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第19話 そんなに目立つ?
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「え~と……私が今いる場所は東棟か……」
入り口付近に掲示された案内地図をみながら、自分の場所を確認する。
「3時限目の外国語の授業がある教室は4階にあるのか……反対方向じゃない。しかも4階なんて……上り下りが大変だなぁ……」
この世界にはエレベーターや、エスカレーターといった文明機器が無い世界だ。
あぁ……便利な日本の生活が懐かしい。
掲示板の前に立つ私の周囲を、大勢の学生たちが行き来している。
授業が終了したのだ。
次の教室がある場所も確認したし、特にすることもなかった私はとりあえず学食に行ってみることにした。
何しろ、あの見知らぬ青年に自分のおにぎりを食べられてしまったからだ。
できればラーメンとか、うどんを食べたい。けれど、そんなメニューは恐らく無いだろう。
あまり期待を込めずに、先程ついでに確認した学食を目指すことにした。
****
「うわぁ~……すっごい人混みだわ」
学食はさながら巨大なフードコート施設のようになっていた。
入口の正面には大きなカウンターがあり、大勢の学生たちが集まっている。どうやらそこで料理を提供しているのだろう。
「さて、どんなメニューがあるのかな」
私は早速混雑する人混みを掻き分けて、カウンターへ向かった――
「やっぱり和食は無かったか……」
トレーに乗った料理を持って、空いている席を探しながらため息をつく。
まぁ、当然と言えば当然なのかも知れない。私がこの世界に憑依して6日が経過したけれども、アボット家では一度も和食など出たことは無いのだから。
「できれば天丼が食べたかったなぁ……」
私が結局注文したのはパンケーキ。
丸く、大きく焼いた生地の上にチョコレートと生クリームがかかっている。見るからに甘そうな料理だ。
けれど、何故私があえてこの料理にしたのかは理由がある。
それは何となく見た目が、お好み焼きに見えたから。ただ、それだけである。
「本当に、お好み焼きだったらいいのに……あ、あそこが空いてる」
丁度目の前にある長テーブルのはじに空席があった。あそこに座ることにしよう。
近くには数人の女性グループが座り、おしゃべりしながら食事を楽しんでいる。
黙って彼女たちの近くの空席に座ると、早速パンケーキを食してみることにした。
小さくカットして口に入れる。
パクリ
「……甘い」
甘い、甘すぎる。やっぱり思った通り、ただの甘いパンケーキだ。
「仕方ないか……でも、せめて緑茶が欲しかったな……」
甘さを緩和するために、コーヒーを飲んだ。私はコーヒーも好きだ。幸いなことに、この世界にはコーヒーが存在している。
それが救いだった。
甘いパンケーキとコーヒーを口にしていると、何だかヒソヒソ話し声が聞こえてきた。
「……ねぇ、あの人……2年のステラ・アボットさんじゃない?」
「あ、やっぱり? 私もさっきからそう思ってみていたのよ」
「そうよね。あんなピンク色の長い髪はあまり見かけないもの」
「あの目つきの鋭さもそうよ」
「しっ! 聞こえたらどうするのよ!」
……彼女たちは自分達のヒソヒソ声が私に聞こえていないと思っているのだろう。しかし、女同士の会話はヒートアップしていくもの。徐々に声が大きくなっていることに気づいていない。
ここで、多分悪役令嬢のステラなら文句の一つでも言うのだろう。けれど私は別人、
社会人1年目の社畜OL。波風立てて生きたくはない。
「それにしても、随分甘そうなメニューね」
「似合っていないわよね」
そこまで言われた時、カチンときた。いくらステラが嫌われていてもここまで言うのはどうかと思う。
「コホン!」
わざと咳払いをして、「聞こえている」意思を現した。すると瞬時に静まる彼女たち。
そこで私は笑みを浮かべて、彼女たちの方を見た。
「何か?」
すると、彼女たちは互いに視線を交わすとトレーを持って立ち上がると無言で足早に去って行った。
「……全く。一言くらい、お詫びの言葉でもかけて去ればいいのに」
でも、これでようやく静かに食事が出来る。
再び甘すぎるパンケーキを、鹿目面で食べていると今度は大きな声で呼びかけられた。
「ステラ! 授業をサボって、こんなところで食事をしていたのか?」
今度は一体何?
