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閑話~元恋する乙女~
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離宮にはノマエ婆様と呼ばれている、伝説の下働きのお婆さんがいる。見た目なんの獣人か分からないが、どうやら鷹獣人みたいだ。
もう80歳になるので、離宮に住み込んではいない。健康のために、週三日ほど通いで働いているのだ。
何が伝説かというと、恋愛相談の達人なのだ。みんな尊敬の意味を込めて『ノマエ婆様』と呼び、
婆様の出勤日には誰かしら恋愛相談をお願いしているらしい。実際に相談した人のほとんどは、恋を成就しているのだ。
本日の相談者は離宮の主人であるシルビア。
だがシルビアが自分で申し込んだのではない、侍女サーサによって強制的にここに送り込まれたのだ。
サーサ曰く『シルビア様に今一番必要なのはノマエ婆様のアドバイスです』だそうだ。
「ようこそ、恋愛相談へ♪ なんでも話してくださいな。私の豊富な経験から適切なアドバイスをします」
「なんか照れるわ。今回はサーサに行くように言われたのだけど、何を相談すればよいかも分からないの…」
「サーサに送り込まれるはずですよ。シルビア様、最近困っている事はありませんか?」
「う~ん、そうね。自分の気持ちが分からない時がある事かしら」
「たとえば?」
「本当は祝福するべきなのに悲しくなったり、変よね?お目出度い事がなくなったのにホッとして喜んでしまったりとか、なんか浅ましいの」
「そのような気持ちが芽生える時に誰が関係してますか?」
「えーと、ギルア様だわ」
「つまりギルア様が関わると平静でなくなるのですね?」
「そうみたい。以前はこんな事なかったのに、最近おかしいわ…」
「それは恋です!シルビア様はギルア様に恋しているんです」
「恋…?それはおかしいわ。私達、仮面夫婦で友人なのよ。今更、恋などしないと思うわ」
「あ・ま・い・で・す。『恋』とはするものでなく、いつの間にか落ちるものです!」
「私…、落ちたの?」
「はい、この元恋する乙女が断言します。シルビア様は現在進行形恋する乙女です」
「確かに、ギルア様への感情は好意以上になっていくのを感じていたかも。でもギルア様はどうなのかしら…?『番』を探しているから私に望みはなしね…」
「シルビア様、人の気持ちは変わります。シルビア様が変わったようにギルア様も変わっているかもしれませんよ」
「そうかしら、ギルア様の『番』への執着は身に染みて分かっているわ、無理よ」
「では何もせずにこのまま指を咥えているんですか!このノマエ婆様の辞書に恋の撤退はなーし!もちろん、弟子達にも許しません!」
「えっ弟子?」
「私に恋愛相談した人は全員もれなく私の弟子です!師匠に恥をかかす弟子は湖に沈めます。シルビア様、沈みますか?」
ギロリと鋭い目で見られて、ビクッとするが、シルビアは慌てて首を横に勢いよく何度も振る。
(し、沈みたくない!)
