女神も在学中はライアンのことまんざらでもないって感じだったな。同じ生徒会で仲良かったじゃないか。こんな機会は二度とないぞ、勇気を出してみろよ」
「貴族は愛人を持つことは許されているんだ。妻を大切にするのもいいが、政略で結ばれた妻だけの人生なんて味気ないぞ。もっと楽しめ!」
挑発的な言葉が続くが、その馬鹿げた提案に夫が乗らないのに安堵する。
やはり彼は私を愛しているから…と思っていると私の耳が彼の声が捉えた。
「…そうだな、傷ついた彼女を慰めるのは、人として間違ってはいないな」
誰かに言い訳をするように呟くライアンに周りは盛り上がる。
「そうだ、傷ついた女性に親切にするのは当然だ。それが紳士ってもんだろう!」
「それが愛する女性なら尚更見捨ててはおけないからな、なあライアン?」
「…まあ…助けてあげなくてはいけないな」
『愛する女性なら』という言葉が私の心を掻き乱す。
夫はそれを否定してくれない。
更に親友であるアーノルドの残酷な言葉が続く。
「ライアン、すっと抱えていた秘めたる想いを今度こそ叶えてみろ。頑張れよ!」
「あ、ああ…そうだな」
短い返事だがそれは肯定の言葉だった。
彼は昔カトリーナを愛していた、それは知っている。でも今も変わらずに愛し続けていることは知らなかった。
…彼はずっと『秘めたる想い』を大切にしていた。
つまり…それは…私のことは愛してはいなかったということ。
愛する夫の本心は私にとって酷く残酷なものだった。
豪華な料理に贅沢な生演奏、そして賑やかな会話をみなそれぞれ楽しんでいる様はいつもと変わらない。
私も夫であるライアン・リーブス伯爵と一緒にハリソン侯爵夫妻に挨拶を済ませたあとは彼とともに数曲ダンスを踊り、今は乾いた喉を潤しながら休憩をしている。
すると彼の親友でハリソン侯爵家の嫡男であるアーノルドが私達のところにやってきた。
「やあライアン、アリーナ楽しんでいるかい。
少しだけ借りてもいいかな?」
アーノルドがいつものように明るい口調でライアンと私に話し掛けてくるが、後者のセリフは『夫を借りてもいいか』と私に訊ねているものだった。
どうやら男同士の遊びに連れ出したいらしい。
もちろん断る理由はなかった。
私もこのあと友人達とお喋りを楽しみたいと思っていたから。
「ええ勿論ですわ。私も友人達とお喋りを楽しんできますから、どうぞ」
私の返事を聞きライアンは頬に優しく口づけながら『すぐに戻ってくるから、愛してるリーナ』と耳元で囁く。
その姿にアーノルドは『おいおい、いつもながらお熱いな~。ライアン、独占欲丸出しだぞ』とからかいの言葉を口にする。
私は恥ずかしくて顔を真っ赤にして俯くが、夫は動じることなく『愛しているんだからこれくらい当然だろう』と言う。
「はっはっは、仲が良くてなによりだな。だが男同士の付き合いも大切にしろよ、さあ行こうぜ」
「ああ分かった、じゃあリーナちょっとだけ行ってくる。変な奴に声を掛けられても無視しろよ」
「ふふふ、大丈夫よ。ライ、いってらっしゃい」
親友であるアーノルドに連れられライアンは私から離れていく。
何度も振り返っている彼を安心させるように軽く手を振ると、彼も嬉しそうに手を振り返してくれる。
まるで新婚のようなやり取りだが、私達はもう結婚してから五年経っている。
結婚当初はこんな風ではなかった。
私達は政略結婚でそこにお互いの感情はなかった。
二つ年上の彼には学園に在学中から愛する女性がいた。付き合っていたわけではないが、誰もが憧れるその女性に彼が惹かれているのを知らない人はいなかった。
私には特別に想いを寄せる人はいなかったけれども、彼の気持ちは理解できし嫌悪感も抱かなかった。
貴族の婚姻は所詮家の為のもの。
お互いに尊重しあうことは必要だが、愛し合うことは必要不可欠ではない。
婚姻後も常識の範囲内ならお互いに愛人を持つことを受け入れるのが貴族の心得というものだ。
だからお互いに割り切って婚姻を結び、貴族らしい夫婦生活を始めた。
しかし予想外のことが起こった。
穏やかな結婚生活を続けるうちにお互いの間に自然と愛が芽生え、私達はその愛を育み真の意味で夫婦になれた。
私にとって夫が初恋となり、彼にとっては妻である私が真実の相手となった。
お互いに『ライ』『リーナ』と愛称で呼び合い、政略から生まれた愛に私達は永遠を誓う。
政略から始まったのにおとぎ話のような結末を手に入れる。
彼からの愛を疑ったことはないし、私だって誰よりも彼を愛していると言い切れる。
…この愛は揺るがないはずだった。
ライアンと別行動をしていた私は友人とお喋りを楽しんでいたが少し気分が悪くなり、新鮮な空気を吸いに一人でバルコニーに出た。
誰かから声を掛けられるのを避けるために、柱の陰に隠れるようにして休んでいると数人の男性達の声が聞こえてきた。
時折聞こえてくる笑い声から、彼らが酒に酔ってご機嫌な様子なのが分かる。
この場から離れたかったが酒に酔った男性達に絡まれるのが嫌で、彼らがいなくなるまでこの場に留まることにした。
周囲に誰もいないと思っている彼らは声を潜めることもなく、思ったままを口にしている。
「今日も楽しい夜を一緒に過ごせるような美しい未亡人は見つからなかったな…。あーあ、なんで誘っても断らられるんだ?」
「馬鹿だな、お前なんかがそんなに上手く行くわけないだろう。」
「美しい人に夜のお相手を頼むんだったら、もっと閨の技術を磨いてからにしろよ。そうしないと恥をかくだけだぞ、はっはっは~」
男同士の明け透けな会話は続く。聞くつもりはないが彼らの声が耳に入ってくるのを止めることは出来ない。
「そういえば、今度カトリーナ・ガザンが帰国してくるらしいぞ、知っているか?