顔を上げると今朝私にイチャモンをつけてきたエイドリアン、他3名の男性たちが私を睨みつけて立っていた。
「お前のそのピンク色の髪は遠目からでも目立つからなぁ?」
エイドリアンが私を睨みつけながら、意地悪そうな笑みを浮かべた――
入り口付近に掲示された案内地図をみながら、自分の場所を確認する。
「3時限目の外国語の授業がある教室は4階にあるのか……反対方向じゃない。しかも4階なんて……上り下りが大変だなぁ……」
この世界にはエレベーターや、エスカレーターといった文明機器が無い世界だ。
あぁ……便利な日本の生活が懐かしい。
掲示板の前に立つ私の周囲を、大勢の学生たちが行き来している。
授業が終了したのだ。
次の教室がある場所も確認したし、特にすることもなかった私はとりあえず学食に行ってみることにした。
何しろ、あの見知らぬ青年に自分のおにぎりを食べられてしまったからだ。
できればラーメンとか、うどんを食べたい。けれど、そんなメニューは恐らく無いだろう。
あまり期待を込めずに、先程ついでに確認した学食を目指すことにした。
****
「うわぁ~……すっごい人混みだわ」
学食はさながら巨大なフードコート施設のようになっていた。
入口の正面には大きなカウンターがあり、大勢の学生たちが集まっている。どうやらそこで料理を提供しているのだろう。
「さて、どんなメニューがあるのかな」
私は早速混雑する人混みを掻き分けて、カウンターへ向かった――
「やっぱり和食は無かったか……」
トレーに乗った料理を持って、空いている席を探しながらため息をつく。
まぁ、当然と言えば当然なのかも知れない。私がこの世界に憑依して6日が経過したけれども、アボット家では一度も和食など出たことは無いのだから。
「できれば天丼が食べたかったなぁ……」
私が結局注文したのはパンケーキ。
丸く、大きく焼いた生地の上にチョコレートと生クリームがかかっている。見るからに甘そうな料理だ。
けれど、何故私があえてこの料理にしたのかは理由がある。
それは何となく見た目が、お好み焼きに見えたから。ただ、それだけである。
「本当に、お好み焼きだったらいいのに……あ、あそこが空いてる」
丁度目の前にある長テーブルのはじに空席があった。あそこに座ることにしよう。
近くには数人の女性グループが座り、おしゃべりしながら食事を楽しんでいる。
黙って彼女たちの近くの空席に座ると、早速パンケーキを食してみることにした。
小さくカットして口に入れる。
パクリ
「……甘い」
甘い、甘すぎる。やっぱり思った通り、ただの甘いパンケーキだ。
「仕方ないか……でも、せめて緑茶が欲しかったな……」
甘さを緩和するために、コーヒーを飲んだ。私はコーヒーも好きだ。幸いなことに、この世界にはコーヒーが存在している。
それが救いだった。
甘いパンケーキとコーヒーを口にしていると、何だかヒソヒソ話し声が聞こえてきた。
「……ねぇ、あの人……2年のステラ・アボットさんじゃない?」
「あ、やっぱり? 私もさっきからそう思ってみていたのよ」
「そうよね。あんなピンク色の長い髪はあまり見かけないもの」
「あの目つきの鋭さもそうよ」
「しっ! 聞こえたらどうするのよ!」
……彼女たちは自分達のヒソヒソ声が私に聞こえていないと思っているのだろう。しかし、女同士の会話はヒートアップしていくもの。徐々に声が大きくなっていることに気づいていない。
ここで、多分悪役令嬢のステラなら文句の一つでも言うのだろう。けれど私は別人、
社会人1年目の社畜OL。波風立てて生きたくはない。
「それにしても、随分甘そうなメニューね」
「似合っていないわよね」
そこまで言われた時、カチンときた。いくらステラが嫌われていてもここまで言うのはどうかと思う。
「コホン!」
わざと咳払いをして、「聞こえている」意思を現した。すると瞬時に静まる彼女たち。
そこで私は笑みを浮かべて、彼女たちの方を見た。
「何か?」
すると、彼女たちは互いに視線を交わすとトレーを持って立ち上がると無言で足早に去って行った。
「……全く。一言くらい、お詫びの言葉でもかけて去ればいいのに」
でも、これでようやく静かに食事が出来る。
再び甘すぎるパンケーキを、鹿目面で食べていると今度は大きな声で呼びかけられた。
「ステラ! 授業をサボって、こんなところで食事をしていたのか?」
今度は一体何?
顔を上げると今朝私にイチャモンをつけてきたエイドリアン、他3名の男性たちが私を睨みつけて立っていた。
「お前のそのピンク色の髪は遠目からでも目立つからなぁ?」
エイドリアンが私を睨みつけながら、意地悪そうな笑みを浮かべた――
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