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18-10 マクシミリアンの要求
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馬車の扉を閉め、マクシミリアン王太子はアリアドネの向かい側に座ると右手を握りしめてきた。
「会いたかったよ、アリアドネ。きちんと君に挨拶をすることもままならないまま、城に戻ったと言う話を父から聞かされたときはどれ程驚いたことか」
「申し訳ございません……エルウィン様が大至急城に戻らなくてはならないと言われたので。理由を尋ねても話してくださいませんでしたから」
マクシミリアンに右手を握りしめられ、困り顔を浮かべながらアリアドネは答えた。
「成程……やはり、な」
その言葉にマクシミリアンは笑を浮かべた。勘の良い彼は気付いていたのだ。自分がアリアドネに興味を持ったことで焦ったエルウィンが早々に王都を出たということに。
「それでエルウィン様の命に関わるお話ということですが、早速お聞かせ願えないでしょうか?」
「勿論だよ。何しろ彼はかなり今危険な状態のようだからね。実は先程の騎士から頼まれごとをされたんだよ。辺境伯の命を救う為に王族が所有する『生命の雫』と呼ばれる液体を分けてもらいたいと。確かにあれならば彼の体内にある毒を中和してくれるはずだ。しかも運の良いことに私はその液体を持ち歩いているのだよ」
「ほ、本当ですか?!なら早速分けて頂けないでしょうか!何としてもエルウィン様の命を救って差し上げたいのです!エルウィン様は……わ、私を庇ったせいで、カルタン族から毒の矢を受けてしまったのです!」
「そうか……アリアドネが射られなくて本当に良かったよ。彼でなければとっくに死んでいたかもしれないからね」
「王太子殿下……?」
マクシミリアンの何処か冷たい言葉にアリアドネは眉を潜めた。
「ああ、ごめん。別に悪気があって言ったわけでは無いんだよ。ただ、私が言いたかったのは辺境伯は毒の耐性が人よりも強いからね。勿論我々王族もそうだが。辺境伯同樣、我々も暗殺の危険性があるから定期的に毒を摂取して耐性があるからね。でも万一の為に遠出する時は『生命の雫』を持ち歩いている。あれは万能解毒薬だからね」
「そうだったのですね?では早速、その『生命の雫』をエルウィン様に分けて頂けませんか?お願いします!」
アリアドネは頭を下げた。
すると……。
「分けてあげても良いが……実はあれは本当に貴重な液体なのだよ。いくら辺境伯とは言え……タダではちょっとね……」
その言葉にアリアドネは顔が青ざめた。
「え……?そ、それではどうすれば分けて頂けるのでしょうか……?」
アリアドネには王族であるマクシミリアンに差し出せるような物など何も無かった。
「あぁ、そんなに不安そうな顔をすることは無いよ。こうみえても僕は王太子だからね。金品の要求とかはしないから」
「そ、そうですか……」
アリアドネが安堵のため息をついた時、マクシミリアンの繋がれた手に力が込められた。
「私の望みは君だよ、アリアドネ」
「え……?」
次の瞬間、アリアドネは腕を引かれ……気付いた時はマクシミリアンの腕に囚われていた。
「アリアドネ、私は君が好きだ。私の物になってくれるなら……『生命の雫』を分けてあげよう」
そして強くアリアドネを抱きしめてきた――。
「会いたかったよ、アリアドネ。きちんと君に挨拶をすることもままならないまま、城に戻ったと言う話を父から聞かされたときはどれ程驚いたことか」
「申し訳ございません……エルウィン様が大至急城に戻らなくてはならないと言われたので。理由を尋ねても話してくださいませんでしたから」
マクシミリアンに右手を握りしめられ、困り顔を浮かべながらアリアドネは答えた。
「成程……やはり、な」
その言葉にマクシミリアンは笑を浮かべた。勘の良い彼は気付いていたのだ。自分がアリアドネに興味を持ったことで焦ったエルウィンが早々に王都を出たということに。
「それでエルウィン様の命に関わるお話ということですが、早速お聞かせ願えないでしょうか?」
「勿論だよ。何しろ彼はかなり今危険な状態のようだからね。実は先程の騎士から頼まれごとをされたんだよ。辺境伯の命を救う為に王族が所有する『生命の雫』と呼ばれる液体を分けてもらいたいと。確かにあれならば彼の体内にある毒を中和してくれるはずだ。しかも運の良いことに私はその液体を持ち歩いているのだよ」
「ほ、本当ですか?!なら早速分けて頂けないでしょうか!何としてもエルウィン様の命を救って差し上げたいのです!エルウィン様は……わ、私を庇ったせいで、カルタン族から毒の矢を受けてしまったのです!」
「そうか……アリアドネが射られなくて本当に良かったよ。彼でなければとっくに死んでいたかもしれないからね」
「王太子殿下……?」
マクシミリアンの何処か冷たい言葉にアリアドネは眉を潜めた。
「ああ、ごめん。別に悪気があって言ったわけでは無いんだよ。ただ、私が言いたかったのは辺境伯は毒の耐性が人よりも強いからね。勿論我々王族もそうだが。辺境伯同樣、我々も暗殺の危険性があるから定期的に毒を摂取して耐性があるからね。でも万一の為に遠出する時は『生命の雫』を持ち歩いている。あれは万能解毒薬だからね」
「そうだったのですね?では早速、その『生命の雫』をエルウィン様に分けて頂けませんか?お願いします!」
アリアドネは頭を下げた。
すると……。
「分けてあげても良いが……実はあれは本当に貴重な液体なのだよ。いくら辺境伯とは言え……タダではちょっとね……」
その言葉にアリアドネは顔が青ざめた。
「え……?そ、それではどうすれば分けて頂けるのでしょうか……?」
アリアドネには王族であるマクシミリアンに差し出せるような物など何も無かった。
「あぁ、そんなに不安そうな顔をすることは無いよ。こうみえても僕は王太子だからね。金品の要求とかはしないから」
「そ、そうですか……」
アリアドネが安堵のため息をついた時、マクシミリアンの繋がれた手に力が込められた。
「私の望みは君だよ、アリアドネ」
「え……?」
次の瞬間、アリアドネは腕を引かれ……気付いた時はマクシミリアンの腕に囚われていた。
「アリアドネ、私は君が好きだ。私の物になってくれるなら……『生命の雫』を分けてあげよう」
そして強くアリアドネを抱きしめてきた――。
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