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リュークザインの見合いについて その1
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陛下の温情を賜ってライブニヒ家の現当主となった以上、この家を何としても守り抜こうという決意をリュークザインは新たにしていた。
家の中のごたごたも落ち着き、兄シャルムも領地にて与えられた職務を真面目に果たしている。
領内も、今のところ平穏無事で、石高も税収も問題ない。
自身の年齢も鑑み、当主として次世代の後継者を儲け、育てる責任について考え始めた。
ふさわしい配偶者を持ち、ふさわしい後継者を育てるのだ。
そのために、と、自身の好みや感情によるのではなく、まずは相手に求める条件を書き連ねていく。
その条件に合う令嬢と結婚するのだ。
全ては家のために。
後の世代の繁栄のために。
そう、これは紛れもない政略結婚。
それは、貴族であれば当然の話で。
普通であれば恋愛結婚の方が珍しい。
それでも、リュークザインはこの結婚話を推し進めるにあたり、一つのことだけは守ろうと心に誓っていた。
それは、たとえ愛のない結婚をすることになるとしても。
こちらも相手も、ただ条件に基づいた上での合意による結びつきだったとしても。
自分の妻となってくれる女性には誠心誠意、心を尽くそう、大切にしよう、ということを。
妻となる女性が、愛されていないなどと決して悲しむことがないように。
細やかに心を砕き、慈しみ、配慮し、自分なりに愛情を注ごう、と。
まだ見ぬ未来の妻は、この家のために私と共に闘ってくれる大切な女性ひとなのだから。
そうした決意のもとに、リュークザインは見合い相手を探し始めた。
相手方の家に失礼になるのは承知の上で、望む女性に関する山のような条件を付けて。
人となりは勿論、知性、教養、一般知識、経営手腕、趣味、社交術など・・・。
容姿、家柄には一切触れず、ただただ能力と性質のみに関する条件を書き連ねて。
それこそ、こちらがどれだけ思い上がっているのかと、怒られても仕方ない程の、傲慢な条件を。
正直、条件を出したリューク自身が、これをクリアするご令嬢などいないだろうと思っていた程で。
そして事実、これまでは誰もいなかったのだ。
今日、会うことになったご令嬢、ただひとりを除いて。
「お初にお目にかかります。ラエラ・カリエスにございます」
正直に言う。
心底、驚いた。
その眼に宿る知性に。
所作から滲みでる美しさに。
纏う穏やかさに。
「・・・こちらこそ、時間をいただき感謝する。リュークザイン・ライブニヒだ」
こちらの挨拶に、目の前の令嬢は、にこりと笑う。
ラエラ嬢の父、ハーメルン・カリエスは、その商才により莫大な富を蓄え、王都の整備、管理、学校建設などに大きく貢献した。
そしてその功により、国王シャールベルムより子爵位を賜ったのである。
いわゆる、プライドの高い貴族的な言い方をすれば新参者の成り上がりだ。
そのため、一部の古参貴族たちからは敬遠されていた。
しかし、リュークの目から見れば、カリエス卿の先見の明と実務手腕は素晴らしいの一言に尽きた。
無駄の一切ない、本質を見抜く目。
体裁を整える事よりも、確実な成果を上げる手腕。
それをカリエス卿は持っていた。
そしてそれは、娘の教育方針にも確かに表れていて。
ラエラ嬢は、知性豊かで教養に溢れる賢い令嬢だった。
鳶色の真っ直ぐな髪に賢そうな広い額。
空色の瞳には強い意志が宿っている。
容姿に関しては何の希望も出さなかったため、正直、このように知的な美しさの溢れるご令嬢が現れるとは夢にも思っていなかったのだ。
シュリエラやエレアーナ嬢のような華やかな美しさはないものの、理知的な美がそこにはあった。
何よりも、リュークの出した条件すべてをクリアするほどの能力の高さ。
恐らく、貴族になりたての子爵家の令嬢でなければ、とっくに他の誰かにかっ攫われていただろう。
・・・非常に望ましい。
リュークザインは、ラエラ嬢を一目見てそう思った。
「ラエラ嬢は才気あふれるご令嬢だと伺っている。今日はこうしてお会いできて光栄に思う」
「とんでもございません。わたくしこそ、光栄に存じます。まさか伝統あるライプニヒ公爵家のご当主さまと、このような形でお会いできるとは思ってもいませんでしたから」
感慨深げに、ラエラはそう言った。
恐らく、これまで爵位の低さや歴史の浅さを揶揄する貴族たちから、いろいろと嫌な目に遭わされて来たのだろう。
「ライプニヒ家は確かに歴史こそ古いが、王国への貢献度で言えば、今のカリエス家の方が遥かに大きい。どうかカリエス卿の業績を誇りに思って頂きたい」
そう答えると、ラエラは驚いたのか、一瞬、目を瞠った。
それから薄く笑むと「ありがとうございます」と頭を下げた。
「それでは」
と、ラエラが口を開く。
リュークが黙ってその先を促すと、少し躊躇してから言葉を継いだ。
「今日こうして会っていただけたという事は、わたくしをリュークザインさまの配偶者に、とお考え下さっていると思ってもよろしいのでしょうか」
随分とストレートな物言いだったが、リュークはそこも気に入った。
無駄な駆け引きなど、時間の無駄だ。
話が速くて助かる。
「その通りだ」
