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結婚式前のあれこれ 祝う側
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目の前に山と積まれた品々を見上げる。
装飾品、絵画、宝石、剣、古書、酒、国外の名産品、どれもこれも貴重で高価な物ばかり。
「うーん、迷うなぁ・・・。ねぇ、カトリアナ。君はどれがいいと思う?」
目移りしてなかなか選べずにいたレオンハルトは、隣のカトリアナに意見を求めた。
「どれもこれも素晴らしい物なので、選ぶのが難しいですわね。せっかくの結婚祝いですから、喜んでいただけるものを選びたいのですが・・・」
品揃えの豊富さに、カトリアナも決めかねているようだ。
ケインバッハとエレアーナの結婚式まであと一週間もないというのに、贈り物がまだ決まっていないのは流石にまずい。
「そうだ、ライナス。参考までに教えてよ。君のところからは何を贈るつもりだい?」
「うちですか?」
何だったっけ、と首を捻った後、「ああ、そういえば」と、ぽんと手を叩いた。
「領地一番の刀鍛冶に打たせた剣でしたね」
「凄いな、わざわざ打たせたのか。辺境伯の領地で一番の鍛治となると、さぞや凄い仕上りだろうね」
「ええ、それはもう。持ち主が呪われるんじゃないかと思うくらいの凄まじい切れ味の名刀が出来上がりましたよ」
「いや、それ贈り物としてまずくない?」
「冗談ですよ。まさかホントに呪われたりしませんって」
あはは、と笑い飛ばすライナスから視線をずらし、部屋の中にいたもう一人の護衛、アッテンボローにも聞いてみる。
「そんな大層な品ではありません。シャンファルソン産のデュールを50ケースほど取り寄せましたが」
「いや、それ十分凄いよね。かなりの値段になったでしょ。シャンファルソン産って、王国の最高級品じゃないか」
話を聞きながら、贈り物候補を選別していく。
剣と酒は除外・・・と。
「随分と悩んでおられますね、殿下」
「贈る相手がケインとエレアーナだからね。形式とか見栄えとかじゃなく、心からの祝福の気持ちを込めて贈りたいだろ? それに勿論、喜んでもらいたいし」
普段だったら、こんなに悩まないけどさ。
あの二人は、僕たちにとって特別な存在だから。
「あ、そうですわ。レオンさま」
カトリアナの表情が、ぱあっと明るくなる。
「先日、レオンさまが教えてくださった、新種の薔薇。あの苗はどうでしょうか?」
「僕が教えた・・・。ああ、やっと改良に成功したっていう、あの薔薇かい?」
「ええ。薬効があり、香りも他の薔薇とは比較にならない程素晴らしく、食用にもなると伺いました。エレアーナさまに贈ったら、きっと喜んでくださるのではないでしょうか」
「ああ、それはそうかもしれないけど、あれは交配が難しくて、上手くいったのはまだ5株だけなんだよね。手に入れられるとしても1株がせいぜいかな」
「十分喜んでくださいますわ。それに後々の思い出ともなります。エレアーナさまのお手でダイスヒル家の庭園がその薔薇で埋め尽くされたら素敵じゃありませんか」
言われてみれば成程、と思った。
それにレオンハルトとケインバッハにとって、薔薇はエレアーナとの出会いを象徴する花でもある。
「そうか。うん、いいかもしれない。じゃあ、そうするとしよう」
「嬉しい。きっと喜んでいただけますわ」
へにゃりと緩んだ笑顔がとても可愛くて、気付けばレオンは、カトリアナを引き寄せて自分の膝の上に乗せていた。
「ひゃあっ?」
面白い叫び声を上げる姿に、レオンがくすりと笑う。
「ふふ、油断はいけないよ、お姫さま。そんな可愛い顔を僕にうっかり見せちゃ駄目じゃないか。こうして僕に拉致されても文句は言えないよ?」
そう言うと、膝の上で真っ赤になっている婚約者の首筋に唇を寄せた。
「きゃ、レ、オンさま・・・」
「ちょっと疲れちゃった。カトリアナで癒して」
そう言いながら、寄せた首元にちゅ、と口づけていく。
助けを求めるように視線を護衛たちへと向けるが、ライナスもアッテンも当然の如く壁と同化していて動くことはない。
カトリアナは、どうしよう、と、ぎゅっと目を瞑った。
片想いをしていた頃から、レオンさまに触れていただけたらどんなに・・・と妄想したことはあったけど。
現実はそれ以上だわ。
「・・・へぇ」
少し意地の悪い声が耳に入り、閉じていた眼を開ける。
すると、目の前のレオンハルトは、これまで見たことがない程の上機嫌な顔で微笑んでいた。
「ずっと妄想してたの? 僕で? それは知らなかったな。ねぇ、教えて。僕にどんなことをされるって想像してたのかな?」
「・・・へ?」
にっこりと美しく微笑んでいる筈なのに、レオンハルトの眼が何故かやたらと鋭いように思うのは気のせいだろうか。
こ、これは・・・。
もしかして、私・・・。
恐る恐る再び護衛たちへと視線を送る。
アッテンボローは呆れたように手で頭を抑えていて。
ライナスバージは、苦笑を浮かべている。
「全部口に出してましたね、はい・・」
や、やらかしたー!
