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84.幸せな番が微笑みながら願うこと
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そして1年後無事に私とエドは正式に結ばれることとなった。
そうなると問題は私が死んだことになっていることだ。
番だった私が今更生き返っても面倒だし、なにより竜王の番という特別な存在は何かと狙われやすいそうだ。
だからエドは『竜王は番の死を乗り越えて健気に支えた侍女と運命的に結ばれる』という美談をあらかじめ市井には流しておいた。
いわゆる情報操作というものだ。
その手際の良さは流石でやっぱり賢王なんだなと感心してしまう。
普通は番を亡くした獣人は再婚はせず生涯その番だけを愛し続ける。だが何事にも例外はあるもの、齢300歳を越える竜王なら普通と違っても純血で竜人だからと国民はなんとなく誤魔化されてくれ、私の存在も孤独な竜王様を慰める存在として好意的に受け入れられた。
今日は私とエドの婚姻の儀が大広間で行われる。
王宮の大広間は華やかな衣装に身を包んだ多くの人達で埋め尽くされている。その中には私の家族もいるし、すべての事情を知っている宰相様達の姿もある。もちろん美談を真実だと思っている人達が大半だが、その表情はみな一様にこの婚姻を祝福しているのが分かる。
覚えていないが6年前もきっとこうだったのだろう。
あの時の私は『番様』で今日の私はただの『アン』だが…。
凛々しく美丈夫なエドが真っ白な婚礼衣装を纏った22歳の私の手を取りゆっくりと祭壇に向かって進んで行く。
周りの人々は私達に惜しみない拍手と温かい言葉を送ってくれる。
『アン幸せになれ!』
『おめでとうございます!竜王様、アン様』
『どうぞ、末永くお幸せにー!!』
『お綺麗ですよ、アン様』
『お二人ともとてもお似合いです!』
口々から出る言葉は心から婚姻を祝うものだけ。
竜王の相手は番ではないことになっているが、竜王の表情を見れば彼が今本当に幸せなのが良く分かる。
だから番同士ではないが、この婚姻をみな祝福している。
皆が見守る中、儀式は粛々と進んで行く。
番同士の婚姻の儀の場合、最後に自分の意志で己の指先を傷つけ、流した血をお互いに舐めあう。
これにより寿命が長命の方に合わせられ末永くともに歩んでいけるようにするのだ。
だが今回はそれはない。私は番ではないことになっているのでその儀式は省略されているのだ。
だが実際はもう私とエドはすでに二人でこの儀式を済ませている。
永遠に一緒だ。
目の前の神官が竜王と花嫁に問い掛ける。
「これから死が二人を別つまでお互いを愛しともに歩んでいくことを誓いますか?」
私とエドは見つめ合う、お互いに想っていることは同じだ。
「はい、誓う」
「はい、誓います」
私達の言葉を聞き、周りからは自然と拍手が巻き起こる、それは永遠の愛を祝福し称えるものだった。
6年前は私はここで自ら命を絶とうとしたという。その時の気持ちもエドを愛するあまり辿り着いた答えだったようだ。
つまり今の私と過去の私は同じ気持ちだ。
『愛する人を誰よりも幸せにしたい』
‥‥それだけ。
随分と遠回りしてしまったが、今エドが私の隣で幸せそうに笑ってくれている。
「愛しているよ、アン。君をだれよりも幸せにしたい」
「エド、愛しているわ。私も貴方を幸せにするわ」
私とエドはこれから長い人生を共に歩んでいく。
楽しいことも大変なこともあるだろう。
きっと可愛い子供達を一緒に育て笑い合っていくのだろう。
これからの将来を考えると自然と笑みが零れてくる。隣のエドを見ると彼も同じことを考えているのが分かる。
なにがあるかは分からないけどお互いに願うことはいつも同じ、幸せな番は微笑みながらいつも相手の幸せを心から願っているのだ。
(完)
*****************************
※これにて完結です。