夫であるとガザン侯爵が外交官として隣国に赴任していたから一緒に行っていたのは知っているだろう。どうやら夫が愛人を作って子供まで産ませたらしい。それを知った彼女は当然のごとく傷ついて夫を責め立て夫婦関係が上手くいかなくなったようで、一人でこちらに戻ってくることになったってさっき聞いたんだ」
『カトリーナ』という名を聞き心臓の鼓動が早まる。
彼女は夫の同級生で学園に在学中多くの男子生徒から女神のようだと持て囃され、女子生徒からは淑女の鏡として目標にされるような人だった。
社交界でも『麗しの黒薔薇』と言われ羨望の的だった。
私なんかでは足元にも及ばないそんな素敵な人。
そして夫も彼女に恋い焦がれ、結婚当初はまだその想いを大切に胸に仕舞っていた。
『夫の昔の想い人』であるカトリーナの帰国に心が揺れる。
彼がこのことを知ったらどう思うだろう。
懐かしいと思うのか、それともかつて抱いた想いを思い出すのか。
できれば何も感じないで欲しい、気にも留めないで欲しい。
そう願うのは妻として当然だろう。
もう何年も会ってもいないわ。
ただ知り合いが帰ってくるだけよ。
彼は今更きっとなにも思わない。
だって今は私だけを愛してくれているから。
そうよ、何も気にすることなんてないわ。
変に気にしちゃ駄目…。
少しでも疑うような感情を抱いてしまった自分に呆れてしまう。自分がこんなにも嫉妬深いなんて知らなかった。
淑女ならば夫の愛人に寛容でなければならないのは分かっている。でも今は受けいれられない自分がいる。
…それは愛を知ってしまったから。
淑女としては失格でもこんなにも夫を愛している自分が誇らしい。
貴族なのに純粋に夫を愛せるなんてこんなに幸せなことはないだろう。
そんな風に思っていると知っている声が耳に入ってきた。
「我らの女神、カトリーナが傷心で帰ってくるなんて胸が痛くなるよ。その心を慰め射止める幸運な奴は誰だろうな~」
少しおどけた調子で話す声はアーノルドのものだった。
彼の言葉に数人が『俺が慰めよう』と名乗りを上げる、その中に知っている声はない。
「はっはっ、お前達じゃ駄目だな。女神は振り向いてさえくれないさ。
そうだライアン、お前はどうだ?
あんなにも女神を好きだったじゃないか。
傷ついた心を癒やしてあげろよ。
今だって変わらずに愛しているんだろう?」
いきなり出て来た夫の名に衝撃を受ける。
まさかこの場に彼もいるとは思っていなかった。
何も答えないライアンに周りは煽るような言葉を掛ける。
「そういえば女神も在学中はライアンのことまんざらでもないって感じだったな。同じ生徒会で仲良かったじゃないか。こんな機会は二度とないぞ、勇気を出してみろよ」
「貴族は愛人を持つことは許されているんだ。妻を大切にするのもいいが、政略で結ばれた妻だけの人生なんて味気ないぞ。もっと楽しめ!」
挑発的な言葉が続くが、その馬鹿げた提案に夫が乗らないのに安堵する。
やはり彼は私を愛しているから…と思っていると私の耳が彼の声が捉えた。
「…そうだな、傷ついた彼女を慰めるのは、人として間違ってはいないな」
誰かに言い訳をするように呟くライアンに周りは盛り上がる。
「そうだ、傷ついた女性に親切にするのは当然だ。それが紳士ってもんだろう!」
「それが愛する女性なら尚更見捨ててはおけないからな、なあライアン?」
「…まあ…助けてあげなくてはいけないな」
『愛する女性なら』という言葉が私の心を掻き乱す。
夫はそれを否定してくれない。
更に親友であるアーノルドの残酷な言葉が続く。
「ライアン、すっと抱えていた秘めたる想いを今度こそ叶えてみろ。頑張れよ!」
「あ、ああ…そうだな」
短い返事だがそれは肯定の言葉だった。
彼は昔カトリーナを愛していた、それは知っている。でも今も変わらずに愛し続けていることは知らなかった。
…彼はずっと『秘めたる想い』を大切にしていた。
つまり…それは…私のことは愛してはいなかったということ。
愛する夫の本心は私にとって酷く残酷なものだった。
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