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【番外編】侍女サーサのお見合い
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正妃シルビアの専属侍女サーサは若いながらも頼りになる侍女である。仕事は完璧にこなし、正妃シルビアの体調を考えその日のスケジュールを臨機応変に変更したりする、気配り上手なウサギ獣人の女の子なのだ。
そのうえ、透き通るような白髪にぱっちりな赤目、可愛らしい顔、明るくハキハキしている性格、健康な身体、どこから見てもモテる要素満載だ。
それなのに、結婚願望はあるがなぜか結婚出来ないでいる。
獣人の女性の結婚適齢期は20歳前後なので、20歳になるサーサは焦っていた。
「はぁー、もう私は一生独身かもしれません…。お幸せそうなシルビア様が羨ましいです」
「あら、サーサはまだ20歳なのだから慌てなくて大丈夫よ。そのうち素敵な人に出会えるわ」
「でもお見合いがダメダメなんです。私の何がいけないのか…」
「お見合いの失敗なんて気にしちゃ駄目よ。実際に会ってみると思ってたのと違うなんてよくある事よ。サーサが悪いわけではないわ!」
「違うんです…。会うところまでいかないんです。親戚が私の釣書を持ってほうぼう当たってますが、全て断られてお見合いすらしてもらえないんです」
「……そんなこともあるのね。だ、大丈夫よ元気出して!」
そうなのだサーサは根拠もなく焦っているわけではない。彼氏がいなので恋愛結婚は無理かなと考え、18歳になってから親戚にお見合いのセッティングを頼んでいるのに、今まで一回もお見合い自体が成立しないので焦っているのだ。
正式な見合いの申込みを二年間も断わられ続ける人はあまりいない。そんな奴は問題ありの危険人物と相場が決まっている。
---サーサは最近、裏の人脈作りにも精を出しているが、それはバレてないので危険人物リストにはまだ載ってないはずである…たぶん。※きっと三年後くらいには載るだろう…。
シルビアから見てサーサに問題があるとは考えられないが、二年間全滅しているのも事実なので、適切なアドバイスをすることが出来なかった。
『私、頑張ります』と落ち込んだ声でいうサーサがなんとも痛ましく、シルビアは何とかできないかと悩むのであった。
****************************
---国王執務室---
二日前から宰相ガーザが外交のため隣国へ行き不在なので、その穴を埋めるべくシルビアがギルアの公務を手伝うことになった。
シルビアは処理能力が高いだけでなく、愛しい『番』が側にいることで国王ギルアの仕事も捗るし、そのうえ宰相のように周囲に睨みを利かせたりしないので、執務室で働く臣下達から大好評であった。
「やっぱりシルビア様はいいよな。宰相の出張が永遠ならいいのにな、ワッハッハ」
「確かにシルビアが側にいると、仕事も苦にならん。このまま俺の側近にするか」
「ワッハッハ、それ最高だな。賛成ー!」---ガロンよ、それはお前の失職を意味するぞ。
シルビアを囲んで楽しい休憩タイムを満喫するギルアとガロン。前者は愛妻シルビアがいることで幸せを感じ、後者は腹黒宰相の不在に幸せを感じている。
---ガロンは知らない、宰相の隠密がこの部屋にもいて休憩中の今も仕事に励んでいることを、カリカリカリ。
幸せを堪能している二人に比べ、シルビアはなんだか元気がない。さっきから紅茶を飲まずにカップの中でスプーンをくるくる回し続けている。
「シルビアどうした?疲れたのか」
「ううん、違うの。ちょっと悩み事があって。相談に乗ってくれる?」
「もちろんだ。愛しいシルビアを悩ませている事は、俺がすべて解決してやる」
ギルアが自信満々に応えているがまだ相談内容も聞いてない、デレデレ狼の完全なフライングである。
「実は侍女のサーサのことなの。サーサは二年間お見合いを全て断られて、会うことすらして貰えないのよ。酷い話でしょ!」
「それはおかしいな。サーサちゃんは可愛くていい子なのに。俺が見合いをしたいぞ、ワッハッハ」
「……ちょっと待ってろ」
ギルアはシルビアの話を聞くと、それについては何も言わず席を立ってしまった。そして宰相の机の近くにある本棚の最上段の端から何かを出して持って来た。
ギルアは黙ったまま、それをテーブルの上に置き、シルビアとガロンに見えるように開いた。
最初のページにはサーサのドレス姿の写真があった。
「これはサーサの釣書だ。シルビアは初めて見るか?」
「ええ、初めてよ。この写真素敵ね、サーサがとっても美人さんに見えるわ」
「サーサちゃんの可愛さと美しさが滲み出てるな。俺の嫁にしたい、いやもう俺の嫁だーワッハッハ」
馬鹿犬の妄想発言は2人に完璧にスルーされた。
「次を見てみろ」
ギルアがなぜか眉間に皺を寄せて渋い表情をし、次のページをめくった。
そこには釣書の定番事項である
【氏名・生年月日・住所・学歴・職歴・資格・趣味・特技・アピールポイント】が書いてあった。
特技までは内容も申し分なく、何の問題も見当たらなかった。
だがアピールポイントがかなり個性的に書かれてあった。いや個性的のレベルをはるかにオーバーしている…。
【アピールポイント】
白銀の髪、ルービーの瞳を持つオーサン国の歌姫。その華麗な歌声は誰をも虜にする。
華奢ながらも豊満な身体を持つ奇跡の天使。
すべての人を幸せにする神の微笑みをもつ聖女。
才色兼備で何でも出来るスーパー侍女。etc.
