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新しい侍女(護衛)
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目の前でニコニコと笑いながら挨拶をする新しい侍女の姿は、どこをどう見ても先日夜会で会った令嬢と同一人物だとは思えなくて。
・・・今更だけど、ベルフェルトさまの手にかかると、本当に別人になってしまうのね。
頼んだら私にもやってくれるかしら?
「・・・カトリアナ嬢?」
アッテンボローから訝しげに名前を呼ばれ、ハッと我にかえる。
また思考がどこかに行ってしまうところだったわ。
アッテンボローはもう慣れたようだが、新しい侍女は珍しそうに目を見開いてカトリアナを見ている。
ええと、彼女のことはアッテンボローさまもシュリエラさまもご存知なのよね。
「こちらこそよろしくお願いしますわ。貴女のことを何とお呼びしたらいいかしら」
「フレイアとお呼びくださいませ、カトリアナさま」
肩まである紫の髪をさらりと揺らし、そう彼女は答えた。
「わかりましたわ。よろしくね、フレイア。こちらが私のもう一人の侍女の方になりますわ」
「シュリエラです。この間とはまた違った姿なのね」
「どうも素顔は出さない方がいいらしくて。ベルフェルトさまにいじくられちゃいました」
そう言うと、見た目に反して相当な腕であるという少女は屈託なく笑う。
何やら新しい情報が入ったとかで、急に身辺が慌ただしくなったカトリアナだったが、まだ確証がないということで詳しい話は聞かされていなかった。
だが護衛が増やされるとは、つまりそういう事で。
エレアーナの時のこともある。
婚約式の時に姉から覚悟しておくようにと散々脅されてもいる。
だから今更、戸惑いはしない。
そんな危険をひっくるめて、レオンさまの隣にいると決めたから。
不思議と怖くはなかった。
あるのは深い、深い信頼だけ。
「頼らせていただきますわね、フレイア」
カトリアナは、可愛らしくも頼もしい護衛を前に穏やかに微笑んだ。
「・・・なんでその髪色なんだ?」
じと目で見てくる従兄に、「さあ?」と首を傾げる。
「髪色なんてどうでもいいじゃない。どうせ変装だもの。ベルフェルトさまだって適当に決めただけでしょ」
「わざわざ自分と同じ髪色にか?」
カトリアナの護衛に就くという事は、必然、レオンハルトの護衛であるライナスに出くわす場面も増えるという事で。
会うなり、ベルフェルトが変装で変えた髪の色に、いちゃもんをつけられている。
「別に深い意味なんてないでしょ」
「ないとしてもだな・・・」
ただ今、レオンハルトとカトリアナは休憩時間に恒例のお茶会をしている最中だ。
普段であればアッテンボローと二人、対極に立ち周囲を見張るものの、ルナフレイアがいると知っている今日は、まず一番にささっと側に寄ってきてブツブツ言い出す始末だ。
「なにをブツブツと面倒くさいこと言ってるの。小姑じゃあるまいし」
ボソリと呟いた一言に、少し離れたところに立っていたアッテンボローが吹きだして。
そんなアッテンボローは、カトリアナの後ろに控えていたシュリエラにじろりと睨まれる。
「小姑ってお前、分かってんのか? その例えだと、あいつがお前の旦那って事になるんだぞ?」
「ああもう。煩いな。そう言う話じゃないわよね? この間も言ったでしょ、過保護にするのもいい加減にして。また勝負を挑まれたいの?」
「う・・・。わかったよ、ごめん」
やっと大人しくなった、と思って安堵したのも束の間、レオンたちにお茶を出して後ろに下がった侍従がにやりと笑うのが見えた。
・・・そこにいたのね。
面倒が起きそうな予感に、ルナフレイアが頭を抑えると、案の定、その侍従がライナスの側を通り過ぎる時に何事かを囁いた。
「なっ、おま・・・」
ライナスは声を上げかけて、周囲の視線に気づき、口を閉じる。
・・・あーあ、また揶揄われてる。
ホント、ベルフェルトさまったら悪戯好きなんだから。
ちらりと横目で従兄を観察すれば、何か自分に言いたそうな顔をしながらも、さっき怒られたばかりなのでそれも出来ず、不満そうな表情を浮かべて立っている。
静かになりかけた水面に石を投じた当の本人はと言えば、茶器セットの側で涼しい顔をしてこちらを眺めていて。
ホント、いい性格してるわね。
面倒見が良すぎて、なのにやり方が回りくどくて、結局損をするタイプってところかしら。
少しは自分の事を構いなさいよ。
そう思ったルナフレイアは、他人の事ばかり心配するなとベルフェルトに伝えたくて、べっと舌を出した。
すると、その反応は予想外だったのか、それを見たベルフェルトは破顔して。
だけど、それはなんだか余りに無防備な笑顔で。
普段は腹の底を決して見せようとしない男がそんな表情をした事にルナフレイアは驚いて。
思わずばっと目を逸らしてしまった。
・・・今更だけど、ベルフェルトさまの手にかかると、本当に別人になってしまうのね。
頼んだら私にもやってくれるかしら?
