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7.後悔〜ジェイ視点〜
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「おい、シンシアをどこにやったんだっ!」
俺はルイアン・ブラックリーの胸ぐらを掴んで問い詰める。ここはブラックリー伯爵邸だが、俺のあまりの形相に誰も止めに入ることはない。
数日前に俺はシンシアと連絡を取ろうとしたが、なぜか取ることができなかった。調べたら彼女が屋敷にいないことが判明した。離縁するはずの彼女が消えたということは、なにかあったということだ。
でなければ、いなくなるはずがないっ!
だからここに乗り込んできた。
必死にルイアンは逃れようとするが、大柄とはいえ年下である俺の手を振り払うことすら出来ずに藻掻いている。
ルイアンは一般的な成人男性よりは鍛えているが、騎士としては貧弱な体型をしている。
それはあまり熱心に務めていないからだ。
「…っ…、い、いきなり無礼だぞ!お前は騎士団の新入りだっ…たな…。まさかあの女の浮気相手なのか。とんだ阿婆擦れだっ!…ぐっぅ…、やめてく…れ…」
自分のことを棚に上げて、シンシアを阿婆擦れ呼ばわりするのを聞き、クズを掴んでいた手に力が入る。ルイアンの足は宙に浮き、その口はみっともなくパクパクと閉じたり開けたりしている。
その様子を見ても力を緩めようとは思わなかった。クズにお似合いな姿だとしか思わない。
そんな主人の姿を見て、流石に使用人もこのままではまずいと思ったのだろう。
自ら助けようとに近づいてくることはないが、恐る恐るといった感じで口を開く。
「お、奥様はご療養のために、この屋敷にはおりません。ですがそれは旦那様がどうにかしたとかでは、ご、…ございません」
「…シンシアはどこにいるんだ?」
使用人は嘘をついている様子はない。
こんな奴のためそこまではしないな…。
だが俺の問いには『わ、私は療養先は存じません。本当です!』と言ったきり主人であるルイアンに視線を向ける。
つまりはルイアンがシンシアの居所を知っているということだ。
やはりコイツから聞くしかないか…。
ドサッ…。
手の力を緩めると同時にルイアンの体は床に転げ落ちるように投げ出された。
騎士なのに受け身すら禄に取れないらしい。
ちっ、なにが騎士だ、ふざけやがってっ!
「もう一度だけ聞く。シンシア・ブラックリーは今どこにいる……。五体満足でいたかったら、嘘はつくな!」
腰に刺してある剣を抜き、ルイアンの体の直ぐ側に突き刺す。
掠ってもいないのに『ヒィッ…』と悲鳴を上げてぶるぶる震えている。どうやら腰を抜かしたようだ。
こんな奴と結婚しなければいけなかったシンシア。そしてコイツの真実の愛のもとに毒を盛られた。
――腸が煮えくり返りそうだ。
……いいや、もう十分に煮えくり返っているな。
「わ、私はなにもしていない!シンシアが勝手に出ていったんだっ。あの女は俺を脅して自分のしたいようにした。ただそれだけだっ。私は何も悪くないんだ」
ルイアンは俺に向かって、自分は悪くないと何度も繰り返す。
こいつは俺が何も知らないと思っているのだろうか。
たぶん、そうなんだろう。
俺のことを妻の浮気相手だと勘違いして、いきなり連絡が取れなくなったから乗り込んできたと思っているくせに、自分が妻に毒を盛っていたことは知られていないと思いこんでいる。
一体どんなお花畑な頭をしているのか…。
そんな愚かな奴だから、あんな浅はかな行動に出られたのだろう。
反吐が出るなっ……。
唾を吐きかけなかったのは、まだ離縁をしていないから、ここがシンシアの屋敷でもあるからだ。
まだ脅しは十分ではないらしい。だからルイアンは俺の聞きたいことを話さない。
俺は床に突き刺していた剣を抜き取ると、今度はルイアンの首に当てる。少しでも動けば奴の首から血が流れるが構わない。
――これは脅しではなく本気だ。
「話さないなら、その首はもういらないな…」
自分の口からこんな台詞が出てくるとは驚きだった。
でも迷いはない。きっとこいつが話さなかったら、俺はこの剣を迷うことなく引く。
「ヒッ、ヒィッ…。あ、ああ、全部話す、話すから!」
俺の本気を察したルイアンの口は軽かったが、シンシアが今どこにいるのかは話さない。
本当に知らなかったからだ。
その代わりにルイアンとシンシアの間で交わされた約束について話しだした。
俺はルイアン・ブラックリーの胸ぐらを掴んで問い詰める。ここはブラックリー伯爵邸だが、俺のあまりの形相に誰も止めに入ることはない。
数日前に俺はシンシアと連絡を取ろうとしたが、なぜか取ることができなかった。調べたら彼女が屋敷にいないことが判明した。離縁するはずの彼女が消えたということは、なにかあったということだ。
でなければ、いなくなるはずがないっ!
