139 / 256
王太子と宰相の一人息子の悩み相談
しおりを挟む
「見ているだけじゃ満足できなくて、つい側に行きたくなってしまう、か。うんうん、分かる分かる」
レオンハルトの同意の言葉に、ケインバッハはこくりと頷く。
「・・・いつも笑っていてほしいのに、困らせたくなったりもするんだ。その矛盾する気持ちが・・・自分でも何なのかよく分からなくて・・・」
「あー、成程ね。うん。その気持ちもわかるよ」
人払いをしたレオンハルトの執務室。
テーブルを挟み、向かい合って座る形で、レオンはケインの悩みに耳を傾けていた。
「・・・分かってくれるのか?」
「うん。僕もカトリアナを見ててよく思うもの。女の子って姿形が美しいだけじゃなくて、心もそうなんだなってさ。もう清らかすぎて、こっちが恥ずかしくなるくらい」
「確かにな。エレアーナを見ていてもそう思う」
「でしょ?」
レオンは激しく同意した後、お茶を手に取り、こくりと飲む。
ほう、と息が漏れたのは、温かいお茶の余韻か、それとも心からの吐息か。
「告白する前は、想いを向けてもらえるだけで幸運だって思ってたのに、それが側にいたい、に変わって、そらから手をつなぎたい、抱きしめたい、口づけしたいって、どんどん欲が出てくるんだよね」
「・・・そうなんだよな」
「ふふ、僕なんかさ、ライナスに二回もケダモノって言われちゃったし」
「けだっ、けだ、もの・・・?」
「うん」
「そんなことを言われるなんて、レオン、お前、一体何を・・・」
「大した事はしてないないと思うんだけど。いきなり抱きしめて、口づけただけだよ?」
「・・・そうか。それは、その・・・」
赤くなって俯いて、もにょもにょと喋るから、語尾はレオンにも聞き取れない。
「ねぇ、ケイン。女の子はさ、好きな人と一緒にいられるだけで幸せな気持ちでいてくれるよね。一緒にお喋りしたりとか、お茶したりとか、買い物したりとか、それだけで」
「ああ、どうもそのようだな」
「それはとても嬉しいことなんだけどさ。男性の望む事はそれとは少し違うような気がするんだ。ケインが言っているのは、きっとその事なんだと思う」
ケインは黙って頷いた。
「僕たち男も勿論、そういう他愛無い時間ってすごく楽しいんだけど、なんか、それだけでは満足出来なくなって、気が付くと側に寄りたくなっちゃったり、もっと触れ合いたくなったりする。それで僕もつい、カトリアナにちょっかい出しちゃうんだけどね」
「そう、そうなんだ。レオン。・・・だけど」
「・・・だけど、ケインはそれが心配なんだ?」
真っ赤になってケインは頷く。
「今はまだいい。我慢できる。だが、いざ結婚したら・・・その、エレアーナに呆れられないか、と。・・・俺の浅ましい欲求を知って」
「そっか」
ふふ、とレオンは優しく微笑んだ。
その眼は、まるで弟を見るかのように柔らかく細められて。
「大丈夫だと思うけどな。好きな人に愛情を表現したいって思うのは自然なことだし。いや、僕もたまにやりすぎて、カトリアナに涙目で睨まれることはあるけどさ。でも、好きになるって、そういうことだろ?」
「そう・・・そうかな」
「そうだよ。だって誰にでもそんな事をしたいんじゃない。好きな子だから、ちょっかい出したくなるんだもの」
ね?、と首を傾げて尋ねられ、こくりと頷く。
その様子に、レオンは、可笑しくて堪らないという風に、ふふ、と笑った。
「まったくもう。真面目なとこはちっとも変わらないね」
お茶菓子として出ている焼き菓子を一つ摘み上げ、ぱくりと頬張る。
「互いに好き同士でも、全てがぴったり同じな訳じゃない。人はひとりひとり違うし、ましてや男と女じゃ考え方も感じ方も違う。・・・それでも、好きになって、想いを通じ合わせて、一緒にいたいと思った者同士なんだからさ」
軽く首を傾げて、ケインの顔を覗き込む。
「ケインの良いところも悪いところも、全部ひっくるめて、エレアーナ嬢は君を好きになってくれた筈だよ?」
その言葉に、ケインは真っ赤になって頷いて。
「まぁ、驚かせないように気をつけるのもいいとは思うけど・・・遅かれ早かれバレるでしょ。男がケダモノだって事は」
その発言に、ケインは飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる。
「レ、レオン?」
慌てふためくケインに、レオンハルトはその美しい顔でにっこりと笑いかけた。
「なぁに? そんな顔して。だって、要はそういう事だろ?」
