6 / 12
6話
しおりを挟む
そっと図書室の扉を開けると、カウンターに向って座る司書の女性と目があった。
「あら、やはり来たのね? ステファニーさん」
「はい、来てしまいました。先程読書を邪魔されてしまったので」
「どうぞ、中にお入りなさい」
手招きされて、図書室の中に入ると司書の女性がカウンターの上に本を置いた。
「あ、その本は……」
「ええ、先程ステファニーさんが読んでいた本ですよ。多分来るだろうと思って本棚から抜き取っておきました」
「本当ですか? ありがとうございます」
早速司書さんから本を受け取ると、いつものお気に入りの席に座って午後の日程が終わるまで読書を続けた――
****
校舎に終了チャイムが鳴り響く頃、私はこっそり星組のクラスへ戻ってきた。
皆が帰り支度をして騒がしくしている。
そこでドサクサに紛れて自分の席に戻って、何食わぬ顔で私も帰り支度を始めた。
その様子をクラスメイト達が遠巻きに見ているが、話しかけてくる素振りはない。
だって、私は「クールビューティー」と呼ばれる存在。
騒がしいことを好まず、群れるのが嫌い。
そんな私をクラスメイト達は理解しているのだ。
先生だって、本当は私がいないことに気づいているし何処にいるのかも分かっている。
けれど、私が普通の生徒たちとは様子が違うので咎めることも出来ずにいる。
「……素敵な環境だわ」
思わずポツリと呟いた時、突然教室が騒がしくなった。
「キャア! サイラス様だわ!」
「星組にようこそ!」
「何の御用ですか?」
女子生徒たちのキャアキャア騒ぐ声に取り囲まれたサイラスの姿がある。そしてその様子を面白くなさそうに見つめる男子生徒たち。
「ふ~ん……サイラスはこの組でも人気があるのね」
そのとき。
サイラスは私に気づいたのか、笑顔で手を振ってきた。
「ステファニー! 言われた通り迎えに来たよ!」
すると、教室はさらに一層騒がしくなる。
「ええ!? ステファニーさんの迎え!?」
「信じられない!」
「そ、そんなバカな……」
「嘘だ……」
女子生徒も男子生徒も、かなり驚いている。
まぁ、こうなることを想定して私はサイラスに教室まで迎えに来てもらうようにお願いしたのだけれど。
「ありがとう、サイラス様」
私はにっこり笑って、リュックを背負うとサイラスの元へ向った。
「失礼」
私がサイラスに近づくと、群がっていた女子生徒たちがササッと避けて道をあける。
「お待たせしました」
「う、うん」
戸惑いながら返事をするサイラスの手を、これみよがしに皆の前で繋ぐとキャアキャアと黄色い悲鳴が上がる。
「さ、帰りましょう」
「そ……そうだね」
私はわざとらしく、サイラスにピッタリ寄り添うと教室を後にした。
クラスメイト達の視線を背後に受けながら……。
「ここまで来ればいいわね」
校舎を出て、生徒たちの姿が見えなくなった所で私はパッと離れて彼を見た。
「……ねぇ? どうしたの?」
何とサイラスは顔を真っ赤にさせているではないか。
「だ、だって……ステファニーが……僕にくっついてくるから……」
「まさか、それで照れてしまったの?」
すると黙ってコクリと頷く。
「全く……自分から私と交際しているってシビルに言ったのに、そんなに照れてどうするの? それでは恋人同士のフリが出来ないじゃない」
「だ、だって……そんなこと言われても……」
ますます赤くなるサイラス。
まさか、これほどシャイだとは思わなかった。
「仕方ないわねぇ。そんなんじゃ、シビルに嘘がバレてしまうじゃない。こうなったら、特訓するしかないわね」
「え? 特訓? 特訓て何?」
サイラスは目をパチパチさせた。
「もちろん、恋人同士に見える特訓よ」
「だけど特訓なんて……どうやってするの?」
「そんなの決まっているじゃない。デートよ!」
「ええええっ!? デ、デ、デートッ!?」
余程驚いたのか、サイラスが後ずさる。
「そう、デートよ。明日はお休みだから、早速デートをしましょう!」
私はビシッとサイラスを指さした――
「あら、やはり来たのね? ステファニーさん」
「はい、来てしまいました。先程読書を邪魔されてしまったので」
「どうぞ、中にお入りなさい」
手招きされて、図書室の中に入ると司書の女性がカウンターの上に本を置いた。
「あ、その本は……」
「ええ、先程ステファニーさんが読んでいた本ですよ。多分来るだろうと思って本棚から抜き取っておきました」
「本当ですか? ありがとうございます」
早速司書さんから本を受け取ると、いつものお気に入りの席に座って午後の日程が終わるまで読書を続けた――
****
校舎に終了チャイムが鳴り響く頃、私はこっそり星組のクラスへ戻ってきた。
皆が帰り支度をして騒がしくしている。
そこでドサクサに紛れて自分の席に戻って、何食わぬ顔で私も帰り支度を始めた。
その様子をクラスメイト達が遠巻きに見ているが、話しかけてくる素振りはない。
だって、私は「クールビューティー」と呼ばれる存在。
騒がしいことを好まず、群れるのが嫌い。
そんな私をクラスメイト達は理解しているのだ。
先生だって、本当は私がいないことに気づいているし何処にいるのかも分かっている。
