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第1章 44 それぞれの行き先
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「どうしたのですか?アーベル様。随分ご機嫌ですね?何か良い事でもあったのですか?」
ブリジットは部屋に招き入れたアーベルがとても機嫌が良さそうなので尋ねた。
「良い事?ええ、勿論ですとも。聞いてください、ブリジット様。つい先程弁護士のジョン様からお電話を頂いたのですよ。何とチェスター侯爵家の方がスカーレット様の事情を組んで、ブリジット様も一緒にお屋敷に招く事が決定したのですよ。しかもちゃんとお給料まで支払われるそうです。」
「まあ!何てご親切な方々なのでしょう・・この老いぼれを雇って下さる等・・まるで夢の様です。でもこれも全て弁護士のジョン様の御尽力のお陰かもしれませんね。」
「ええ。それで先方ではいつでもお2人を招き入れる準備は出来ているそうですので、こちらの都合に合わせて頂けるそうですよ。」
「そうなのですか?!まるで神様のような方々ですね!葬儀が済み次第、スカーレット様はここを出て行かねばなりませんから・・・いつでもこの屋敷を出る事が出来るように引き続き準備を進めておかなければなりませんね。」
「そうですね・・・。でも良かったです。お2人の行き先が決まって・・・。」
アーベルは寂しそうに笑った。
「あ・・・。」
そこでブリジットは気がついた。スカーレットと自分の事ばかり考えて、ここを去らねばならいアーベルや他の使用人たちの存在に。
「も、申し訳ございません・・・。アーベル様。アーベル様はまだ次の行き先が決まっていないというのに・・・。」
ブリジットは頭を下げた。すると慌てたようにアーベルは言う。
「何を仰っているのですか、ブリジット様。私の事はどうかお気遣いなく。次の仕事先ならあてはありますので。」
「え・・・そうなのですか?あのアグネスに紹介されたのですか?」
すると途端にアーベルは眉をしかめて言う。
「冗談じゃありません。あのような得体のしれない女の推薦状など汚らわしいだけです。あんな女の紹介で就職するくらいなら、いっそ自給自足で暮らせそうな土地へ引っ越して暮らしますよ。でもご心配なく。実は以前リヒャルト様の会合に付き添ったことがあるのですが、そこで辺境の土地に暮らすお年を召された男爵夫妻にお会いしたのです。その方々にもし転職を考えている場合はぜひ執事として来てもらいたいとお声がけして頂いているのです。」
「まあ・・そうだったのですね・・なら安心です。」
ブリジットは胸をなでおろした。するとアーベルは頭を下げると言った。
「ではブリジット様、スカーレット様がお目覚めになられましたら・・先ほどの件、よろしくお伝え下さい。私はこれから引き継ぎの資料作成と・・荷造りの準備がありますので、これにて失礼致します。執事室に降りますので、何か御用がありましたらお越しください。」
「お忙しいところ、ありがとうございました。」
ブリジットは頭を下げるとアーベルは軽く会釈し、足早に立ち去って行った―。
アーベルが去ると、ブリジットは眠っているスカーレットの傍に行き、そっと呟いた。
「スカーレット様・・・良いお知らせがあります。私も・・スカーレット様と一緒にチェスター侯爵家に行けることになりました。・・・ずっとお傍に降りますよ・・。」
そしてスカーレットの髪にそっと触れながら思った。
(後は・・・リヒャルト様の葬儀が執り行われたら・・ここを出ることになるのね・・。出来れば・・・日程がずっと先になってくれればよいのに・・・。)
しかし、ブリジットの願いが叶うことはなかった。何故なら、アグネスがリヒャルトの葬儀は執り行わないという事を急遽決めてしまったからであった―。
ブリジットは部屋に招き入れたアーベルがとても機嫌が良さそうなので尋ねた。
「良い事?ええ、勿論ですとも。聞いてください、ブリジット様。つい先程弁護士のジョン様からお電話を頂いたのですよ。何とチェスター侯爵家の方がスカーレット様の事情を組んで、ブリジット様も一緒にお屋敷に招く事が決定したのですよ。しかもちゃんとお給料まで支払われるそうです。」
「まあ!何てご親切な方々なのでしょう・・この老いぼれを雇って下さる等・・まるで夢の様です。でもこれも全て弁護士のジョン様の御尽力のお陰かもしれませんね。」
「ええ。それで先方ではいつでもお2人を招き入れる準備は出来ているそうですので、こちらの都合に合わせて頂けるそうですよ。」
「そうなのですか?!まるで神様のような方々ですね!葬儀が済み次第、スカーレット様はここを出て行かねばなりませんから・・・いつでもこの屋敷を出る事が出来るように引き続き準備を進めておかなければなりませんね。」
「そうですね・・・。でも良かったです。お2人の行き先が決まって・・・。」
アーベルは寂しそうに笑った。
「あ・・・。」
そこでブリジットは気がついた。スカーレットと自分の事ばかり考えて、ここを去らねばならいアーベルや他の使用人たちの存在に。
「も、申し訳ございません・・・。アーベル様。アーベル様はまだ次の行き先が決まっていないというのに・・・。」
ブリジットは頭を下げた。すると慌てたようにアーベルは言う。
「何を仰っているのですか、ブリジット様。私の事はどうかお気遣いなく。次の仕事先ならあてはありますので。」
「え・・・そうなのですか?あのアグネスに紹介されたのですか?」
すると途端にアーベルは眉をしかめて言う。
「冗談じゃありません。あのような得体のしれない女の推薦状など汚らわしいだけです。あんな女の紹介で就職するくらいなら、いっそ自給自足で暮らせそうな土地へ引っ越して暮らしますよ。でもご心配なく。実は以前リヒャルト様の会合に付き添ったことがあるのですが、そこで辺境の土地に暮らすお年を召された男爵夫妻にお会いしたのです。その方々にもし転職を考えている場合はぜひ執事として来てもらいたいとお声がけして頂いているのです。」
「まあ・・そうだったのですね・・なら安心です。」
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「お忙しいところ、ありがとうございました。」
ブリジットは頭を下げるとアーベルは軽く会釈し、足早に立ち去って行った―。
アーベルが去ると、ブリジットは眠っているスカーレットの傍に行き、そっと呟いた。
「スカーレット様・・・良いお知らせがあります。私も・・スカーレット様と一緒にチェスター侯爵家に行けることになりました。・・・ずっとお傍に降りますよ・・。」
そしてスカーレットの髪にそっと触れながら思った。
(後は・・・リヒャルト様の葬儀が執り行われたら・・ここを出ることになるのね・・。出来れば・・・日程がずっと先になってくれればよいのに・・・。)
しかし、ブリジットの願いが叶うことはなかった。何故なら、アグネスがリヒャルトの葬儀は執り行わないという事を急遽決めてしまったからであった―。
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