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第24話 ワクワクが止まらない
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「そこで何をしているのだね?」
「え?!」
私はワクワクしてほくそ笑んでいると、突然声を掛けられた。慌てて顔をあげると、何と私の前には義父が立っているではないか!彼は私の顔をじっと見つめている。
「ここはデニムが見合いをしている部屋ではないか?」
義父は静かな声で尋ねてくる。
「あ、え、えっと…はい、そうです」
私の背中に嫌な汗が流れてきた。何故義父がここにやってきたのだろう?私は義父と義母の動きを注視し、決してここには近寄らせないように皆に伝えておいたのに…!
く…っ!ここまできて万事急須か?!
思わずうつむき、両手をぐっと握りしめた時…。
「本当にフェリシア。君には申し訳ない事をしてしまったと思っているよ」
「ええ、確かに…」
義父の言葉にうなずきかけ、そこで私はハッと気がついた。
「え…?い、今何と…?」
思わず声が震えてしまった。
「ああ、そんな格好をしてはいるが…君はフェリシアだろう?」
義父は優しい笑顔を向けてくる。
「ま、まさか…気付いていたのですかっ?!」
「ああ、昨日廊下ですれ違った時にすぐに君だと気付いたよ。あの時はあまりにも驚いて危うく声を上げてしまいそうになった」
「ええっ?!そうなのですかっ?!」
そんなまさか!義父にとっくに私の正体に気づかれていたなんて!そしてさらに驚くべき話を義父は口にした。
「フェリシア、思う存分やってくれたまえ。」
「え?」
「実はね、今回君が実家に里帰りした時に妻と息子がこれ幸いと離婚話に持っていく相談を始めたんだよ。私はすっかり驚いてしまった。だがこの屋敷のかつては執事であり、婿養子の私には何も口出しする権利が無くて…あの2人は勝手に離婚届を作成してしまったんだよ。おまけに年若い独身貴族令嬢たちに自分との見合いの話まで公募で募ったのだから驚きだよ。しかも見合いをするだけで豪華景品を貰える等とうたえば、飛びつく令嬢も多くいるだろう」
「は、はあ…」
私はあまりの突然の話に戸惑うばかりだった。
「とにかく、これからまた何か事を起こすのだろう?頑張りなさい。私も陰ながら応援するからね。今夜9時に私の執務室でまた会おう」
義父はそれだけ言うと、背中を向けて去って行った。私は呆然とその背中を見送っていたが、こちらに近づいてくるジェニー嬢と侍女を連れたクララたちに気付き、背筋を正した。
ジェニー嬢は扉の前に立っている私に気付くと声を掛けてきた。
「まあ、貴女は先程のメイドさんではありませんか。こちらで何をされていたのですか?」
「はい、説明致しますが…もう少々お待ち頂けますか?」
「は、はい…分かりましたわ。」
ジェニー嬢は首を傾げながらも了承してくれた。うん、本当に素直で可愛らしい方だ。何としてもデニムのようなクズ男の妻にさせるわけにはいかない。するとそこへ今度はマリア嬢の両親を連れたフレディたちがやってきた。
「おや?お前は先程我らを出迎えたメイドだな?」
「はい、お待ちしておりました。クラウス様」
私は深々と頭を下げた。すると婦人がジェニー嬢に気付き声を掛けた。
「あら?貴女は…どなたかしら?」
「あ、あの…私はジェニー・ワイルドと申します」
ジェニー嬢はクラウス夫妻にペコリとお辞儀をした。
「ああ、ワイルド家のご令嬢でしたか?はじめまして。私はクラウス家の当主です」
「私は妻のエリザベート・クラウスです」
貴族らしく2人は丁寧に頭を下げて挨拶する。なるほど…さすがは貴族社会。やはり付き合いが広いようだ。
今、この夫妻は上品に振る舞っているが…一体彼らは後どのくらい冷静さを保っていられるだろうか…?