お気の毒に、とでも言いたげな口調で、ライナスバージが教えてくれた。
護衛二人が扉の外で待機するよう命じられて部屋から追い出されたのは、勿論、そのすぐ後のこと。
装飾品、絵画、宝石、剣、古書、酒、国外の名産品、どれもこれも貴重で高価な物ばかり。
「うーん、迷うなぁ・・・。ねぇ、カトリアナ。君はどれがいいと思う?」
目移りしてなかなか選べずにいたレオンハルトは、隣のカトリアナに意見を求めた。
「どれもこれも素晴らしい物なので、選ぶのが難しいですわね。せっかくの結婚祝いですから、喜んでいただけるものを選びたいのですが・・・」
品揃えの豊富さに、カトリアナも決めかねているようだ。
ケインバッハとエレアーナの結婚式まであと一週間もないというのに、贈り物がまだ決まっていないのは流石にまずい。
「そうだ、ライナス。参考までに教えてよ。君のところからは何を贈るつもりだい?」
「うちですか?」
何だったっけ、と首を捻った後、「ああ、そういえば」と、ぽんと手を叩いた。
「領地一番の刀鍛冶に打たせた剣でしたね」
「凄いな、わざわざ打たせたのか。辺境伯の領地で一番の鍛治となると、さぞや凄い仕上りだろうね」
「ええ、それはもう。持ち主が呪われるんじゃないかと思うくらいの凄まじい切れ味の名刀が出来上がりましたよ」
「いや、それ贈り物としてまずくない?」
「冗談ですよ。まさかホントに呪われたりしませんって」
あはは、と笑い飛ばすライナスから視線をずらし、部屋の中にいたもう一人の護衛、アッテンボローにも聞いてみる。
「そんな大層な品ではありません。シャンファルソン産のデュールを50ケースほど取り寄せましたが」
「いや、それ十分凄いよね。かなりの値段になったでしょ。シャンファルソン産って、王国の最高級品じゃないか」
話を聞きながら、贈り物候補を選別していく。
剣と酒は除外・・・と。
「随分と悩んでおられますね、殿下」
「贈る相手がケインとエレアーナだからね。形式とか見栄えとかじゃなく、心からの祝福の気持ちを込めて贈りたいだろ? それに勿論、喜んでもらいたいし」
普段だったら、こんなに悩まないけどさ。
あの二人は、僕たちにとって特別な存在だから。
「あ、そうですわ。レオンさま」
カトリアナの表情が、ぱあっと明るくなる。
「先日、レオンさまが教えてくださった、新種の薔薇。あの苗はどうでしょうか?」
「僕が教えた・・・。ああ、やっと改良に成功したっていう、あの薔薇かい?」
「ええ。薬効があり、香りも他の薔薇とは比較にならない程素晴らしく、食用にもなると伺いました。エレアーナさまに贈ったら、きっと喜んでくださるのではないでしょうか」
「ああ、それはそうかもしれないけど、あれは交配が難しくて、上手くいったのはまだ5株だけなんだよね。手に入れられるとしても1株がせいぜいかな」
「十分喜んでくださいますわ。それに後々の思い出ともなります。エレアーナさまのお手でダイスヒル家の庭園がその薔薇で埋め尽くされたら素敵じゃありませんか」
言われてみれば成程、と思った。
それにレオンハルトとケインバッハにとって、薔薇はエレアーナとの出会いを象徴する花でもある。
「そうか。うん、いいかもしれない。じゃあ、そうするとしよう」
「嬉しい。きっと喜んでいただけますわ」
へにゃりと緩んだ笑顔がとても可愛くて、気付けばレオンは、カトリアナを引き寄せて自分の膝の上に乗せていた。
「ひゃあっ?」
面白い叫び声を上げる姿に、レオンがくすりと笑う。
「ふふ、油断はいけないよ、お姫さま。そんな可愛い顔を僕にうっかり見せちゃ駄目じゃないか。こうして僕に拉致されても文句は言えないよ?」
そう言うと、膝の上で真っ赤になっている婚約者の首筋に唇を寄せた。
「きゃ、レ、オンさま・・・」
「ちょっと疲れちゃった。カトリアナで癒して」
そう言いながら、寄せた首元にちゅ、と口づけていく。
助けを求めるように視線を護衛たちへと向けるが、ライナスもアッテンも当然の如く壁と同化していて動くことはない。
カトリアナは、どうしよう、と、ぎゅっと目を瞑った。
片想いをしていた頃から、レオンさまに触れていただけたらどんなに・・・と妄想したことはあったけど。
現実はそれ以上だわ。
「・・・へぇ」
少し意地の悪い声が耳に入り、閉じていた眼を開ける。
すると、目の前のレオンハルトは、これまで見たことがない程の上機嫌な顔で微笑んでいた。
「ずっと妄想してたの? 僕で? それは知らなかったな。ねぇ、教えて。僕にどんなことをされるって想像してたのかな?」
「・・・へ?」
にっこりと美しく微笑んでいる筈なのに、レオンハルトの眼が何故かやたらと鋭いように思うのは気のせいだろうか。
こ、これは・・・。
もしかして、私・・・。
恐る恐る再び護衛たちへと視線を送る。
アッテンボローは呆れたように手で頭を抑えていて。
ライナスバージは、苦笑を浮かべている。
「全部口に出してましたね、はい・・」
や、やらかしたー!
お気の毒に、とでも言いたげな口調で、ライナスバージが教えてくれた。
護衛二人が扉の外で待機するよう命じられて部屋から追い出されたのは、勿論、そのすぐ後のこと。
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