最後まで読んでいただき有り難うございました。
そうなると問題は私が死んだことになっていることだ。
番だった私が今更生き返っても面倒だし、なにより竜王の番という特別な存在は何かと狙われやすいそうだ。
だからエドは『竜王は番の死を乗り越えて健気に支えた侍女と運命的に結ばれる』という美談をあらかじめ市井には流しておいた。
いわゆる情報操作というものだ。
その手際の良さは流石でやっぱり賢王なんだなと感心してしまう。
普通は番を亡くした獣人は再婚はせず生涯その番だけを愛し続ける。だが何事にも例外はあるもの、齢300歳を越える竜王なら普通と違っても純血で竜人だからと国民はなんとなく誤魔化されてくれ、私の存在も孤独な竜王様を慰める存在として好意的に受け入れられた。
今日は私とエドの婚姻の儀が大広間で行われる。
王宮の大広間は華やかな衣装に身を包んだ多くの人達で埋め尽くされている。その中には私の家族もいるし、すべての事情を知っている宰相様達の姿もある。もちろん美談を真実だと思っている人達が大半だが、その表情はみな一様にこの婚姻を祝福しているのが分かる。
覚えていないが6年前もきっとこうだったのだろう。
あの時の私は『番様』で今日の私はただの『アン』だが…。
凛々しく美丈夫なエドが真っ白な婚礼衣装を纏った22歳の私の手を取りゆっくりと祭壇に向かって進んで行く。
周りの人々は私達に惜しみない拍手と温かい言葉を送ってくれる。
『アン幸せになれ!』
『おめでとうございます!竜王様、アン様』
『どうぞ、末永くお幸せにー!!』
『お綺麗ですよ、アン様』
『お二人ともとてもお似合いです!』
口々から出る言葉は心から婚姻を祝うものだけ。
竜王の相手は番ではないことになっているが、竜王の表情を見れば彼が今本当に幸せなのが良く分かる。
だから番同士ではないが、この婚姻をみな祝福している。
皆が見守る中、儀式は粛々と進んで行く。
番同士の婚姻の儀の場合、最後に自分の意志で己の指先を傷つけ、流した血をお互いに舐めあう。
これにより寿命が長命の方に合わせられ末永くともに歩んでいけるようにするのだ。
だが今回はそれはない。私は番ではないことになっているのでその儀式は省略されているのだ。
だが実際はもう私とエドはすでに二人でこの儀式を済ませている。
永遠に一緒だ。
目の前の神官が竜王と花嫁に問い掛ける。
「これから死が二人を別つまでお互いを愛しともに歩んでいくことを誓いますか?」
私とエドは見つめ合う、お互いに想っていることは同じだ。
「はい、誓う」
「はい、誓います」
私達の言葉を聞き、周りからは自然と拍手が巻き起こる、それは永遠の愛を祝福し称えるものだった。
6年前は私はここで自ら命を絶とうとしたという。その時の気持ちもエドを愛するあまり辿り着いた答えだったようだ。
つまり今の私と過去の私は同じ気持ちだ。
『愛する人を誰よりも幸せにしたい』
‥‥それだけ。
随分と遠回りしてしまったが、今エドが私の隣で幸せそうに笑ってくれている。
「愛しているよ、アン。君をだれよりも幸せにしたい」
「エド、愛しているわ。私も貴方を幸せにするわ」
私とエドはこれから長い人生を共に歩んでいく。
楽しいことも大変なこともあるだろう。
きっと可愛い子供達を一緒に育て笑い合っていくのだろう。
これからの将来を考えると自然と笑みが零れてくる。隣のエドを見ると彼も同じことを考えているのが分かる。
なにがあるかは分からないけどお互いに願うことはいつも同じ、幸せな番は微笑みながらいつも相手の幸せを心から願っているのだ。
(完)
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※これにて完結です。
最後まで読んでいただき有り難うございました。
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