これは本当に正しい恋愛相談なのかと涙目になってくる。
そんなシルビアの様子など気にせず、ノマエ婆様は話しを続ける。
「おっほん、では前進あるのみです。まず、手紙と行動どちらが好きですか?」
「…行動です」
「では次回ギルア様に会ったら自分から口に接吻してみましょう♪その時相手が接吻を返して来たら恋人同士です。はい、恋愛相談終了です。ずるしたらばれて、翌日湖に沈むシステムです、お気をつけください」
恋愛相談があっけなく終わり、シルビアはフラフラと自分の部屋に戻る。
道理で、ノマエ婆様の恋愛相談でほとんどの人が恋を成就したはずである。命が掛かっているなら、恥も外聞も捨て必死で実行するだろう。そして相手はその気迫に負けて付き合うのかもしれない……。
---元恋する乙女は若かりし頃、猛禽肉食女子と呼ばれていた。そのころのノマエ婆様を知る人物に言わせると、
『あんな婆様に相談するもんではないの~。相談機関の真偽は事前に自分で確かめるのが鉄則じゃ。うんん?相談した後どうすればいいのかじゃと、ホッホッホ♪命が惜しいなら、気張るしかないの~』
もう80歳になるので、離宮に住み込んではいない。健康のために、週三日ほど通いで働いているのだ。
何が伝説かというと、恋愛相談の達人なのだ。みんな尊敬の意味を込めて『ノマエ婆様』と呼び、
婆様の出勤日には誰かしら恋愛相談をお願いしているらしい。実際に相談した人のほとんどは、恋を成就しているのだ。
本日の相談者は離宮の主人であるシルビア。
だがシルビアが自分で申し込んだのではない、侍女サーサによって強制的にここに送り込まれたのだ。
サーサ曰く『シルビア様に今一番必要なのはノマエ婆様のアドバイスです』だそうだ。
「ようこそ、恋愛相談へ♪ なんでも話してくださいな。私の豊富な経験から適切なアドバイスをします」
「なんか照れるわ。今回はサーサに行くように言われたのだけど、何を相談すればよいかも分からないの…」
「サーサに送り込まれるはずですよ。シルビア様、最近困っている事はありませんか?」
「う~ん、そうね。自分の気持ちが分からない時がある事かしら」
「たとえば?」
「本当は祝福するべきなのに悲しくなったり、変よね?お目出度い事がなくなったのにホッとして喜んでしまったりとか、なんか浅ましいの」
「そのような気持ちが芽生える時に誰が関係してますか?」
「えーと、ギルア様だわ」
「つまりギルア様が関わると平静でなくなるのですね?」
「そうみたい。以前はこんな事なかったのに、最近おかしいわ…」
「それは恋です!シルビア様はギルア様に恋しているんです」
「恋…?それはおかしいわ。私達、仮面夫婦で友人なのよ。今更、恋などしないと思うわ」
「あ・ま・い・で・す。『恋』とはするものでなく、いつの間にか落ちるものです!」
「私…、落ちたの?」
「はい、この元恋する乙女が断言します。シルビア様は現在進行形恋する乙女です」
「確かに、ギルア様への感情は好意以上になっていくのを感じていたかも。でもギルア様はどうなのかしら…?『番』を探しているから私に望みはなしね…」
「シルビア様、人の気持ちは変わります。シルビア様が変わったようにギルア様も変わっているかもしれませんよ」
「そうかしら、ギルア様の『番』への執着は身に染みて分かっているわ、無理よ」
「では何もせずにこのまま指を咥えているんですか!このノマエ婆様の辞書に恋の撤退はなーし!もちろん、弟子達にも許しません!」
「えっ弟子?」
「私に恋愛相談した人は全員もれなく私の弟子です!師匠に恥をかかす弟子は湖に沈めます。シルビア様、沈みますか?」
ギロリと鋭い目で見られて、ビクッとするが、シルビアは慌てて首を横に勢いよく何度も振る。
(し、沈みたくない!)
これは本当に正しい恋愛相談なのかと涙目になってくる。
そんなシルビアの様子など気にせず、ノマエ婆様は話しを続ける。
「おっほん、では前進あるのみです。まず、手紙と行動どちらが好きですか?」
「…行動です」
「では次回ギルア様に会ったら自分から口に接吻してみましょう♪その時相手が接吻を返して来たら恋人同士です。はい、恋愛相談終了です。ずるしたらばれて、翌日湖に沈むシステムです、お気をつけください」
恋愛相談があっけなく終わり、シルビアはフラフラと自分の部屋に戻る。
道理で、ノマエ婆様の恋愛相談でほとんどの人が恋を成就したはずである。命が掛かっているなら、恥も外聞も捨て必死で実行するだろう。そして相手はその気迫に負けて付き合うのかもしれない……。
---元恋する乙女は若かりし頃、猛禽肉食女子と呼ばれていた。そのころのノマエ婆様を知る人物に言わせると、
『あんな婆様に相談するもんではないの~。相談機関の真偽は事前に自分で確かめるのが鉄則じゃ。うんん?相談した後どうすればいいのかじゃと、ホッホッホ♪命が惜しいなら、気張るしかないの~』
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