「・・・カトリアナ嬢?」
アッテンボローから訝しげに名前を呼ばれ、ハッと我にかえる。
また思考がどこかに行ってしまうところだったわ。
アッテンボローはもう慣れたようだが、新しい侍女は珍しそうに目を見開いてカトリアナを見ている。
ええと、彼女のことはアッテンボローさまもシュリエラさまもご存知なのよね。
「こちらこそよろしくお願いしますわ。貴女のことを何とお呼びしたらいいかしら」
「フレイアとお呼びくださいませ、カトリアナさま」
肩まである紫の髪をさらりと揺らし、そう彼女は答えた。
「わかりましたわ。よろしくね、フレイア。こちらが私のもう一人の侍女の方になりますわ」
「シュリエラです。この間とはまた違った姿なのね」
「どうも素顔は出さない方がいいらしくて。ベルフェルトさまにいじくられちゃいました」
そう言うと、見た目に反して相当な腕であるという少女は屈託なく笑う。
何やら新しい情報が入ったとかで、急に身辺が慌ただしくなったカトリアナだったが、まだ確証がないということで詳しい話は聞かされていなかった。
だが護衛が増やされるとは、つまりそういう事で。
エレアーナの時のこともある。
婚約式の時に姉から覚悟しておくようにと散々脅されてもいる。
だから今更、戸惑いはしない。
そんな危険をひっくるめて、レオンさまの隣にいると決めたから。
不思議と怖くはなかった。
あるのは深い、深い信頼だけ。
「頼らせていただきますわね、フレイア」
カトリアナは、可愛らしくも頼もしい護衛を前に穏やかに微笑んだ。
「・・・なんでその髪色なんだ?」
じと目で見てくる従兄に、「さあ?」と首を傾げる。
「髪色なんてどうでもいいじゃない。どうせ変装だもの。ベルフェルトさまだって適当に決めただけでしょ」
「わざわざ自分と同じ髪色にか?」
カトリアナの護衛に就くという事は、必然、レオンハルトの護衛であるライナスに出くわす場面も増えるという事で。
会うなり、ベルフェルトが変装で変えた髪の色に、いちゃもんをつけられている。
「別に深い意味なんてないでしょ」
「ないとしてもだな・・・」
ただ今、レオンハルトとカトリアナは休憩時間に恒例のお茶会をしている最中だ。
普段であればアッテンボローと二人、対極に立ち周囲を見張るものの、ルナフレイアがいると知っている今日は、まず一番にささっと側に寄ってきてブツブツ言い出す始末だ。
「なにをブツブツと面倒くさいこと言ってるの。小姑じゃあるまいし」
ボソリと呟いた一言に、少し離れたところに立っていたアッテンボローが吹きだして。
そんなアッテンボローは、カトリアナの後ろに控えていたシュリエラにじろりと睨まれる。
「小姑ってお前、分かってんのか? その例えだと、あいつがお前の旦那って事になるんだぞ?」
「ああもう。煩いな。そう言う話じゃないわよね? この間も言ったでしょ、過保護にするのもいい加減にして。また勝負を挑まれたいの?」
「う・・・。わかったよ、ごめん」
やっと大人しくなった、と思って安堵したのも束の間、レオンたちにお茶を出して後ろに下がった侍従がにやりと笑うのが見えた。
・・・そこにいたのね。
面倒が起きそうな予感に、ルナフレイアが頭を抑えると、案の定、その侍従がライナスの側を通り過ぎる時に何事かを囁いた。
「なっ、おま・・・」
ライナスは声を上げかけて、周囲の視線に気づき、口を閉じる。
・・・あーあ、また揶揄われてる。
ホント、ベルフェルトさまったら悪戯好きなんだから。
ちらりと横目で従兄を観察すれば、何か自分に言いたそうな顔をしながらも、さっき怒られたばかりなのでそれも出来ず、不満そうな表情を浮かべて立っている。
静かになりかけた水面に石を投じた当の本人はと言えば、茶器セットの側で涼しい顔をしてこちらを眺めていて。
ホント、いい性格してるわね。
面倒見が良すぎて、なのにやり方が回りくどくて、結局損をするタイプってところかしら。
少しは自分の事を構いなさいよ。
そう思ったルナフレイアは、他人の事ばかり心配するなとベルフェルトに伝えたくて、べっと舌を出した。
すると、その反応は予想外だったのか、それを見たベルフェルトは破顔して。
だけど、それはなんだか余りに無防備な笑顔で。
普段は腹の底を決して見せようとしない男がそんな表情をした事にルナフレイアは驚いて。
思わずばっと目を逸らしてしまった。
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