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7話
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「そ、そんな……デートなんて……」
サイラスは真っ赤になって私をチラチラ見る。
「恋人同士はデートをするのは当然でしょう? そうやって2人の関係を深めていくのだから。それとも、シビルと交際する?」
「ええ!? そ、それはイヤだな……。僕、どうしても彼女は苦手なんだよ」
「だけど、私なら良いというわけね?」
「……うん」
ますます顔を赤らめて頷くサイラス。
「だったら、明日はデートをするわよ。というわけで、迎えに行くからお屋敷の場所を教えて頂戴」
「わ、分かったよ……」
こうして半ば強引に明日のデートの約束を取り付けた私は、迎えの馬車に乗って帰宅した――
****
「ただいま、帰りました。お母様」
帰宅した私は、真っ先に母の元へ向った。
「お帰りなさい、私の可愛い天使」
レース編みの手を止めた母が笑顔で私を迎え入れる。私の髪も、瞳も全て母譲りだ。
母は若く美しく、とても子持ちの女性には見えない。
子どものように無邪気な笑顔を向けてくる母に、私はため息をついた。
「やめて下さい、お母様。天使と呼ばれると恥ずかしいです」
「あら、どうして? だってあなたは本当に天使みたいに愛らしいじゃないの」
母は私が学園内で悪女とか、『クールビューティ』と呼ばれていることを知らないのだろう。
「それよりもお母様、明日出かけることになりましたので馬車を出す許可を下さい」
「え!? 出かけるですって? まぁ……どうしましょう」
母の顔に困惑の表情が浮かぶ。その様子を見て、いやな予感を抱いた。
「お母様……もしかして……明日、ブライ・シード様が来るのですか……?」
ブライ・シードとは、シード子爵家の長男で、つい最近ティーパーティーで知り合った令息だ。彼はどうやら私に一目惚れしてしまったらしく、図々しくも度々私を訪ねに来ていたのだった。
そして私は彼が大嫌いなのである。色白な肌に、小太りで脂ぎった肌のブライをどうして受け入れることが出来るだろう。
しかも使用人たちの噂話では、近いうちにブライは私に婚約を申し出てくるのではないだろうか……等と囁かれている。
つまり、私にとってもサイラスとの仲が噂される方が都合が良いのだ。
「ええ、そうなのよ。でも困ったわねぇ……明日、あなたの年の数だけバラの花を持ってくると伝言があったのよ」
ため息をつく母。
「お母様、何も困る必要はありません! 絶対にお断りして下さい! 明日は、どうしても出掛けなければならない用事があるのですから。それでは部屋に戻らせて頂きます」
「え? ちょ、ちょっとステファニーッ!?」
母の制止する声も聞かず、私は部屋を飛び出して自室へ向った。
冗談じゃない! こうなったら何としても明日、サイラスとのデートを成功させて周りから見ても、違和感ない恋人同士にならなければ!
――バンッ!
自室の扉を勢いよく閉めると、すぐに机に向った。
「見てなさいよ、サイラス……伊達に何冊もの恋愛小説を読んできたわけじゃないわ。完璧なデートブランを立てて、誰からも恋人同士に見られる関係を築き上げてみせるのだから……!」
そして、この日。
私は寝る直前まで、明日のデートプランの計画を練り続けるのだった――
サイラスは真っ赤になって私をチラチラ見る。
「恋人同士はデートをするのは当然でしょう? そうやって2人の関係を深めていくのだから。それとも、シビルと交際する?」
「ええ!? そ、それはイヤだな……。僕、どうしても彼女は苦手なんだよ」
「だけど、私なら良いというわけね?」
「……うん」
ますます顔を赤らめて頷くサイラス。
「だったら、明日はデートをするわよ。というわけで、迎えに行くからお屋敷の場所を教えて頂戴」
「わ、分かったよ……」
こうして半ば強引に明日のデートの約束を取り付けた私は、迎えの馬車に乗って帰宅した――
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「ただいま、帰りました。お母様」
帰宅した私は、真っ先に母の元へ向った。
「お帰りなさい、私の可愛い天使」
レース編みの手を止めた母が笑顔で私を迎え入れる。私の髪も、瞳も全て母譲りだ。
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子どものように無邪気な笑顔を向けてくる母に、私はため息をついた。
「やめて下さい、お母様。天使と呼ばれると恥ずかしいです」
「あら、どうして? だってあなたは本当に天使みたいに愛らしいじゃないの」
母は私が学園内で悪女とか、『クールビューティ』と呼ばれていることを知らないのだろう。
「それよりもお母様、明日出かけることになりましたので馬車を出す許可を下さい」
「え!? 出かけるですって? まぁ……どうしましょう」
母の顔に困惑の表情が浮かぶ。その様子を見て、いやな予感を抱いた。
「お母様……もしかして……明日、ブライ・シード様が来るのですか……?」
ブライ・シードとは、シード子爵家の長男で、つい最近ティーパーティーで知り合った令息だ。彼はどうやら私に一目惚れしてしまったらしく、図々しくも度々私を訪ねに来ていたのだった。
そして私は彼が大嫌いなのである。色白な肌に、小太りで脂ぎった肌のブライをどうして受け入れることが出来るだろう。
しかも使用人たちの噂話では、近いうちにブライは私に婚約を申し出てくるのではないだろうか……等と囁かれている。
つまり、私にとってもサイラスとの仲が噂される方が都合が良いのだ。
「ええ、そうなのよ。でも困ったわねぇ……明日、あなたの年の数だけバラの花を持ってくると伝言があったのよ」
ため息をつく母。
「お母様、何も困る必要はありません! 絶対にお断りして下さい! 明日は、どうしても出掛けなければならない用事があるのですから。それでは部屋に戻らせて頂きます」
「え? ちょ、ちょっとステファニーッ!?」
母の制止する声も聞かず、私は部屋を飛び出して自室へ向った。
冗談じゃない! こうなったら何としても明日、サイラスとのデートを成功させて周りから見ても、違和感ない恋人同士にならなければ!
――バンッ!
自室の扉を勢いよく閉めると、すぐに机に向った。
「見てなさいよ、サイラス……伊達に何冊もの恋愛小説を読んできたわけじゃないわ。完璧なデートブランを立てて、誰からも恋人同士に見られる関係を築き上げてみせるのだから……!」
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私は寝る直前まで、明日のデートプランの計画を練り続けるのだった――
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