私はこのすぐ後に起こるであろう修羅場に胸を踊らせるのだった―。
「え?!」
私はワクワクしてほくそ笑んでいると、突然声を掛けられた。慌てて顔をあげると、何と私の前には義父が立っているではないか!彼は私の顔をじっと見つめている。
「ここはデニムが見合いをしている部屋ではないか?」
義父は静かな声で尋ねてくる。
「あ、え、えっと…はい、そうです」
私の背中に嫌な汗が流れてきた。何故義父がここにやってきたのだろう?私は義父と義母の動きを注視し、決してここには近寄らせないように皆に伝えておいたのに…!
く…っ!ここまできて万事急須か?!
思わずうつむき、両手をぐっと握りしめた時…。
「本当にフェリシア。君には申し訳ない事をしてしまったと思っているよ」
「ええ、確かに…」
義父の言葉にうなずきかけ、そこで私はハッと気がついた。
「え…?い、今何と…?」
思わず声が震えてしまった。
「ああ、そんな格好をしてはいるが…君はフェリシアだろう?」
義父は優しい笑顔を向けてくる。
「ま、まさか…気付いていたのですかっ?!」
「ああ、昨日廊下ですれ違った時にすぐに君だと気付いたよ。あの時はあまりにも驚いて危うく声を上げてしまいそうになった」
「ええっ?!そうなのですかっ?!」
そんなまさか!義父にとっくに私の正体に気づかれていたなんて!そしてさらに驚くべき話を義父は口にした。
「フェリシア、思う存分やってくれたまえ。」
「え?」
「実はね、今回君が実家に里帰りした時に妻と息子がこれ幸いと離婚話に持っていく相談を始めたんだよ。私はすっかり驚いてしまった。だがこの屋敷のかつては執事であり、婿養子の私には何も口出しする権利が無くて…あの2人は勝手に離婚届を作成してしまったんだよ。おまけに年若い独身貴族令嬢たちに自分との見合いの話まで公募で募ったのだから驚きだよ。しかも見合いをするだけで豪華景品を貰える等とうたえば、飛びつく令嬢も多くいるだろう」
「は、はあ…」
私はあまりの突然の話に戸惑うばかりだった。
「とにかく、これからまた何か事を起こすのだろう?頑張りなさい。私も陰ながら応援するからね。今夜9時に私の執務室でまた会おう」
義父はそれだけ言うと、背中を向けて去って行った。私は呆然とその背中を見送っていたが、こちらに近づいてくるジェニー嬢と侍女を連れたクララたちに気付き、背筋を正した。
ジェニー嬢は扉の前に立っている私に気付くと声を掛けてきた。
「まあ、貴女は先程のメイドさんではありませんか。こちらで何をされていたのですか?」
「はい、説明致しますが…もう少々お待ち頂けますか?」
「は、はい…分かりましたわ。」
ジェニー嬢は首を傾げながらも了承してくれた。うん、本当に素直で可愛らしい方だ。何としてもデニムのようなクズ男の妻にさせるわけにはいかない。するとそこへ今度はマリア嬢の両親を連れたフレディたちがやってきた。
「おや?お前は先程我らを出迎えたメイドだな?」
「はい、お待ちしておりました。クラウス様」
私は深々と頭を下げた。すると婦人がジェニー嬢に気付き声を掛けた。
「あら?貴女は…どなたかしら?」
「あ、あの…私はジェニー・ワイルドと申します」
ジェニー嬢はクラウス夫妻にペコリとお辞儀をした。
「ああ、ワイルド家のご令嬢でしたか?はじめまして。私はクラウス家の当主です」
「私は妻のエリザベート・クラウスです」
貴族らしく2人は丁寧に頭を下げて挨拶する。なるほど…さすがは貴族社会。やはり付き合いが広いようだ。
今、この夫妻は上品に振る舞っているが…一体彼らは後どのくらい冷静さを保っていられるだろうか…?
私はこのすぐ後に起こるであろう修羅場に胸を踊らせるのだった―。
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