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2章25 気にする人、しない人
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少しふらつきながら正門目指して歩いていると、こちらへ駆け寄ってくる足音が聞こえてきた。
「ユニスだよね!?」
聞き覚えのある大きな声で呼ばれ、振り向くとアンディだった。
「アンディ、どうしたの?」
「実は、ユニスに用事があって放課後教室に寄ったんだよ。そうしたら今日は体調が悪くて保健室に行ってるって聞いたんだ。それで寄ってみれば、たった今帰ったって言われて追いかけてきたんだけど……大丈夫? まだ顔が赤いね。具合が悪いんじゃないの?」
「そうね……あまり良くないわ。だから、帰るところよ」
「迎の馬車はあるの?」
「無いわ。最近はスクール馬車に乗っているから」
「そうだったの? ……何だ。だったらリオンに送ってもらえば良かったのに。昨日は一緒に帰ったんだよね?」
「ええ。昨日はたまたまね」
大体リオンは私に用事があるときしか、声をかけてこない。それに今はロザリンが側にいる。
そんな状況で「家まで送って欲しい」とは頼めるはずもない。
「それじゃ、スクール馬車で帰るんだね」
「帰らないわ。辻馬車に乗って家まで帰ろうと思うの。風邪を引いているのに、皆と同じ馬車に乗るわけにはいかないもの」
本当は理由は別にあった。
スクール馬車は家の前まで送ってはくれない。要所要所の決められた場所で停車し、そこからは歩いて帰るのだ。
今の私には家まで歩いて帰れそうに無かった。でも、そんなことを言えばアンディは気にしてしまうかもしれない。
彼は困っている人は放っておけない人なのだから。
「え? それじゃ、辻馬車乗り場まで行くつもりなの?」
「そうよ」
「駄目だよ!」
突然アンディが大きな声を出した。
「何が駄目なの?」
「だって、今にも倒れそうなくらいフラフラしているよ。僕が辻馬車を拾ってくるから、ユニスはあそこで待っていてよ」
指さした先にはベンチがある。
「え? だけど……」
「いいから、こっちにきて。カバンは預かるから」
アンディは私のカバンを取り上げるとベンチに向かって歩いて行くので、私もついていくしか無かった。
「はい、カバン」
ベンチに座ると、アンディがカバンを返してきたので受け取った。
「それじゃ、待っていてね!」
私に声をかけると、彼はすぐに正門目指して駆け出して行った。
「……アンディはやっぱり親切なのね」
成績優秀で親切で優しい。そして並外れた美しい容姿……流石はメインヒーローだ。
「やっぱり、ヒロインはアンディを選ぶのかしら……」
出来ることなら、リオンを選んで欲しい。
だってゲーム中で、リオンがどれだけヒロインを愛していたかを知っているから。
「……だけど、リオンにはもうヒロインは必要ないのかも……」
今、彼の側にはロザリンがいる。
2人は誰が見てもお似合いだった。こんなに地味な私よりずっと。
そんなことを考えていたとき。
「あれ? ユニスじゃない?」
直ぐ側で声をかけられて顔を上げると、リオンが私を見下ろしていた。
「リ……」
「あら? ユニスさんじゃない」
リオンの陰からロザリンが姿を見せた。
「ロザリン……」
「ユニス、ここで何してるの?」
「友達を待っていたのよ」
リオンに事情を話す気になれなかった。
「リオン様、早く一緒に帰りましょうよ」
ロザリンは私に対して後ろめたいのか、リオンの腕を引っ張る。
「分かったよ、それじゃユニス。またね」
「ええ。またね」
リオンはすぐに背を向けると、ロザリンと一緒に行ってしまった。
アンディだって私の体調が悪いことに気づいたのに、リオンは気にも止める様子は無かった。
「やっぱり、私には感心がないのね……」
遠ざかっていくリオンとロザリンの背中を見つめながら、ため息をついた――
「ユニスだよね!?」
聞き覚えのある大きな声で呼ばれ、振り向くとアンディだった。
「アンディ、どうしたの?」
「実は、ユニスに用事があって放課後教室に寄ったんだよ。そうしたら今日は体調が悪くて保健室に行ってるって聞いたんだ。それで寄ってみれば、たった今帰ったって言われて追いかけてきたんだけど……大丈夫? まだ顔が赤いね。具合が悪いんじゃないの?」
「そうね……あまり良くないわ。だから、帰るところよ」
「迎の馬車はあるの?」
「無いわ。最近はスクール馬車に乗っているから」
「そうだったの? ……何だ。だったらリオンに送ってもらえば良かったのに。昨日は一緒に帰ったんだよね?」
「ええ。昨日はたまたまね」
大体リオンは私に用事があるときしか、声をかけてこない。それに今はロザリンが側にいる。
そんな状況で「家まで送って欲しい」とは頼めるはずもない。
「それじゃ、スクール馬車で帰るんだね」
「帰らないわ。辻馬車に乗って家まで帰ろうと思うの。風邪を引いているのに、皆と同じ馬車に乗るわけにはいかないもの」
本当は理由は別にあった。
スクール馬車は家の前まで送ってはくれない。要所要所の決められた場所で停車し、そこからは歩いて帰るのだ。
今の私には家まで歩いて帰れそうに無かった。でも、そんなことを言えばアンディは気にしてしまうかもしれない。
彼は困っている人は放っておけない人なのだから。
「え? それじゃ、辻馬車乗り場まで行くつもりなの?」
「そうよ」
「駄目だよ!」
突然アンディが大きな声を出した。
「何が駄目なの?」
「だって、今にも倒れそうなくらいフラフラしているよ。僕が辻馬車を拾ってくるから、ユニスはあそこで待っていてよ」
指さした先にはベンチがある。
「え? だけど……」
「いいから、こっちにきて。カバンは預かるから」
アンディは私のカバンを取り上げるとベンチに向かって歩いて行くので、私もついていくしか無かった。
「はい、カバン」
ベンチに座ると、アンディがカバンを返してきたので受け取った。
「それじゃ、待っていてね!」
私に声をかけると、彼はすぐに正門目指して駆け出して行った。
「……アンディはやっぱり親切なのね」
成績優秀で親切で優しい。そして並外れた美しい容姿……流石はメインヒーローだ。
「やっぱり、ヒロインはアンディを選ぶのかしら……」
出来ることなら、リオンを選んで欲しい。
だってゲーム中で、リオンがどれだけヒロインを愛していたかを知っているから。
「……だけど、リオンにはもうヒロインは必要ないのかも……」
今、彼の側にはロザリンがいる。
2人は誰が見てもお似合いだった。こんなに地味な私よりずっと。
そんなことを考えていたとき。
「あれ? ユニスじゃない?」
直ぐ側で声をかけられて顔を上げると、リオンが私を見下ろしていた。
「リ……」
「あら? ユニスさんじゃない」
リオンの陰からロザリンが姿を見せた。
「ロザリン……」
「ユニス、ここで何してるの?」
「友達を待っていたのよ」
リオンに事情を話す気になれなかった。
「リオン様、早く一緒に帰りましょうよ」
ロザリンは私に対して後ろめたいのか、リオンの腕を引っ張る。
「分かったよ、それじゃユニス。またね」
「ええ。またね」
リオンはすぐに背を向けると、ロザリンと一緒に行ってしまった。
アンディだって私の体調が悪いことに気づいたのに、リオンは気にも止める様子は無かった。
「やっぱり、私には感心がないのね……」
遠ざかっていくリオンとロザリンの背中を見つめながら、ため息をついた――
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