だからここに乗り込んできた。
必死にルイアンは逃れようとするが、大柄とはいえ年下である俺の手を振り払うことすら出来ずに藻掻いている。
ルイアンは一般的な成人男性よりは鍛えているが、騎士としては貧弱な体型をしている。
それはあまり熱心に務めていないからだ。
「…っ…、い、いきなり無礼だぞ!お前は騎士団の新入りだっ…たな…。まさかあの女の浮気相手なのか。とんだ阿婆擦れだっ!…ぐっぅ…、やめてく…れ…」
自分のことを棚に上げて、シンシアを阿婆擦れ呼ばわりするのを聞き、クズを掴んでいた手に力が入る。ルイアンの足は宙に浮き、その口はみっともなくパクパクと閉じたり開けたりしている。
その様子を見ても力を緩めようとは思わなかった。クズにお似合いな姿だとしか思わない。
そんな主人の姿を見て、流石に使用人もこのままではまずいと思ったのだろう。
自ら助けようとに近づいてくることはないが、恐る恐るといった感じで口を開く。
「お、奥様はご療養のために、この屋敷にはおりません。ですがそれは旦那様がどうにかしたとかでは、ご、…ございません」
「…シンシアはどこにいるんだ?」
使用人は嘘をついている様子はない。
こんな奴のためそこまではしないな…。
だが俺の問いには『わ、私は療養先は存じません。本当です!』と言ったきり主人であるルイアンに視線を向ける。
つまりはルイアンがシンシアの居所を知っているということだ。
やはりコイツから聞くしかないか…。
ドサッ…。
手の力を緩めると同時にルイアンの体は床に転げ落ちるように投げ出された。
騎士なのに受け身すら禄に取れないらしい。
ちっ、なにが騎士だ、ふざけやがってっ!
「もう一度だけ聞く。シンシア・ブラックリーは今どこにいる……。五体満足でいたかったら、嘘はつくな!」
腰に刺してある剣を抜き、ルイアンの体の直ぐ側に突き刺す。
掠ってもいないのに『ヒィッ…』と悲鳴を上げてぶるぶる震えている。どうやら腰を抜かしたようだ。
こんな奴と結婚しなければいけなかったシンシア。そしてコイツの真実の愛のもとに毒を盛られた。
――腸が煮えくり返りそうだ。
……いいや、もう十分に煮えくり返っているな。
「わ、私はなにもしていない!シンシアが勝手に出ていったんだっ。あの女は俺を脅して自分のしたいようにした。ただそれだけだっ。私は何も悪くないんだ」
ルイアンは俺に向かって、自分は悪くないと何度も繰り返す。
こいつは俺が何も知らないと思っているのだろうか。
たぶん、そうなんだろう。
俺のことを妻の浮気相手だと勘違いして、いきなり連絡が取れなくなったから乗り込んできたと思っているくせに、自分が妻に毒を盛っていたことは知られていないと思いこんでいる。
一体どんなお花畑な頭をしているのか…。
そんな愚かな奴だから、あんな浅はかな行動に出られたのだろう。
反吐が出るなっ……。
唾を吐きかけなかったのは、まだ離縁をしていないから、ここがシンシアの屋敷でもあるからだ。
まだ脅しは十分ではないらしい。だからルイアンは俺の聞きたいことを話さない。
俺は床に突き刺していた剣を抜き取ると、今度はルイアンの首に当てる。少しでも動けば奴の首から血が流れるが構わない。
――これは脅しではなく本気だ。
「話さないなら、その首はもういらないな…」
自分の口からこんな台詞が出てくるとは驚きだった。
でも迷いはない。きっとこいつが話さなかったら、俺はこの剣を迷うことなく引く。
「ヒッ、ヒィッ…。あ、ああ、全部話す、話すから!」
俺の本気を察したルイアンの口は軽かったが、シンシアが今どこにいるのかは話さない。
本当に知らなかったからだ。
その代わりにルイアンとシンシアの間で交わされた約束について話しだした。
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