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2章26 休息
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ベンチに座ったままウトウトしていると、ガラガラと車輪の音が近づいてきていることに気付いた。
顔を上げると辻馬車がこちらに向かってきている。
「辻馬車……もしかしてアンディが呼んだ馬車かしら?」
そのまま見ていると馬車が目の前で止まって扉が開かれ、アンディが降りてきた。
「ユニス、馬車を呼んできたよ。乗って」
「ありがとう」
ふらつく身体で立ち上がり、何とか馬車に乗り込む。
「アンディ、わざわざ馬車を呼んできてくれてありがとう」
「気にしないでいいよ。それで、何処まで送ってもらうの?」
そこで番地を教えると、アンディが御者に行き先を告げてくれた。
「ユニス、風邪が早く治るといいね。それじゃ、またね」
「ええ。またね」
そして私はアンディに見送られながら、学園を後にした――
****
この日、赤い顔で帰宅した私を母が驚いて出迎えた。
学校で風邪を引いたことを告げると、すぐに部屋に入って休むように言われたので私は素直にベッドに入ることにした。
「こんな大事な時に風邪を引いてしまうなんて……」
熱でぼんやりした頭で天井を見つめながら、ポツリと呟いた。
リオンの誕生日まで、後半月程になってしまった。それまでに会場の場所と、火災が起きた時の対処法を考えなくてはならない。
そうだ。もしかして誕生パーティーに呼ばれる生徒の中には水魔法が得意な生徒もいるかも……。
そんなことを考えているうちに、私は眠りについてしまった――
次に目覚めたときは、部屋の中はランプが灯されていた。
頭には濡れたタオルが乗せられており、ベッドサイドには水が注がれたグラスがある。
体調はすっかり良くなっていたので、ベッドから起き上がると母の声が聞こえた。
「ユニス、目が覚めたの?」
「え?」
すると、母がソファに座っている姿が目に入った。
「お母様、もしかしてずっとここにいたのですか?」
「ええ、そうよ。心配だったから付き添っていたのよ」
母は近づいてくると、額に手を当てた。
「……もう熱は無いようね」
「はい、すっかり良くなりました」
これなら明日は学校に行けるだろう。
「そのようね。でも、明日は休まなければ駄目よ」
「え? 学校に行ってはいけないのですか?」
今の私はやらなければならないことが山積みだった。休んでいる余裕等無いのに。
「駄目よ。大事を取って休みなさい。試験勉強を頑張ったから、きっと疲れが出たのよ」
「疲れ……」
確かに今回はなんとしても試験でロザリンに負けるわけにはいかないので、睡眠時間を削って勉強を頑張った。
その後は、リオンの魔力暴走の被害を食い止めるために何か方法が無いか夜遅くまで調べ物をした。
ユニスの身体はまだ子供。疲れが貯まるのは無理もない話かもしれない。心配している母の為にも言うことを聞いた方が良さそうだ。
「分かりました、明日は学校を休みます」
「分かればいいわ。今夜はここに食事を持ってきてもらうように話しておくわね」
「はい」
その夜は自室で母と一緒に夕食をとり、医務室の先生から調合して貰った薬を飲むと早目に眠ることにした。
そして翌日。
思いがけない人がお見舞いに来てくれることになる――
顔を上げると辻馬車がこちらに向かってきている。
「辻馬車……もしかしてアンディが呼んだ馬車かしら?」
そのまま見ていると馬車が目の前で止まって扉が開かれ、アンディが降りてきた。
「ユニス、馬車を呼んできたよ。乗って」
「ありがとう」
ふらつく身体で立ち上がり、何とか馬車に乗り込む。
「アンディ、わざわざ馬車を呼んできてくれてありがとう」
「気にしないでいいよ。それで、何処まで送ってもらうの?」
そこで番地を教えると、アンディが御者に行き先を告げてくれた。
「ユニス、風邪が早く治るといいね。それじゃ、またね」
「ええ。またね」
そして私はアンディに見送られながら、学園を後にした――
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この日、赤い顔で帰宅した私を母が驚いて出迎えた。
学校で風邪を引いたことを告げると、すぐに部屋に入って休むように言われたので私は素直にベッドに入ることにした。
「こんな大事な時に風邪を引いてしまうなんて……」
熱でぼんやりした頭で天井を見つめながら、ポツリと呟いた。
リオンの誕生日まで、後半月程になってしまった。それまでに会場の場所と、火災が起きた時の対処法を考えなくてはならない。
そうだ。もしかして誕生パーティーに呼ばれる生徒の中には水魔法が得意な生徒もいるかも……。
そんなことを考えているうちに、私は眠りについてしまった――
次に目覚めたときは、部屋の中はランプが灯されていた。
頭には濡れたタオルが乗せられており、ベッドサイドには水が注がれたグラスがある。
体調はすっかり良くなっていたので、ベッドから起き上がると母の声が聞こえた。
「ユニス、目が覚めたの?」
「え?」
すると、母がソファに座っている姿が目に入った。
「お母様、もしかしてずっとここにいたのですか?」
「ええ、そうよ。心配だったから付き添っていたのよ」
母は近づいてくると、額に手を当てた。
「……もう熱は無いようね」
「はい、すっかり良くなりました」
これなら明日は学校に行けるだろう。
「そのようね。でも、明日は休まなければ駄目よ」
「え? 学校に行ってはいけないのですか?」
今の私はやらなければならないことが山積みだった。休んでいる余裕等無いのに。
「駄目よ。大事を取って休みなさい。試験勉強を頑張ったから、きっと疲れが出たのよ」
「疲れ……」
確かに今回はなんとしても試験でロザリンに負けるわけにはいかないので、睡眠時間を削って勉強を頑張った。
その後は、リオンの魔力暴走の被害を食い止めるために何か方法が無いか夜遅くまで調べ物をした。
ユニスの身体はまだ子供。疲れが貯まるのは無理もない話かもしれない。心配している母の為にも言うことを聞いた方が良さそうだ。
「分かりました、明日は学校を休みます」
「分かればいいわ。今夜はここに食事を持ってきてもらうように話しておくわね」
「はい」
その夜は自室で母と一緒に夕食をとり、医務室の先生から調合して貰った薬を飲むと早目に眠ることにした。
そして翌日。
思いがけない人がお見舞いに来てくれることになる――
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