この欄には自分をアピールすることを明記するのであって、噓を書いていい欄ではない…はずなのだが。
シルビアとガロンはこれを読んでから何も言ってない、だが同じことを考えているの確かだ。
((これはちょっと盛り過ぎでっていうか詐欺に近いものが…?歌姫って、何?そもそも歌姫と天使と聖女と侍女etc.は両立するのか…))
シルビアとガロンの頭の中は?で埋め尽くされる。
「両立はせん!!」
二人の心に秘めていた疑問に適切な答えをするギルア。
なぜ分かるのかといえば、過去に釣書を見た者全員が同じ疑問を口にしていたからである。
ギルアは次のページをめくり、続きを読むように促す。
そこには【要望事項】が書いてあった。
【要望事項】
年齢20歳~28歳・心身ともに健康・家屋と土地を所有・代々続く家柄・イケメン・身長180cm以上・瘦せすぎ又は太りすぎは不可・長男不可・絶倫であること・オーサン国の高位役職又は実業家・武術に優れ師範代の資格あり・視力2.0以上・グルメ王・浮気不可・大金持ちetc.
【要望事項】は【アピールポイント】に負けず劣らずの内容が書いてあった。もうこれは釣書とはいえない、釣書を勝手に超越している…。
ギルアは黙って釣書を閉じ、『はぁー』とため息をついた。
「分かったか?これがお見合いが成立しない理由だ。すまん、俺には解決できん」---ギルア、フライング失敗。
「そ、そうね。でもこれ誰が作ったの?サーサではないわよね…」
自分の専属侍女の良識を信じたいシルビアは、『どうかサーサではありませんように』と願いを込めてギルアに尋ねる。
「サーサ本人はこれを知らないはずだ。これはガーザが作ってノマエ婆様が監修した。ガーザが作った時は少し盛っているぐらいだったが、ノマエ婆様に監修に出したらこうなったようだ」
そうノマエ婆様が『女は盛ってなんぼですよ、オホホ』といって改竄し、ガーザがその出来に感激し今に至っているのだ。
サーサは哀れな被害者だった。
「あの二人…。もしかしてお見合いを申し込んでいる親戚ってガーザなの…それは最悪の仲人だわ」
「そうだ。これをもってあのガーザが笑顔で申込みに行くんだ。この条件に当てはまらないのに立候補すれば一族の破滅が待っている、断るの一択しかないんだ」
「こんな条件の相手は俺しかいないだろうワッハッハ、俺の嫁確定だー!」
((お前だけは絶対にない!))
