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16-15 新たな誤解
エルウィンがアリアドネに近付く王太子を危惧して、王都を早急に出立したという話は静かに……そしてあっという間に騎士たちの耳に入ることになった。
「ええっ?!そ、そんな理由で王都を出発したのか?!」
「『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィン様が逃げ出すなんて……」
「俺、まだ王都で観光していなかったのに」
「俺だってそうだ。宿場村の彼女から土産を頼まれていたんだよ」
「こんなことなら、訓練を抜け出して遊びに行けば良かった……」
騎士たちはエルウィンに気づかれないようにそっと愚痴をこぼしていた。そして結論づけた結果は……。
『恐らく、エルウィンとアリアドネの仲はまだ何も進展していないだろう』と言う結論に至るのだった――。
****
午後2時――
王都から40Km程離れた田園風景の美しい村に到着すると、エルウィンはすぐに騎士達に声を掛けた。
「皆、ご苦労だった。この村で1時間半休憩後、出発する。それまで各自自由に過ごしていいからな。俺は愛馬に水を与えてくる」
王都から離れたこともあり、エルウィンは鼻歌を歌いながら愛馬を連れて騎士たちの元を離れて行った。
『……』
エルウィンの後ろ姿を見届けていた騎士たちだったが、姿が完全に見えなくなったところで小声でヒソヒソと話を始めた。
「おい、見たか?エルウィン様の様子を」
「ああ、えらく御機嫌だったな」
「俺、鼻歌を歌っているエルウィン様を初めて見たよ」
「俺もだ。王都を出るときは酷く苛ついていたのに……」
「王都から離れていくにつれ、機嫌が良くなっていったよな?」
そして騎士たちは少しの間、エルウィンの話で盛り上がるのだった――。
一方、馬車に乗っていたアリアドネは未だにエルウィンが何故早急に王都を発つことにしたのか未だに理由を知らなかった。
何故なら騎士たちはエルウィンの名誉?の為にアリアドネには伝えないでおこうということに決めたからであった……。
エルウィンが井戸に向かった時間とほぼ同時刻――
「アリアドネ様。お疲れさまでした。この町で1時間半休憩していくそうですよ」
御者を務めるカインが馬車の扉を開けながらアリアドネに声を掛けてきた。
「ありがとう」
カインの手を借り、馬車から降りるとアリアドネは早速彼に質問した。
「あの、エルウィン様はどちらに行かれたのかしら?もしかしてお食事に行かれたの?」
辺りを見渡しても、一部の騎士たちが草むらで馬の毛づくろいをしながら談笑している姿を見るだけで肝心のエルウィンの姿は無い。
それに緊急事態と言う割には1時間半も休憩を取るし、騎士たちがどこかのんびりしている様子も気になった。
「エルウィン様なら御自分の馬に水を与える為に井戸に行かれましたよ?」
「え?そうなのですか?エルウィン様とお部屋で交わした話の続きをしたかったのに……」
アリアドネが困り顔で俯く様子をカインは呆然と見つめていた。
(部屋で交わした話の続きだって?もしや、昨夜のことを言われているのだろうか?やはりお二人はただならぬ関係に……?)
こうしてアリアドネの態度でまた一つ、騎士たちの間で新たな誤解を生むことになるのだった――。
「ええっ?!そ、そんな理由で王都を出発したのか?!」
「『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィン様が逃げ出すなんて……」
「俺、まだ王都で観光していなかったのに」
「俺だってそうだ。宿場村の彼女から土産を頼まれていたんだよ」
「こんなことなら、訓練を抜け出して遊びに行けば良かった……」
騎士たちはエルウィンに気づかれないようにそっと愚痴をこぼしていた。そして結論づけた結果は……。
『恐らく、エルウィンとアリアドネの仲はまだ何も進展していないだろう』と言う結論に至るのだった――。
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午後2時――
王都から40Km程離れた田園風景の美しい村に到着すると、エルウィンはすぐに騎士達に声を掛けた。
「皆、ご苦労だった。この村で1時間半休憩後、出発する。それまで各自自由に過ごしていいからな。俺は愛馬に水を与えてくる」
王都から離れたこともあり、エルウィンは鼻歌を歌いながら愛馬を連れて騎士たちの元を離れて行った。
『……』
エルウィンの後ろ姿を見届けていた騎士たちだったが、姿が完全に見えなくなったところで小声でヒソヒソと話を始めた。
「おい、見たか?エルウィン様の様子を」
「ああ、えらく御機嫌だったな」
「俺、鼻歌を歌っているエルウィン様を初めて見たよ」
「俺もだ。王都を出るときは酷く苛ついていたのに……」
「王都から離れていくにつれ、機嫌が良くなっていったよな?」
そして騎士たちは少しの間、エルウィンの話で盛り上がるのだった――。
一方、馬車に乗っていたアリアドネは未だにエルウィンが何故早急に王都を発つことにしたのか未だに理由を知らなかった。
何故なら騎士たちはエルウィンの名誉?の為にアリアドネには伝えないでおこうということに決めたからであった……。
エルウィンが井戸に向かった時間とほぼ同時刻――
「アリアドネ様。お疲れさまでした。この町で1時間半休憩していくそうですよ」
御者を務めるカインが馬車の扉を開けながらアリアドネに声を掛けてきた。
「ありがとう」
カインの手を借り、馬車から降りるとアリアドネは早速彼に質問した。
「あの、エルウィン様はどちらに行かれたのかしら?もしかしてお食事に行かれたの?」
辺りを見渡しても、一部の騎士たちが草むらで馬の毛づくろいをしながら談笑している姿を見るだけで肝心のエルウィンの姿は無い。
それに緊急事態と言う割には1時間半も休憩を取るし、騎士たちがどこかのんびりしている様子も気になった。
「エルウィン様なら御自分の馬に水を与える為に井戸に行かれましたよ?」
「え?そうなのですか?エルウィン様とお部屋で交わした話の続きをしたかったのに……」
アリアドネが困り顔で俯く様子をカインは呆然と見つめていた。
(部屋で交わした話の続きだって?もしや、昨夜のことを言われているのだろうか?やはりお二人はただならぬ関係に……?)
こうしてアリアドネの態度でまた一つ、騎士たちの間で新たな誤解を生むことになるのだった――。
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