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第12話 旦那様。今、私に何と言ったのでしょうか?
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それは、ジャンヌが『イナカ』に嫁いで半年が経過した頃だった。
相変わらず毎日を遊び呆けて過ごしていたヘンリーは、所持金を全て使い切ってしまったので『イナカ』に唯一存在する銀行に来ていた。
「これはヘンリー様。本日はどのような御要件で当銀行にお越しいただいたのでしょうか?」
窓口で男性行員が愛想笑いを浮かべながら対応していた。
「どのような御要件? そんなのは簡単なことだ。金を下ろしに来たに決まっているだろう? この通り、預金通帳に印鑑も用意してあるんだ。さぁ、早く全額引き出してくれ」
偉そうな態度を取るヘンリーに行員は申し訳無さそうに謝罪してきた。
「はぁ……ですが、大変申し訳ございませんが、ヘンリー様の銀行口座は全額引き出されておりまして残金は0になっております」
「はぁ!? 残金0だと!? そんな馬鹿な話があってたまるか!」
「い、いえ! 本当に嘘ではありません。今から三ヶ月程前でしょうか? ジャンヌ様がいらっしゃいまして、残額引き出されたのです。こちらがその時の証明書です」
行員が手渡してきた用紙をひったくるように奪うと、ヘンリーは目を通した。すると確かに、全額おろした記録とサインが残されている。
「な、な、何だ……これは……!」
ヘンリーは怒りでブルブル身体を震わせると、書類を叩きつけた。
「ふっざけるな! あの女! もう我慢ならん!」
雄叫びを上げながら、ヘンリーは銀行を飛び出して行った――
****
「おい! お前!」
ヘンリーはドアをノックすることもなく、書斎の扉を開けた。
「あら? 旦那様ではありませんか? お久しぶりですね。こうして顔を合わせるのは3ヶ月ぶりくらいでしょうか?」
ジャンヌは顔を上げると笑みを浮かべた。
「そんな話はどうでもいい! お前、俺の通帳から全額勝手に下ろしただろう!? 早く返せ! 一体何に使ったんだよ!」
「まぁ……今頃気付かれたのですか? 驚きですね? 余程へそくりしていたのでしょうね?」
「へそくりの話など関係無い! 今すぐ俺の金を全額耳を揃えて返せ!」
「ありませんわ」
「……は? 無い? そんな筈無いだろう!」
「全く、何一つ分かっていらっしゃらないのですね?」
ジャンヌはため息を付く。
「ヘンリー様、あれほどツケをするのはやめるようにと申し上げておりましたのに、やっておりましたね? 酒場と料理屋を経営する領民たちが訴えてきたのですよ? なのでヘンリー様の口座からお金を下ろして彼らに支払っただけです。それでも足りなかったので、私がお金を付け足したのです」
「……は? な、何だって……何て勝手な真似をしてくれたんだよ!!」
「いいえ、勝手ではありません。何処の世界に領民にツケを要求する領主がいるのですか?」
「うるさい! そもそも、それでも俺は正当な領主だ! なのにいい加減な書類で勝手に俺との婚姻届なんか役所に提出しやがって……もうお前とは離婚だ! とっととここから出ていけ!」
すると、ジャンヌは口元に笑みを浮かべると、立ち上がった。
「旦那様。 今、私に何と言ったのでしょうか?」
「何だ? 聞こえなかったのか? ならもう一度言ってやる。おまえとは離婚する。荷物をまとめて、今直ぐ出てけ!」
ヘンリーは扉を指差し、叫んだ――
相変わらず毎日を遊び呆けて過ごしていたヘンリーは、所持金を全て使い切ってしまったので『イナカ』に唯一存在する銀行に来ていた。
「これはヘンリー様。本日はどのような御要件で当銀行にお越しいただいたのでしょうか?」
窓口で男性行員が愛想笑いを浮かべながら対応していた。
「どのような御要件? そんなのは簡単なことだ。金を下ろしに来たに決まっているだろう? この通り、預金通帳に印鑑も用意してあるんだ。さぁ、早く全額引き出してくれ」
偉そうな態度を取るヘンリーに行員は申し訳無さそうに謝罪してきた。
「はぁ……ですが、大変申し訳ございませんが、ヘンリー様の銀行口座は全額引き出されておりまして残金は0になっております」
「はぁ!? 残金0だと!? そんな馬鹿な話があってたまるか!」
「い、いえ! 本当に嘘ではありません。今から三ヶ月程前でしょうか? ジャンヌ様がいらっしゃいまして、残額引き出されたのです。こちらがその時の証明書です」
行員が手渡してきた用紙をひったくるように奪うと、ヘンリーは目を通した。すると確かに、全額おろした記録とサインが残されている。
「な、な、何だ……これは……!」
ヘンリーは怒りでブルブル身体を震わせると、書類を叩きつけた。
「ふっざけるな! あの女! もう我慢ならん!」
雄叫びを上げながら、ヘンリーは銀行を飛び出して行った――
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「おい! お前!」
ヘンリーはドアをノックすることもなく、書斎の扉を開けた。
「あら? 旦那様ではありませんか? お久しぶりですね。こうして顔を合わせるのは3ヶ月ぶりくらいでしょうか?」
ジャンヌは顔を上げると笑みを浮かべた。
「そんな話はどうでもいい! お前、俺の通帳から全額勝手に下ろしただろう!? 早く返せ! 一体何に使ったんだよ!」
「まぁ……今頃気付かれたのですか? 驚きですね? 余程へそくりしていたのでしょうね?」
「へそくりの話など関係無い! 今すぐ俺の金を全額耳を揃えて返せ!」
「ありませんわ」
「……は? 無い? そんな筈無いだろう!」
「全く、何一つ分かっていらっしゃらないのですね?」
ジャンヌはため息を付く。
「ヘンリー様、あれほどツケをするのはやめるようにと申し上げておりましたのに、やっておりましたね? 酒場と料理屋を経営する領民たちが訴えてきたのですよ? なのでヘンリー様の口座からお金を下ろして彼らに支払っただけです。それでも足りなかったので、私がお金を付け足したのです」
「……は? な、何だって……何て勝手な真似をしてくれたんだよ!!」
「いいえ、勝手ではありません。何処の世界に領民にツケを要求する領主がいるのですか?」
「うるさい! そもそも、それでも俺は正当な領主だ! なのにいい加減な書類で勝手に俺との婚姻届なんか役所に提出しやがって……もうお前とは離婚だ! とっととここから出ていけ!」
すると、ジャンヌは口元に笑みを浮かべると、立ち上がった。
「旦那様。 今、私に何と言ったのでしょうか?」
「何だ? 聞こえなかったのか? ならもう一度言ってやる。おまえとは離婚する。荷物をまとめて、今直ぐ出てけ!」
ヘンリーは扉を指差し、叫んだ――
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