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第65話 デートの後に待ち受けるのは……
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ここの喫茶店の会計も当然僕が支払った。
「申し訳ございません。アドルフ様。私ばかり美味しいものを頂いて、その上ここの支払いまでして頂いて‥‥」
エディットは申し訳なさげに頭を下げて来る。
店を出てから、馬車に乗り込んでもエディットはずっとこんな調子だった。
「だから、そんなこと気にしなくていいんだよ?これはデートなんだから。デートって言うのはね、普通は男性が支払うものなんだから」
王子に後ろめたい気持ちを抱えながら、エディットに言い聞かせた。
「デ、デート…そ、そうですよね?これはデート…」
そしてエディットは頬を染めながら口の中で小さく呟いていたけれども、やがて顔をあげて僕を見つめてきた。
「あ、あの…でしたら、今度は私がアドルフ様に何かお礼をしたいので…そ、そのまた…デートを…‥」
エディットは余程恥ずかしいのか、最後の言葉は聞き取れないほどに小さなものだった。
「エディット‥‥」
これ以上エディットと深く関わってはいけない事だと思いつつ、僕は笑顔で頷いた。
「うん、またデートしよう」
そしてエディットの頭をそっと撫でると彼女は嬉しそうな笑みを浮かべた――。
****
その後も、馬車の中で僕とエディットは他愛もない会話を楽しんだ。
例えばお互いの好きな食べ物の話や、趣味の話など‥‥その内容は様々だったけど、僕には分かった。
エディットが意図的に学校の話を避けているということに。
やっぱり口にはしないけれども、僕とサチのあんな場面を見てしまったことがショックだったのかもしれない。
勿論、それは僕にも言える事だった。
エディットがいくらサチと一緒だったとはいえ、王子と一緒に食事をしている姿は何故か胸が少しだけ痛んだ。
2人が親しくなることをあれほど自分で望んでいたはずなのに、何故か今は素直にそのことを喜べない自分がいる。
あまりにも一緒にいすぎたせいで、ひょっとすると僕はエディットに情が湧いてしまったのかもしれない――。
****
空の色が黄昏てくる頃……僕が暮らす屋敷が近づいてきた。
「そろそろ到着しそうだね」
「はい、そうですね」
こくりと頷くエディット。
「あの…アドルフ様。」
「何?」
「明日からは……学生食堂で一緒にお昼を頂きませんか…?」
エディットが言いにくそうに言葉を紡ぎ出す。
「だけど‥‥僕はCクラスで、エディットはAクラスなんだよ?一緒にいるとクラスメイトからまた何か言われたりするんじゃないのかい?」
それに、王子だっているのに…‥。
「それなら、多分大丈夫です」
エディットはきっぱり頷いた。
「え?それは一体…あ!もしかして明日、この間の歴史の試験の結果が貼り出されるからってこと?」
「はい、きっと明日の試験でアドルフ様は素晴らしい成績を収めると思います。周囲の視線も変わってくると思うのです。だから…」
エディットの目は真剣だった。
「うん。分かったよ。それじゃ僕の成績が本当に良かったら、一緒にお昼を食べに行こう?」
「はい」
僕の言葉にエディットは嬉しそうに返事をした――。
****
馬車が屋敷に到着した。
「エディット、今日も送ってくれてありがとう」
馬車から降りると、改めてエディットにお礼を述べた。
「いえ。こちらこそ今日は私のわがままに付き合って頂いてありがとうございました。それに…まだお身体だって良くなっていないのに…」
「わがままだなんて、少しも思っていないよ。何しろ今日は楽しい時を過ごすことが出来たんだから。それに怪我の方も大丈夫だよ。大分痛みもひいているから」
それは本心からの言葉だった。
「あ…わ、私も楽しかった‥‥です」
エディットは頬を赤らめて頷く。
「エディット、今日はすっかり遅くなってしまったからもう帰った方がいいよ。御両親に宜しく伝えておいてくれるかな?」
「はい、分かりました。また明日お迎えに参りますね。それではお大事にして下さいね?」
「うん、ありがとう。それじゃあね」
「はい。アドルフ様」
エディットが頭を下げたところで僕は馬車の扉を閉めると、御者に声を掛けた。
「すみません、それでは馬車を出して下さい」
「はい、承知致しました」
御者は頷くと、すぐに馬車は走り始めた。
「また明日、エディット」
夕闇に染まっていく空の下、エディットの馬車を見送ると屋敷へ足を向けた―。
****
「ただいま戻りました」
扉を開けてエントランスに入ると、ドアマンが慌てた様子で僕に声を掛けて来た。
「あ!アドルフ様っ!お帰りなさいませ!」
「え?う、うん…ただいま‥‥?」
彼は何故これほどまでに驚いた様子で僕を迎えるのだろう?不思議に思い、首を傾げた時、バタバタと廊下から足音が近づいてきた。
「アドルフッ!」
廊下の角から姿を現したのは、他でも無い母だった。
「あ、ただいま戻りました。遅くなって申し訳ありません。実は今までエディットと一緒にいたものですから」」
「あら?そうなの?エディットさんと一緒だったのね…?それよりも貴方にお客様がいらしているのよ!早く応接間にお行きなさいっ!」
「え?僕にお客って…?」
お客って一体誰だ?
「同じ学校の生徒さんよ!急ぎなさいっ!」
「は、はい!」
まるで急き立てられるかのように僕は急いで応接室へ向かった。
同じ学校の生徒だって?
何だか非常に嫌な予感がする……。
**
伯爵家のアドルフの屋敷はやたら広い。
肩で息をしながら、急ぎ足で歩き続け…ようやく応接室が見えてきた。
「や、やっと着いた‥‥…」
応接室の扉は開きっぱなしで、室内は丸見えだった。
一体、だれが僕を訪ねてきたのだろう?チラリと室内を覗きこみ‥‥息を呑んだ。
「そ、そんな‥‥嘘だろう…‥?」
ソファに座る人物を見た途端、僕は我が目を疑った――。
「申し訳ございません。アドルフ様。私ばかり美味しいものを頂いて、その上ここの支払いまでして頂いて‥‥」
エディットは申し訳なさげに頭を下げて来る。
店を出てから、馬車に乗り込んでもエディットはずっとこんな調子だった。
「だから、そんなこと気にしなくていいんだよ?これはデートなんだから。デートって言うのはね、普通は男性が支払うものなんだから」
王子に後ろめたい気持ちを抱えながら、エディットに言い聞かせた。
「デ、デート…そ、そうですよね?これはデート…」
そしてエディットは頬を染めながら口の中で小さく呟いていたけれども、やがて顔をあげて僕を見つめてきた。
「あ、あの…でしたら、今度は私がアドルフ様に何かお礼をしたいので…そ、そのまた…デートを…‥」
エディットは余程恥ずかしいのか、最後の言葉は聞き取れないほどに小さなものだった。
「エディット‥‥」
これ以上エディットと深く関わってはいけない事だと思いつつ、僕は笑顔で頷いた。
「うん、またデートしよう」
そしてエディットの頭をそっと撫でると彼女は嬉しそうな笑みを浮かべた――。
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その後も、馬車の中で僕とエディットは他愛もない会話を楽しんだ。
例えばお互いの好きな食べ物の話や、趣味の話など‥‥その内容は様々だったけど、僕には分かった。
エディットが意図的に学校の話を避けているということに。
やっぱり口にはしないけれども、僕とサチのあんな場面を見てしまったことがショックだったのかもしれない。
勿論、それは僕にも言える事だった。
エディットがいくらサチと一緒だったとはいえ、王子と一緒に食事をしている姿は何故か胸が少しだけ痛んだ。
2人が親しくなることをあれほど自分で望んでいたはずなのに、何故か今は素直にそのことを喜べない自分がいる。
あまりにも一緒にいすぎたせいで、ひょっとすると僕はエディットに情が湧いてしまったのかもしれない――。
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空の色が黄昏てくる頃……僕が暮らす屋敷が近づいてきた。
「そろそろ到着しそうだね」
「はい、そうですね」
こくりと頷くエディット。
「あの…アドルフ様。」
「何?」
「明日からは……学生食堂で一緒にお昼を頂きませんか…?」
エディットが言いにくそうに言葉を紡ぎ出す。
「だけど‥‥僕はCクラスで、エディットはAクラスなんだよ?一緒にいるとクラスメイトからまた何か言われたりするんじゃないのかい?」
それに、王子だっているのに…‥。
「それなら、多分大丈夫です」
エディットはきっぱり頷いた。
「え?それは一体…あ!もしかして明日、この間の歴史の試験の結果が貼り出されるからってこと?」
「はい、きっと明日の試験でアドルフ様は素晴らしい成績を収めると思います。周囲の視線も変わってくると思うのです。だから…」
エディットの目は真剣だった。
「うん。分かったよ。それじゃ僕の成績が本当に良かったら、一緒にお昼を食べに行こう?」
「はい」
僕の言葉にエディットは嬉しそうに返事をした――。
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馬車が屋敷に到着した。
「エディット、今日も送ってくれてありがとう」
馬車から降りると、改めてエディットにお礼を述べた。
「いえ。こちらこそ今日は私のわがままに付き合って頂いてありがとうございました。それに…まだお身体だって良くなっていないのに…」
「わがままだなんて、少しも思っていないよ。何しろ今日は楽しい時を過ごすことが出来たんだから。それに怪我の方も大丈夫だよ。大分痛みもひいているから」
それは本心からの言葉だった。
「あ…わ、私も楽しかった‥‥です」
エディットは頬を赤らめて頷く。
「エディット、今日はすっかり遅くなってしまったからもう帰った方がいいよ。御両親に宜しく伝えておいてくれるかな?」
「はい、分かりました。また明日お迎えに参りますね。それではお大事にして下さいね?」
「うん、ありがとう。それじゃあね」
「はい。アドルフ様」
エディットが頭を下げたところで僕は馬車の扉を閉めると、御者に声を掛けた。
「すみません、それでは馬車を出して下さい」
「はい、承知致しました」
御者は頷くと、すぐに馬車は走り始めた。
「また明日、エディット」
夕闇に染まっていく空の下、エディットの馬車を見送ると屋敷へ足を向けた―。
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「ただいま戻りました」
扉を開けてエントランスに入ると、ドアマンが慌てた様子で僕に声を掛けて来た。
「あ!アドルフ様っ!お帰りなさいませ!」
「え?う、うん…ただいま‥‥?」
彼は何故これほどまでに驚いた様子で僕を迎えるのだろう?不思議に思い、首を傾げた時、バタバタと廊下から足音が近づいてきた。
「アドルフッ!」
廊下の角から姿を現したのは、他でも無い母だった。
「あ、ただいま戻りました。遅くなって申し訳ありません。実は今までエディットと一緒にいたものですから」」
「あら?そうなの?エディットさんと一緒だったのね…?それよりも貴方にお客様がいらしているのよ!早く応接間にお行きなさいっ!」
「え?僕にお客って…?」
お客って一体誰だ?
「同じ学校の生徒さんよ!急ぎなさいっ!」
「は、はい!」
まるで急き立てられるかのように僕は急いで応接室へ向かった。
同じ学校の生徒だって?
何だか非常に嫌な予感がする……。
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伯爵家のアドルフの屋敷はやたら広い。
肩で息をしながら、急ぎ足で歩き続け…ようやく応接室が見えてきた。
「や、やっと着いた‥‥…」
応接室の扉は開きっぱなしで、室内は丸見えだった。
一体、だれが僕を訪ねてきたのだろう?チラリと室内を覗きこみ‥‥息を呑んだ。
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