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16-14 信じられない理由
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1時間後――
全員が出立の準備を終え、エントランスに集まっていた。
「よし、全員準備は終わっているな?これよりアイゼンシュタット城へむけて出発する!」
エルウィンの声がエントランスに響き渡る。
『はい‼』
騎士達一同が大きく返事をする一方、戸惑っているのはこの離宮で働く使用人たちであった。
「あ、あの……辺境伯様……」
ついに使用人たちを代表して、この離宮で働く責任者のフットマンが意を決して話しかけた。
「何だ?」
フットマンをじろりと見るエルウィン。
「い、いえ……そ、そ、その……あまりにも突然の出発なので……も、もしや我々に何か落ち度でも……ございましたでしょうか……?」
おっかなびっくりフットマンはエルウィンに尋ねた。
「いや、別にお前達に落ち度はない。今迄世話を焼いてくれて感謝している」
「え?あ、それはありがとうございます……では、何故突然に……?」
「それは緊急事態が発生したからだ。陛下にはもう挨拶は済んでいる。では出立だ!」
エルウィンは号令を掛け、その場にいる騎士を含めてアリアドネも真剣な表情で頷いた。
何しろ、彼らはアイゼンシュタット城で緊急事態が発生したと未だに思い込んでいるからであった。
そして、エルウィン一行は離宮で働く使用人たちに見送られながら出発した――。
****
城下町を抜けて平原に出ると、マティアスは先頭を行くエルウィンの元へ向かった。
「エルウィン様」
「何だ?マティアスか。一体どうした?」
「はい、何故急ぎで城を王都を去ることになったのか事情をお聞かせ願いたいと思ったので。緊急事態と言いながらも馬を駆けさせないので、皆不思議がっています」
「そうだな。確かにお前の言う通りだ。だが王都を出てしまえばもうこちらのもの。安心だ。だから今はこうして普通に馬を進めているのだ」
エルウィンは満足そうに頷く。
「は、はぁ……?そうですか……?ですが、何故王都を出れば安心なのですか?」
「それは……王太子が原因だ……」
悔しそうにエルウィンは手綱を握りしめた。
「は?何故王太子殿下が原因なのですか?」
理由がさっぱり分からないマティアスは首を傾げた。
「そうだな、お前達が理解できないのも無理は無い。いいか?よく聞け。あの城にはマクシミリアン王太子殿下がいる。そして彼はアリアドネに手を出そうとしているのだ!信じられるか?この俺の目の前で!」
「え……ええっ?!」
予想もしていなかったエルウィンの言葉にマティアスは目を見開く。
「そ、それでは……我々が急ぎで王都を出発したのは……?」
「そうだ、アリアドネを王太子になど渡せるものか……だから早急に王都を出発する必要が合ったのだ。分かったか?緊急事態と言った言葉の意味が!全く信じられない……何て女に手が早い男なんだ……」
ギリギリと悔しそうに歯を食いしばるエルウィン。
そんなエルウィンを見て、マティアスは思った。
(信じられない……まさか、そんな理由で王都を早急に出発するとは……)
一方、アリアドネは1人馬車の中で不安な気持ちを抱きながら窓の外を見つめていた。
「ミカエル様……ウリエル様……どうかご無事で……」
アリアドネが2人の無事を祈っていることなど、当然エルウィンは知る由も無かった――。
全員が出立の準備を終え、エントランスに集まっていた。
「よし、全員準備は終わっているな?これよりアイゼンシュタット城へむけて出発する!」
エルウィンの声がエントランスに響き渡る。
『はい‼』
騎士達一同が大きく返事をする一方、戸惑っているのはこの離宮で働く使用人たちであった。
「あ、あの……辺境伯様……」
ついに使用人たちを代表して、この離宮で働く責任者のフットマンが意を決して話しかけた。
「何だ?」
フットマンをじろりと見るエルウィン。
「い、いえ……そ、そ、その……あまりにも突然の出発なので……も、もしや我々に何か落ち度でも……ございましたでしょうか……?」
おっかなびっくりフットマンはエルウィンに尋ねた。
「いや、別にお前達に落ち度はない。今迄世話を焼いてくれて感謝している」
「え?あ、それはありがとうございます……では、何故突然に……?」
「それは緊急事態が発生したからだ。陛下にはもう挨拶は済んでいる。では出立だ!」
エルウィンは号令を掛け、その場にいる騎士を含めてアリアドネも真剣な表情で頷いた。
何しろ、彼らはアイゼンシュタット城で緊急事態が発生したと未だに思い込んでいるからであった。
そして、エルウィン一行は離宮で働く使用人たちに見送られながら出発した――。
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城下町を抜けて平原に出ると、マティアスは先頭を行くエルウィンの元へ向かった。
「エルウィン様」
「何だ?マティアスか。一体どうした?」
「はい、何故急ぎで城を王都を去ることになったのか事情をお聞かせ願いたいと思ったので。緊急事態と言いながらも馬を駆けさせないので、皆不思議がっています」
「そうだな。確かにお前の言う通りだ。だが王都を出てしまえばもうこちらのもの。安心だ。だから今はこうして普通に馬を進めているのだ」
エルウィンは満足そうに頷く。
「は、はぁ……?そうですか……?ですが、何故王都を出れば安心なのですか?」
「それは……王太子が原因だ……」
悔しそうにエルウィンは手綱を握りしめた。
「は?何故王太子殿下が原因なのですか?」
理由がさっぱり分からないマティアスは首を傾げた。
「そうだな、お前達が理解できないのも無理は無い。いいか?よく聞け。あの城にはマクシミリアン王太子殿下がいる。そして彼はアリアドネに手を出そうとしているのだ!信じられるか?この俺の目の前で!」
「え……ええっ?!」
予想もしていなかったエルウィンの言葉にマティアスは目を見開く。
「そ、それでは……我々が急ぎで王都を出発したのは……?」
「そうだ、アリアドネを王太子になど渡せるものか……だから早急に王都を出発する必要が合ったのだ。分かったか?緊急事態と言った言葉の意味が!全く信じられない……何て女に手が早い男なんだ……」
ギリギリと悔しそうに歯を食いしばるエルウィン。
そんなエルウィンを見て、マティアスは思った。
(信じられない……まさか、そんな理由で王都を早急に出発するとは……)
一方、アリアドネは1人馬車の中で不安な気持ちを抱きながら窓の外を見つめていた。
「ミカエル様……ウリエル様……どうかご無事で……」
アリアドネが2人の無事を祈っていることなど、当然エルウィンは知る由も無かった――。
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