「ありがとうございます。子爵令嬢にすぎないわたくしに目を留めて下さったこと、決して後悔はさせませんわ」
ここまで理想的な相手が見つかるとは。
気が付けば、自然と笑みが浮かんでいた。
家の中のごたごたも落ち着き、兄シャルムも領地にて与えられた職務を真面目に果たしている。
領内も、今のところ平穏無事で、石高も税収も問題ない。
自身の年齢も鑑み、当主として次世代の後継者を儲け、育てる責任について考え始めた。
ふさわしい配偶者を持ち、ふさわしい後継者を育てるのだ。
そのために、と、自身の好みや感情によるのではなく、まずは相手に求める条件を書き連ねていく。
その条件に合う令嬢と結婚するのだ。
全ては家のために。
後の世代の繁栄のために。
そう、これは紛れもない政略結婚。
それは、貴族であれば当然の話で。
普通であれば恋愛結婚の方が珍しい。
それでも、リュークザインはこの結婚話を推し進めるにあたり、一つのことだけは守ろうと心に誓っていた。
それは、たとえ愛のない結婚をすることになるとしても。
こちらも相手も、ただ条件に基づいた上での合意による結びつきだったとしても。
自分の妻となってくれる女性には誠心誠意、心を尽くそう、大切にしよう、ということを。
妻となる女性が、愛されていないなどと決して悲しむことがないように。
細やかに心を砕き、慈しみ、配慮し、自分なりに愛情を注ごう、と。
まだ見ぬ未来の妻は、この家のために私と共に闘ってくれる大切な女性ひとなのだから。
そうした決意のもとに、リュークザインは見合い相手を探し始めた。
相手方の家に失礼になるのは承知の上で、望む女性に関する山のような条件を付けて。
人となりは勿論、知性、教養、一般知識、経営手腕、趣味、社交術など・・・。
容姿、家柄には一切触れず、ただただ能力と性質のみに関する条件を書き連ねて。
それこそ、こちらがどれだけ思い上がっているのかと、怒られても仕方ない程の、傲慢な条件を。
正直、条件を出したリューク自身が、これをクリアするご令嬢などいないだろうと思っていた程で。
そして事実、これまでは誰もいなかったのだ。
今日、会うことになったご令嬢、ただひとりを除いて。
「お初にお目にかかります。ラエラ・カリエスにございます」
正直に言う。
心底、驚いた。
その眼に宿る知性に。
所作から滲みでる美しさに。
纏う穏やかさに。
「・・・こちらこそ、時間をいただき感謝する。リュークザイン・ライブニヒだ」
こちらの挨拶に、目の前の令嬢は、にこりと笑う。
ラエラ嬢の父、ハーメルン・カリエスは、その商才により莫大な富を蓄え、王都の整備、管理、学校建設などに大きく貢献した。
そしてその功により、国王シャールベルムより子爵位を賜ったのである。
いわゆる、プライドの高い貴族的な言い方をすれば新参者の成り上がりだ。
そのため、一部の古参貴族たちからは敬遠されていた。
しかし、リュークの目から見れば、カリエス卿の先見の明と実務手腕は素晴らしいの一言に尽きた。
無駄の一切ない、本質を見抜く目。
体裁を整える事よりも、確実な成果を上げる手腕。
それをカリエス卿は持っていた。
そしてそれは、娘の教育方針にも確かに表れていて。
ラエラ嬢は、知性豊かで教養に溢れる賢い令嬢だった。
鳶色の真っ直ぐな髪に賢そうな広い額。
空色の瞳には強い意志が宿っている。
容姿に関しては何の希望も出さなかったため、正直、このように知的な美しさの溢れるご令嬢が現れるとは夢にも思っていなかったのだ。
シュリエラやエレアーナ嬢のような華やかな美しさはないものの、理知的な美がそこにはあった。
何よりも、リュークの出した条件すべてをクリアするほどの能力の高さ。
恐らく、貴族になりたての子爵家の令嬢でなければ、とっくに他の誰かにかっ攫われていただろう。
・・・非常に望ましい。
リュークザインは、ラエラ嬢を一目見てそう思った。
「ラエラ嬢は才気あふれるご令嬢だと伺っている。今日はこうしてお会いできて光栄に思う」
「とんでもございません。わたくしこそ、光栄に存じます。まさか伝統あるライプニヒ公爵家のご当主さまと、このような形でお会いできるとは思ってもいませんでしたから」
感慨深げに、ラエラはそう言った。
恐らく、これまで爵位の低さや歴史の浅さを揶揄する貴族たちから、いろいろと嫌な目に遭わされて来たのだろう。
「ライプニヒ家は確かに歴史こそ古いが、王国への貢献度で言えば、今のカリエス家の方が遥かに大きい。どうかカリエス卿の業績を誇りに思って頂きたい」
そう答えると、ラエラは驚いたのか、一瞬、目を瞠った。
それから薄く笑むと「ありがとうございます」と頭を下げた。
「それでは」
と、ラエラが口を開く。
リュークが黙ってその先を促すと、少し躊躇してから言葉を継いだ。
「今日こうして会っていただけたという事は、わたくしをリュークザインさまの配偶者に、とお考え下さっていると思ってもよろしいのでしょうか」
随分とストレートな物言いだったが、リュークはそこも気に入った。
無駄な駆け引きなど、時間の無駄だ。
話が速くて助かる。
「その通りだ」
「ありがとうございます。子爵令嬢にすぎないわたくしに目を留めて下さったこと、決して後悔はさせませんわ」
ここまで理想的な相手が見つかるとは。
気が付けば、自然と笑みが浮かんでいた。
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