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第188話 告白
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生徒会の書紀の話を引き受けた時、氷室先輩は私にこう言った。
「みんないい人たちばかりだし、1学期はそれほど忙しくないから」
その言葉通り、生徒化の役員の人たちは皆良い人たちばかりだった。特に1年生は私だけだったということもあり、皆が私を何かと気にかけてくれた。
それに時間も16時半には終わっていたので、幸い両親にバレることも無かった。少し遅くなったとしても、「買い物をして帰ってきた」と言えば納得してくれたから。
生徒会の仕事はとても楽しかった。
身体の弱い私は放課後皆と集まることなど無かったので、それだけでもワクワクした。
でも、何故こんなにも生徒会の仕事にドキドキワクワクしていたのか……本当の理由は分かっていた。
それは氷室先輩がいたからだ。
先輩は3年生で私は1年生。
校舎だって違うし、共同で何かをすることだって無い。けれど、生徒会室へ行けば先輩がいる。
そして笑顔で私に話しかけてくれる。好きな人の側にいられることが……会話を交わすことが、これほど幸せだは思ってもいなかった。
好きです……先輩。
何度この言葉を告げたいと思ったかは数え切れない。けれど、勇気が出なくてどうしても私は告白することが出来なかった。
そう、あの時までは――。
****
「それじゃ皆。今日の議題も終わったことだし……そろそろ帰ろうか?」
生徒会室に掛けられた時計を見ながら氷室先輩が皆に声を掛けた。時計はもうすぐ17時になろうとしている。
「そうね。帰りましょうか?あ、そうだ。ねぇ、たまには皆でカフェにでも寄って帰らない?」
副生徒会長の河合先輩が提案した。
「お、いいね~」
「駅前に素敵なオープンカフェがあるよ」
「そこに行ってみようか」
可愛先輩の提案に次々と乗ってくる役員の人たち。
「どう?橘さんも行くでしょう?」
議長の安藤先輩が私に声を掛けてきた。
「あ、あの……私は……」
既に時間は17時。その後カフェに寄ればもっと帰りが遅くなって母に不審がられるかもしれない。
すると――。
「ごめん、悪いけど僕はパスさせてもらうよ。今日は炊事当番の日なんだ。橘さんも今日は買い物頼まれているって言ってたよね?一緒に帰ろう?」
氷室先輩が笑顔で私の頭を撫でてきた。
「せ、先輩……」
思わず顔が真っ赤になる。
「全く、氷室君は相変わらず橘さんがお気に入りよね?本当は自分だけ参加しない中で橘さんが私達とカフェに行くのが嫌なんじゃないの?」
「そうだよな。お前は橘さんに甘々だもんな~」
他の生徒会メンバーの人たちが次々と氷室先輩をからかってくる。
どうしよう……先輩が気分を悪くしなければ良いのだけど……。
ハラハラしていると、氷室先輩が意外な言葉を口にした。
「うん、僕は橘さんがお気に入りだからね。だから今日は彼女と一緒に帰りたいんだ。それじゃ、行こう?」
先輩の手は相変わらず私の頭を撫でていた――。
****
「ごめんね、橘さん」
2人で校舎を出ると、夕日を浴びながら先輩が謝ってきた。
「え?!な、何のことですか?」
「うん、ただでさえ今日は少し帰りが遅くなったのに……皆でカフェに行こうなんて話が出ちゃったからさ。橘さんは早く帰らなくちゃいけないのに」
あ……もしかして……。
「先輩。もしかして私が帰りやすいように、あんなことを言ったのですか?」
「う~ん、それもあるけど、実際炊事当番も本当のことだしね。うちは母子家庭で母もフルタイムで働いているからさ」
「そう……だったのですか……」
知らなかった。まさか母子家庭だったなんて。
「橘さん、今迄ありがとう」
不意に氷室先輩が意味深なセリフを言う。
「何のこと……ですか?」
「うん、実は書紀の仕事をしていた水島が明日から生徒会に復帰するんだ。それで多分皆は橘さんの送別会をしたかったと思うんだ。
「あ……」
それじゃ、私は……もう……用済み……?
「多分、皆言い出しにくかったんじゃないかな?橘さん、本当に書紀の仕事たのしそうにしていたから。それでカフェで伝えようと思ったのかもしれない」
「そう……だったのですか……」
そんな……もう氷室先輩とは……もうお別れになるなんて……。
「短い間だったけど、今までありがとう。一緒に仕事が出来て楽しかったよ」
何処までも優しい声と笑顔で私に語りかけてくる氷室先輩。
「あ、あの……生徒会の仕事が終わっても……また…会えますか……?」
歩いている足を私は止めた。
「橘さん?」
小首を傾げる先輩。
「こ、こんな風に……一緒に過ごせる時間……また、作ってもらえますか……」
俯く自分の心臓がドキドキ言って苦しい。駄目なのに……胸の鼓動を抑えなくちゃ心臓に負担がかかるのに……。それでも私はここで先輩と終わってしまう方が苦しくてたまらない。
「どうかしたの……?」
私の様子がおかしいことに気付いたのか先輩の顔に戸惑いが浮かぶ。
「氷室先輩……」
私は顔を上げた。
「何?」
「私は……先輩が好きです。ど、どうか……私と付き合って頂けませんか……?」
先輩に思いを告げる私の顔は……多分、夕日よりも真っ赤に染まっていたに違いない――。
「みんないい人たちばかりだし、1学期はそれほど忙しくないから」
その言葉通り、生徒化の役員の人たちは皆良い人たちばかりだった。特に1年生は私だけだったということもあり、皆が私を何かと気にかけてくれた。
それに時間も16時半には終わっていたので、幸い両親にバレることも無かった。少し遅くなったとしても、「買い物をして帰ってきた」と言えば納得してくれたから。
生徒会の仕事はとても楽しかった。
身体の弱い私は放課後皆と集まることなど無かったので、それだけでもワクワクした。
でも、何故こんなにも生徒会の仕事にドキドキワクワクしていたのか……本当の理由は分かっていた。
それは氷室先輩がいたからだ。
先輩は3年生で私は1年生。
校舎だって違うし、共同で何かをすることだって無い。けれど、生徒会室へ行けば先輩がいる。
そして笑顔で私に話しかけてくれる。好きな人の側にいられることが……会話を交わすことが、これほど幸せだは思ってもいなかった。
好きです……先輩。
何度この言葉を告げたいと思ったかは数え切れない。けれど、勇気が出なくてどうしても私は告白することが出来なかった。
そう、あの時までは――。
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「それじゃ皆。今日の議題も終わったことだし……そろそろ帰ろうか?」
生徒会室に掛けられた時計を見ながら氷室先輩が皆に声を掛けた。時計はもうすぐ17時になろうとしている。
「そうね。帰りましょうか?あ、そうだ。ねぇ、たまには皆でカフェにでも寄って帰らない?」
副生徒会長の河合先輩が提案した。
「お、いいね~」
「駅前に素敵なオープンカフェがあるよ」
「そこに行ってみようか」
可愛先輩の提案に次々と乗ってくる役員の人たち。
「どう?橘さんも行くでしょう?」
議長の安藤先輩が私に声を掛けてきた。
「あ、あの……私は……」
既に時間は17時。その後カフェに寄ればもっと帰りが遅くなって母に不審がられるかもしれない。
すると――。
「ごめん、悪いけど僕はパスさせてもらうよ。今日は炊事当番の日なんだ。橘さんも今日は買い物頼まれているって言ってたよね?一緒に帰ろう?」
氷室先輩が笑顔で私の頭を撫でてきた。
「せ、先輩……」
思わず顔が真っ赤になる。
「全く、氷室君は相変わらず橘さんがお気に入りよね?本当は自分だけ参加しない中で橘さんが私達とカフェに行くのが嫌なんじゃないの?」
「そうだよな。お前は橘さんに甘々だもんな~」
他の生徒会メンバーの人たちが次々と氷室先輩をからかってくる。
どうしよう……先輩が気分を悪くしなければ良いのだけど……。
ハラハラしていると、氷室先輩が意外な言葉を口にした。
「うん、僕は橘さんがお気に入りだからね。だから今日は彼女と一緒に帰りたいんだ。それじゃ、行こう?」
先輩の手は相変わらず私の頭を撫でていた――。
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「ごめんね、橘さん」
2人で校舎を出ると、夕日を浴びながら先輩が謝ってきた。
「え?!な、何のことですか?」
「うん、ただでさえ今日は少し帰りが遅くなったのに……皆でカフェに行こうなんて話が出ちゃったからさ。橘さんは早く帰らなくちゃいけないのに」
あ……もしかして……。
「先輩。もしかして私が帰りやすいように、あんなことを言ったのですか?」
「う~ん、それもあるけど、実際炊事当番も本当のことだしね。うちは母子家庭で母もフルタイムで働いているからさ」
「そう……だったのですか……」
知らなかった。まさか母子家庭だったなんて。
「橘さん、今迄ありがとう」
不意に氷室先輩が意味深なセリフを言う。
「何のこと……ですか?」
「うん、実は書紀の仕事をしていた水島が明日から生徒会に復帰するんだ。それで多分皆は橘さんの送別会をしたかったと思うんだ。
「あ……」
それじゃ、私は……もう……用済み……?
「多分、皆言い出しにくかったんじゃないかな?橘さん、本当に書紀の仕事たのしそうにしていたから。それでカフェで伝えようと思ったのかもしれない」
「そう……だったのですか……」
そんな……もう氷室先輩とは……もうお別れになるなんて……。
「短い間だったけど、今までありがとう。一緒に仕事が出来て楽しかったよ」
何処までも優しい声と笑顔で私に語りかけてくる氷室先輩。
「あ、あの……生徒会の仕事が終わっても……また…会えますか……?」
歩いている足を私は止めた。
「橘さん?」
小首を傾げる先輩。
「こ、こんな風に……一緒に過ごせる時間……また、作ってもらえますか……」
俯く自分の心臓がドキドキ言って苦しい。駄目なのに……胸の鼓動を抑えなくちゃ心臓に負担がかかるのに……。それでも私はここで先輩と終わってしまう方が苦しくてたまらない。
「どうかしたの……?」
私の様子がおかしいことに気付いたのか先輩の顔に戸惑いが浮かぶ。
「氷室先輩……」
私は顔を上げた。
「何?」
「私は……先輩が好きです。ど、どうか……私と付き合って頂けませんか……?」
先輩に思いを告げる私の顔は……多分、夕日よりも真っ赤に染まっていたに違いない――。
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