ギルアとシルビアは真顔で首を横に振るが、妄想ガロンは尻尾を振りまくりサーサとの未来を勝手に妄想している。---ガロン落ち着け、地獄が近いぞ。
「そういえば、サーサちゃんと宰相は遠い親戚だったんだな。俺達が結婚したら果てしなく遠い親戚か、まぁつまり他人のままだなワッハッハ」
ガロンは宰相のことをサーサの遠い親戚のおじさんと勘違いしている。
「ガロンは知らないの?ガーザはサーサの兄よ。遠いどころかとても近い親戚ね」
「………きょ、きょうだい?鏡台?それって兄妹…?」
ガロン、妄想から急いで離脱する。
宰相が家族思いなのは有名だ。そこには当然弟妹も含まれている。大切な家族に手を出す奴はいつの間にか消えるというのは王宮内では有名な噂だ。
「ガーザは家族思いで妹サーサも可愛がっている。だからあんな釣書を作って変な虫を叩き潰しているらしい」
「もしかして、サーサが彼氏が出来ないのもガーザが裏で…」
「そうだ。片っ端から排除してるらしい。ガーザの隠密がどこにでもいる事を知らない馬鹿が網に引っ掛かって排除されてるぞ」
「………なあ俺は宰相の条件にギリギリセーフだよな?虫じゃないよな?」
「「完全にアウトだ(ね)!どっちかっていうと虫以下の扱いだな(わ)」
ギルアとシルビアは笑いながらガロンに告げる。
二人はガロンがサーサにちょっかいを出している事実を知らないので、『ガロンは手を出そうとしなくて良かったわね。してたら命はなかったわ、フフフ』と笑っている。
(いや、会うたびにナンパして勝手に『嫁』宣言しちゃったし…。これやっぱりアウトか?)
ガロンは背中に嫌な汗が流れる、生まれて初めて命の危機を感じている。
執務室の隅で、真面目そうな男が休憩時間なのにカリカリと鉛筆を走らせている。---隠密はここにいる。
*****************************
---宰相帰国---
一週間の出張から戻った宰相は、隠密からの報告書を受け取っていた。
『へぇ~。サーサの婿に立候補している馬鹿犬がいるんですね。いい度胸です、身の程を分からせてやりましょう』
翌日ガロンは一週間ほど、宰相公認の行方不明となった。
行方不明に公認や非公認があったのだろうか…。
ガロンは一週間後、丸坊主になっていたが何とか生きて戻って来た。
(((ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!)))
宰相公認の行方不明者の復活は初めてのことなので、みんな万歳三唱でガロンを温かく迎えた。
『なぜガロンが許されたのかですか?
簡単です。意外な事にあの馬鹿犬は、【要望事項】をすべてクリアしていました。なので、キープしておくことにしました』
腹黒宰相にキープ君として認められたガロンの試練は続くのである。
※ちなみに行方不明期間にガロンは【絶倫であること】のテストを受けていた…地獄を見たらしい。
そのうえ、透き通るような白髪にぱっちりな赤目、可愛らしい顔、明るくハキハキしている性格、健康な身体、どこから見てもモテる要素満載だ。
それなのに、結婚願望はあるがなぜか結婚出来ないでいる。
獣人の女性の結婚適齢期は20歳前後なので、20歳になるサーサは焦っていた。
「はぁー、もう私は一生独身かもしれません…。お幸せそうなシルビア様が羨ましいです」
「あら、サーサはまだ20歳なのだから慌てなくて大丈夫よ。そのうち素敵な人に出会えるわ」
「でもお見合いがダメダメなんです。私の何がいけないのか…」
「お見合いの失敗なんて気にしちゃ駄目よ。実際に会ってみると思ってたのと違うなんてよくある事よ。サーサが悪いわけではないわ!」
「違うんです…。会うところまでいかないんです。親戚が私の釣書を持ってほうぼう当たってますが、全て断られてお見合いすらしてもらえないんです」
「……そんなこともあるのね。だ、大丈夫よ元気出して!」
そうなのだサーサは根拠もなく焦っているわけではない。彼氏がいなので恋愛結婚は無理かなと考え、18歳になってから親戚にお見合いのセッティングを頼んでいるのに、今まで一回もお見合い自体が成立しないので焦っているのだ。
正式な見合いの申込みを二年間も断わられ続ける人はあまりいない。そんな奴は問題ありの危険人物と相場が決まっている。
---サーサは最近、裏の人脈作りにも精を出しているが、それはバレてないので危険人物リストにはまだ載ってないはずである…たぶん。※きっと三年後くらいには載るだろう…。
シルビアから見てサーサに問題があるとは考えられないが、二年間全滅しているのも事実なので、適切なアドバイスをすることが出来なかった。
『私、頑張ります』と落ち込んだ声でいうサーサがなんとも痛ましく、シルビアは何とかできないかと悩むのであった。
****************************
---国王執務室---
二日前から宰相ガーザが外交のため隣国へ行き不在なので、その穴を埋めるべくシルビアがギルアの公務を手伝うことになった。
シルビアは処理能力が高いだけでなく、愛しい『番』が側にいることで国王ギルアの仕事も捗るし、そのうえ宰相のように周囲に睨みを利かせたりしないので、執務室で働く臣下達から大好評であった。
「やっぱりシルビア様はいいよな。宰相の出張が永遠ならいいのにな、ワッハッハ」
「確かにシルビアが側にいると、仕事も苦にならん。このまま俺の側近にするか」
「ワッハッハ、それ最高だな。賛成ー!」---ガロンよ、それはお前の失職を意味するぞ。
シルビアを囲んで楽しい休憩タイムを満喫するギルアとガロン。前者は愛妻シルビアがいることで幸せを感じ、後者は腹黒宰相の不在に幸せを感じている。
---ガロンは知らない、宰相の隠密がこの部屋にもいて休憩中の今も仕事に励んでいることを、カリカリカリ。
幸せを堪能している二人に比べ、シルビアはなんだか元気がない。さっきから紅茶を飲まずにカップの中でスプーンをくるくる回し続けている。
「シルビアどうした?疲れたのか」
「ううん、違うの。ちょっと悩み事があって。相談に乗ってくれる?」
「もちろんだ。愛しいシルビアを悩ませている事は、俺がすべて解決してやる」
ギルアが自信満々に応えているがまだ相談内容も聞いてない、デレデレ狼の完全なフライングである。
「実は侍女のサーサのことなの。サーサは二年間お見合いを全て断られて、会うことすらして貰えないのよ。酷い話でしょ!」
「それはおかしいな。サーサちゃんは可愛くていい子なのに。俺が見合いをしたいぞ、ワッハッハ」
「……ちょっと待ってろ」
ギルアはシルビアの話を聞くと、それについては何も言わず席を立ってしまった。そして宰相の机の近くにある本棚の最上段の端から何かを出して持って来た。
ギルアは黙ったまま、それをテーブルの上に置き、シルビアとガロンに見えるように開いた。
最初のページにはサーサのドレス姿の写真があった。
「これはサーサの釣書だ。シルビアは初めて見るか?」
「ええ、初めてよ。この写真素敵ね、サーサがとっても美人さんに見えるわ」
「サーサちゃんの可愛さと美しさが滲み出てるな。俺の嫁にしたい、いやもう俺の嫁だーワッハッハ」
馬鹿犬の妄想発言は2人に完璧にスルーされた。
「次を見てみろ」
ギルアがなぜか眉間に皺を寄せて渋い表情をし、次のページをめくった。
そこには釣書の定番事項である
【氏名・生年月日・住所・学歴・職歴・資格・趣味・特技・アピールポイント】が書いてあった。
特技までは内容も申し分なく、何の問題も見当たらなかった。
だがアピールポイントがかなり個性的に書かれてあった。いや個性的のレベルをはるかにオーバーしている…。
【アピールポイント】
白銀の髪、ルービーの瞳を持つオーサン国の歌姫。その華麗な歌声は誰をも虜にする。
華奢ながらも豊満な身体を持つ奇跡の天使。
すべての人を幸せにする神の微笑みをもつ聖女。
才色兼備で何でも出来るスーパー侍女。etc.
この欄には自分をアピールすることを明記するのであって、噓を書いていい欄ではない…はずなのだが。
シルビアとガロンはこれを読んでから何も言ってない、だが同じことを考えているの確かだ。
((これはちょっと盛り過ぎでっていうか詐欺に近いものが…?歌姫って、何?そもそも歌姫と天使と聖女と侍女etc.は両立するのか…))
シルビアとガロンの頭の中は?で埋め尽くされる。
「両立はせん!!」
二人の心に秘めていた疑問に適切な答えをするギルア。
なぜ分かるのかといえば、過去に釣書を見た者全員が同じ疑問を口にしていたからである。
ギルアは次のページをめくり、続きを読むように促す。
そこには【要望事項】が書いてあった。
【要望事項】
年齢20歳~28歳・心身ともに健康・家屋と土地を所有・代々続く家柄・イケメン・身長180cm以上・瘦せすぎ又は太りすぎは不可・長男不可・絶倫であること・オーサン国の高位役職又は実業家・武術に優れ師範代の資格あり・視力2.0以上・グルメ王・浮気不可・大金持ちetc.
【要望事項】は【アピールポイント】に負けず劣らずの内容が書いてあった。もうこれは釣書とはいえない、釣書を勝手に超越している…。
ギルアは黙って釣書を閉じ、『はぁー』とため息をついた。
「分かったか?これがお見合いが成立しない理由だ。すまん、俺には解決できん」---ギルア、フライング失敗。
「そ、そうね。でもこれ誰が作ったの?サーサではないわよね…」
自分の専属侍女の良識を信じたいシルビアは、『どうかサーサではありませんように』と願いを込めてギルアに尋ねる。
「サーサ本人はこれを知らないはずだ。これはガーザが作ってノマエ婆様が監修した。ガーザが作った時は少し盛っているぐらいだったが、ノマエ婆様に監修に出したらこうなったようだ」
そうノマエ婆様が『女は盛ってなんぼですよ、オホホ』といって改竄し、ガーザがその出来に感激し今に至っているのだ。
サーサは哀れな被害者だった。
「あの二人…。もしかしてお見合いを申し込んでいる親戚ってガーザなの…それは最悪の仲人だわ」
「そうだ。これをもってあのガーザが笑顔で申込みに行くんだ。この条件に当てはまらないのに立候補すれば一族の破滅が待っている、断るの一択しかないんだ」
「こんな条件の相手は俺しかいないだろうワッハッハ、俺の嫁確定だー!」
((お前だけは絶対にない!))
ギルアとシルビアは真顔で首を横に振るが、妄想ガロンは尻尾を振りまくりサーサとの未来を勝手に妄想している。---ガロン落ち着け、地獄が近いぞ。
「そういえば、サーサちゃんと宰相は遠い親戚だったんだな。俺達が結婚したら果てしなく遠い親戚か、まぁつまり他人のままだなワッハッハ」
ガロンは宰相のことをサーサの遠い親戚のおじさんと勘違いしている。
「ガロンは知らないの?ガーザはサーサの兄よ。遠いどころかとても近い親戚ね」
「………きょ、きょうだい?鏡台?それって兄妹…?」
ガロン、妄想から急いで離脱する。
宰相が家族思いなのは有名だ。そこには当然弟妹も含まれている。大切な家族に手を出す奴はいつの間にか消えるというのは王宮内では有名な噂だ。
「ガーザは家族思いで妹サーサも可愛がっている。だからあんな釣書を作って変な虫を叩き潰しているらしい」
「もしかして、サーサが彼氏が出来ないのもガーザが裏で…」
「そうだ。片っ端から排除してるらしい。ガーザの隠密がどこにでもいる事を知らない馬鹿が網に引っ掛かって排除されてるぞ」
「………なあ俺は宰相の条件にギリギリセーフだよな?虫じゃないよな?」
「「完全にアウトだ(ね)!どっちかっていうと虫以下の扱いだな(わ)」
ギルアとシルビアは笑いながらガロンに告げる。
二人はガロンがサーサにちょっかいを出している事実を知らないので、『ガロンは手を出そうとしなくて良かったわね。してたら命はなかったわ、フフフ』と笑っている。
(いや、会うたびにナンパして勝手に『嫁』宣言しちゃったし…。これやっぱりアウトか?)
ガロンは背中に嫌な汗が流れる、生まれて初めて命の危機を感じている。
執務室の隅で、真面目そうな男が休憩時間なのにカリカリと鉛筆を走らせている。---隠密はここにいる。
*****************************
---宰相帰国---
一週間の出張から戻った宰相は、隠密からの報告書を受け取っていた。
『へぇ~。サーサの婿に立候補している馬鹿犬がいるんですね。いい度胸です、身の程を分からせてやりましょう』
翌日ガロンは一週間ほど、宰相公認の行方不明となった。
行方不明に公認や非公認があったのだろうか…。
ガロンは一週間後、丸坊主になっていたが何とか生きて戻って来た。
(((ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!)))
宰相公認の行方不明者の復活は初めてのことなので、みんな万歳三唱でガロンを温かく迎えた。
『なぜガロンが許されたのかですか?
簡単です。意外な事にあの馬鹿犬は、【要望事項】をすべてクリアしていました。なので、キープしておくことにしました』
腹黒宰相にキープ君として認められたガロンの試練は続くのである。
※ちなみに行方不明期間にガロンは【絶倫であること】のテストを受けていた…地獄を見たらしい。
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