レオンハルトの同意の言葉に、ケインバッハはこくりと頷く。
「・・・いつも笑っていてほしいのに、困らせたくなったりもするんだ。その矛盾する気持ちが・・・自分でも何なのかよく分からなくて・・・」
「あー、成程ね。うん。その気持ちもわかるよ」
人払いをしたレオンハルトの執務室。
テーブルを挟み、向かい合って座る形で、レオンはケインの悩みに耳を傾けていた。
「・・・分かってくれるのか?」
「うん。僕もカトリアナを見ててよく思うもの。女の子って姿形が美しいだけじゃなくて、心もそうなんだなってさ。もう清らかすぎて、こっちが恥ずかしくなるくらい」
「確かにな。エレアーナを見ていてもそう思う」
「でしょ?」
レオンは激しく同意した後、お茶を手に取り、こくりと飲む。
ほう、と息が漏れたのは、温かいお茶の余韻か、それとも心からの吐息か。
「告白する前は、想いを向けてもらえるだけで幸運だって思ってたのに、それが側にいたい、に変わって、そらから手をつなぎたい、抱きしめたい、口づけしたいって、どんどん欲が出てくるんだよね」
「・・・そうなんだよな」
「ふふ、僕なんかさ、ライナスに二回もケダモノって言われちゃったし」
「けだっ、けだ、もの・・・?」
「うん」
「そんなことを言われるなんて、レオン、お前、一体何を・・・」
「大した事はしてないないと思うんだけど。いきなり抱きしめて、口づけただけだよ?」
「・・・そうか。それは、その・・・」
赤くなって俯いて、もにょもにょと喋るから、語尾はレオンにも聞き取れない。
「ねぇ、ケイン。女の子はさ、好きな人と一緒にいられるだけで幸せな気持ちでいてくれるよね。一緒にお喋りしたりとか、お茶したりとか、買い物したりとか、それだけで」
「ああ、どうもそのようだな」
「それはとても嬉しいことなんだけどさ。男性の望む事はそれとは少し違うような気がするんだ。ケインが言っているのは、きっとその事なんだと思う」
ケインは黙って頷いた。
「僕たち男も勿論、そういう他愛無い時間ってすごく楽しいんだけど、なんか、それだけでは満足出来なくなって、気が付くと側に寄りたくなっちゃったり、もっと触れ合いたくなったりする。それで僕もつい、カトリアナにちょっかい出しちゃうんだけどね」
「そう、そうなんだ。レオン。・・・だけど」
「・・・だけど、ケインはそれが心配なんだ?」
真っ赤になってケインは頷く。
「今はまだいい。我慢できる。だが、いざ結婚したら・・・その、エレアーナに呆れられないか、と。・・・俺の浅ましい欲求を知って」
「そっか」
ふふ、とレオンは優しく微笑んだ。
その眼は、まるで弟を見るかのように柔らかく細められて。
「大丈夫だと思うけどな。好きな人に愛情を表現したいって思うのは自然なことだし。いや、僕もたまにやりすぎて、カトリアナに涙目で睨まれることはあるけどさ。でも、好きになるって、そういうことだろ?」
「そう・・・そうかな」
「そうだよ。だって誰にでもそんな事をしたいんじゃない。好きな子だから、ちょっかい出したくなるんだもの」
ね?、と首を傾げて尋ねられ、こくりと頷く。
その様子に、レオンは、可笑しくて堪らないという風に、ふふ、と笑った。
「まったくもう。真面目なとこはちっとも変わらないね」
お茶菓子として出ている焼き菓子を一つ摘み上げ、ぱくりと頬張る。
「互いに好き同士でも、全てがぴったり同じな訳じゃない。人はひとりひとり違うし、ましてや男と女じゃ考え方も感じ方も違う。・・・それでも、好きになって、想いを通じ合わせて、一緒にいたいと思った者同士なんだからさ」
軽く首を傾げて、ケインの顔を覗き込む。
「ケインの良いところも悪いところも、全部ひっくるめて、エレアーナ嬢は君を好きになってくれた筈だよ?」
その言葉に、ケインは真っ赤になって頷いて。
「まぁ、驚かせないように気をつけるのもいいとは思うけど・・・遅かれ早かれバレるでしょ。男がケダモノだって事は」
その発言に、ケインは飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる。
「レ、レオン?」
慌てふためくケインに、レオンハルトはその美しい顔でにっこりと笑いかけた。
「なぁに? そんな顔して。だって、要はそういう事だろ?」
23
あなたにおすすめの小説
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる