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8-4 シュミットの懸念
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翌朝10時―
「それではエルウィン様、ミカエル様とウリエル様をどうぞよろしくお願い致します」
エルウィンの執務室にミカエルとウリエルを連れたオズワルドが相変わらずの無表情で挨拶をした。
「ああ、任せて置け。何しろ2人は俺にとって血を分けた身内なのだからな」
エルウィンは、腕組みしながらミカエルとウリエルを見た。そんなエルウィンの様子をシュミットは黙って見つめている。
「さ、お2人とも。エルウィン様にご挨拶をなさって下さい」
オズワルドはミカエルとウリエルを促した。
「はい、エルウィン様。今日からこの南塔でお世話になります。よろしくお願いします」
ミカエルはエルウィンに丁寧に頭を下げる。
「よろしくお願いします」
エルウィンの事が大好きなウリエルはニコニコしながら挨拶をした。
「ああ。こちらもよろしくな」
笑みを浮かべながらエルウィンは頷いた。
「2人とも、立派に挨拶出来ましたな」
オズワルドはまるで自分が2人の後見人のような態度で接している。
それがシュミットには面白くなかった。
(分からない…一体オズワルド様は何を考えておられるのだ?我々とは対立関係にあるのに、ミカエル様とウリエル様をエルウィン様に託すなど…)
「今日から早速、部屋を使えるように今準備をしているところだ。用意が出来たら迎えを寄こすので、とりあえずまた部屋に戻っていて貰えるか?」
エルウィンの言葉にオズワルドは頷いた。
「ええ、勿論です。今は引っ越し前に一度ご挨拶に伺っただけですので。こちらもまだ準備が終わっておりませんので。ではいったん失礼致します。それではお2人とも、参りましょうか?」
オズワルドはミカエルとウリエルに声を掛けた。
「はい、それでは失礼致します」
「失礼します」
ミカエルとウリエルは頭を下げ、オズワルドは2人を連れて部屋から出て行った。
バタン…
部屋の扉が閉ざされ、室内はエルウィンとシュミットの2人きりとなった。
そこですぐにシュミットはエルウィンに声を掛けた。
「エルウィン様、どう思われますか?」
「どう思う…?一体何のことだ?」
「オズワルド様の事です。あの方はランベール様の最側近とも呼ばれる方でしたので…今回のランベール様の死に関して、少なくとも我らに関してあまり良い印象を持っていないと思うのです」
「ああ、確かにそうだな。何といってもオズワルドは俺が叔父上を殺害した犯人ではないかと言ったくらいだからな」
目の前に置かれた書類をパラパラと興味なさげにめくりながらエルウィンは答えた。
「それなのに、今回はエルウィン様にミカエル様とウリエル様を託そうとしています。妙だとは思いませんか?」
「う~ん…。それはミカエルとウリエルを東塔で暮らしをさせるには良くない環境だとオズワルドが判断したからじゃないか?ひょっとすると叔父上が存命だった頃から2人を俺に託したいと考えていたかもしれん。何しろミカエルもウリエルも俺を慕ってくれているからな」
嬉しそうにミカエルとウリエルの話をするエルウィンだが、シュミットにはどうしてもそうは思えなかった。
(オズワルド様は狡猾な方だ…。何より、同じランベール様の腹心でおられるバルド様もドミニコ様も彼の事を警戒している…。エルウィン様はどうも短絡的な考えを持っておられるようだ。ここは私が気を引き締めておかなければ…)
するとエルウィンが声を掛けてきた。
「どうした?シュミット。さっきから気難しい顔をして…」
「いえ?その様な事はありませんよ?さて、それでは本日はミカエル様とウリエル様を招く準備もあって、忙しいので午前中の内に仕事を仕上げてしまいましょう」
シュミットは笑みを浮かべると、エルウィンの机の上に書類の束をドサリと置いた。
「な、何っ?!こ、この仕事を…午前中に全て終わらせろと言うのかっ?!」
エルウィンが露骨に嫌そうな表情を浮かべたのは言うまでも無かった―。
「それではエルウィン様、ミカエル様とウリエル様をどうぞよろしくお願い致します」
エルウィンの執務室にミカエルとウリエルを連れたオズワルドが相変わらずの無表情で挨拶をした。
「ああ、任せて置け。何しろ2人は俺にとって血を分けた身内なのだからな」
エルウィンは、腕組みしながらミカエルとウリエルを見た。そんなエルウィンの様子をシュミットは黙って見つめている。
「さ、お2人とも。エルウィン様にご挨拶をなさって下さい」
オズワルドはミカエルとウリエルを促した。
「はい、エルウィン様。今日からこの南塔でお世話になります。よろしくお願いします」
ミカエルはエルウィンに丁寧に頭を下げる。
「よろしくお願いします」
エルウィンの事が大好きなウリエルはニコニコしながら挨拶をした。
「ああ。こちらもよろしくな」
笑みを浮かべながらエルウィンは頷いた。
「2人とも、立派に挨拶出来ましたな」
オズワルドはまるで自分が2人の後見人のような態度で接している。
それがシュミットには面白くなかった。
(分からない…一体オズワルド様は何を考えておられるのだ?我々とは対立関係にあるのに、ミカエル様とウリエル様をエルウィン様に託すなど…)
「今日から早速、部屋を使えるように今準備をしているところだ。用意が出来たら迎えを寄こすので、とりあえずまた部屋に戻っていて貰えるか?」
エルウィンの言葉にオズワルドは頷いた。
「ええ、勿論です。今は引っ越し前に一度ご挨拶に伺っただけですので。こちらもまだ準備が終わっておりませんので。ではいったん失礼致します。それではお2人とも、参りましょうか?」
オズワルドはミカエルとウリエルに声を掛けた。
「はい、それでは失礼致します」
「失礼します」
ミカエルとウリエルは頭を下げ、オズワルドは2人を連れて部屋から出て行った。
バタン…
部屋の扉が閉ざされ、室内はエルウィンとシュミットの2人きりとなった。
そこですぐにシュミットはエルウィンに声を掛けた。
「エルウィン様、どう思われますか?」
「どう思う…?一体何のことだ?」
「オズワルド様の事です。あの方はランベール様の最側近とも呼ばれる方でしたので…今回のランベール様の死に関して、少なくとも我らに関してあまり良い印象を持っていないと思うのです」
「ああ、確かにそうだな。何といってもオズワルドは俺が叔父上を殺害した犯人ではないかと言ったくらいだからな」
目の前に置かれた書類をパラパラと興味なさげにめくりながらエルウィンは答えた。
「それなのに、今回はエルウィン様にミカエル様とウリエル様を託そうとしています。妙だとは思いませんか?」
「う~ん…。それはミカエルとウリエルを東塔で暮らしをさせるには良くない環境だとオズワルドが判断したからじゃないか?ひょっとすると叔父上が存命だった頃から2人を俺に託したいと考えていたかもしれん。何しろミカエルもウリエルも俺を慕ってくれているからな」
嬉しそうにミカエルとウリエルの話をするエルウィンだが、シュミットにはどうしてもそうは思えなかった。
(オズワルド様は狡猾な方だ…。何より、同じランベール様の腹心でおられるバルド様もドミニコ様も彼の事を警戒している…。エルウィン様はどうも短絡的な考えを持っておられるようだ。ここは私が気を引き締めておかなければ…)
するとエルウィンが声を掛けてきた。
「どうした?シュミット。さっきから気難しい顔をして…」
「いえ?その様な事はありませんよ?さて、それでは本日はミカエル様とウリエル様を招く準備もあって、忙しいので午前中の内に仕事を仕上げてしまいましょう」
シュミットは笑みを浮かべると、エルウィンの机の上に書類の束をドサリと置いた。
「な、何っ?!こ、この仕事を…午前中に全て終わらせろと言うのかっ?!」
エルウィンが露骨に嫌そうな表情を浮かべたのは言うまでも無かった―。
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