けれど、私が普通の生徒たちとは様子が違うので咎めることも出来ずにいる。
「……素敵な環境だわ」
思わずポツリと呟いた時、突然教室が騒がしくなった。
「キャア! サイラス様だわ!」
「星組にようこそ!」
「何の御用ですか?」
女子生徒たちのキャアキャア騒ぐ声に取り囲まれたサイラスの姿がある。そしてその様子を面白くなさそうに見つめる男子生徒たち。
「ふ~ん……サイラスはこの組でも人気があるのね」
そのとき。
サイラスは私に気づいたのか、笑顔で手を振ってきた。
「ステファニー! 言われた通り迎えに来たよ!」
すると、教室はさらに一層騒がしくなる。
「ええ!? ステファニーさんの迎え!?」
「信じられない!」
「そ、そんなバカな……」
「嘘だ……」
女子生徒も男子生徒も、かなり驚いている。
まぁ、こうなることを想定して私はサイラスに教室まで迎えに来てもらうようにお願いしたのだけれど。
「ありがとう、サイラス様」
私はにっこり笑って、リュックを背負うとサイラスの元へ向った。
「失礼」
私がサイラスに近づくと、群がっていた女子生徒たちがササッと避けて道をあける。
「お待たせしました」
「う、うん」
戸惑いながら返事をするサイラスの手を、これみよがしに皆の前で繋ぐとキャアキャアと黄色い悲鳴が上がる。
「さ、帰りましょう」
「そ……そうだね」
私はわざとらしく、サイラスにピッタリ寄り添うと教室を後にした。
クラスメイト達の視線を背後に受けながら……。
「ここまで来ればいいわね」
校舎を出て、生徒たちの姿が見えなくなった所で私はパッと離れて彼を見た。
「……ねぇ? どうしたの?」
何とサイラスは顔を真っ赤にさせているではないか。
「だ、だって……ステファニーが……僕にくっついてくるから……」
「まさか、それで照れてしまったの?」
すると黙ってコクリと頷く。
「全く……自分から私と交際しているってシビルに言ったのに、そんなに照れてどうするの? それでは恋人同士のフリが出来ないじゃない」
「だ、だって……そんなこと言われても……」
ますます赤くなるサイラス。
まさか、これほどシャイだとは思わなかった。
「仕方ないわねぇ。そんなんじゃ、シビルに嘘がバレてしまうじゃない。こうなったら、特訓するしかないわね」
「え? 特訓? 特訓て何?」
サイラスは目をパチパチさせた。
「もちろん、恋人同士に見える特訓よ」
「だけど特訓なんて……どうやってするの?」
「そんなの決まっているじゃない。デートよ!」
「ええええっ!? デ、デ、デートッ!?」
余程驚いたのか、サイラスが後ずさる。
「そう、デートよ。明日はお休みだから、早速デートをしましょう!」
私はビシッとサイラスを指さした――
512
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~
季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」
建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。
しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった!
(激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!)
理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造!
隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。
辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。
さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。
「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」
冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!?
現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる!
爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!
【完結】異世界に行ったら、悪役令嬢の弟になりました。全力で回避せねば!
天笠すいとん
恋愛
ある日、交通事故で死んだ僕が生まれ変わったのは主人公が悪役令嬢をザマァする乙女ゲームの世界だったんです。
しかも、僕のポジションは学園の女王と恐れられる悪役令嬢の弟だった⁉︎
このままだと、輝かしい将来が婚約破棄された姉のせいで潰れてしまうんですけど。
まったく誰だよこのふざけたシナリオのゲームを作ったのは‼︎………はい、僕でした。
これは、異世界に転移した乙女ゲー製作者が、なんとかして通常ENDから抜け出そうと暗躍してザマァ返しをするお話。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる