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オマジナイ
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おっ、赤くなった。(心の声: アッテンボロー)
今度は青くなったわ。(心の声: シュリエラ)
と思ったら、また赤くなって俯いてる。(心の声: ルナフレイア)
・・・数分でいいから二人きりにしてほしいって、殿下、一体カトリアナさまに何をしたんですか~っ?(心の声: 全員)
朝一番に、相談がある、と、カトリアナをわざわざ出迎えに行ったレオンハルトは、警護体制の変更を伝えた後、何故か人払いを命じた。
「五分、いや数分でいい。二人きりにしてくれないかな?」
いつもの柔らかい口調。
柔らかい表情。
なのに、何故だろう。
酷くピリピリしているのを肌で感じてしまう。
恐らくは昨夜の侵入者騒ぎのせいだろう。
そう辺りをつけたのはアッテンボロー。
事情を知らないシュリエラと、まだ知らされていないルナフレイアは、何かあったのかと不安顔だ。
それでもただ頷いて部屋の外で待機すること、三分、いや四分ほどだったろうか。
「ありがとう。僕はもう行くから入っていいよ」
そう言って、レオンだけ部屋から出てきた。
「カトリアナをよろしくね」
それだけを言い残して護衛を引き連れ、自分の執務室へと帰って行ったのだ。
そうして中に入ったら、この通りである。
抱きしめる、とか、口づけるとかは、俺らがいる前でも平気でやってるよな。(心の声: アッテンボロー)
しかもたった数分、確かに五分もかからなかったわ。(心の声: シュリエラ)
でも、今のカトリアナさまは明らかに動揺してる。分からないわ。何があったのかしら。(心の声: ルナフレイア)
当のカトリアナは、そんな心配を周りがしていることにも気づかないくらいに動揺していた。
というか、激しく打ち続ける胸の鼓動が治まらないでいた。
「改めて人払いされるなんて、何か問題でもございましたか、レオンさま?」
二人きりの室内で、カトリアナが心配そうに問いかけた。
「うん、ちょっとね。おまじないがしたくて」
「おまじない?」
「そう。君の安全を願って。どうか無事でありますようにってね」
少し恥ずかしそうに微笑むレオンにカトリアナも釣られて笑みが零れるが、ここで、はた、とそれで何故人払いを? と不思議に思う。
そんな考えに気付いたのか、レオンハルトはちょっと顔を赤くして、小さな声でもごもごと呟いた。
「え?」
よく聞き取れず、首を傾げながら問い返す。
「・・・別に疾しい気持ちとかじゃないからね。本当に心配で、ちょっと縋りたい気分で・・・」
意味がよく分からなかった。
目の前にいたレオンハルトがすっと跪く。
驚いて視線を下げると、レオンハルトは「右足? それとも左かな?」と質問した。
何のことかと戸惑っていると、「護身用具をつけてる足」と答えが返る。
「え、あ、右、です」
問われるままに答えを返すと、レオンは自分の手を、そっとドレスの上、腰より少し下のあたりに翳す。
「・・・大体、この辺り、かな」
そうぽつりと呟くと、そっと、本当にとても軽く、ドレスに触れる。
「ここで合ってる?」
そう聞かれて、やっと何を聞かれているのか理解して、小刀を装着しているガーターリングの部分をそっと手で示した。
「・・・ここか」
少しだけ、手を下にずらす。
ドレス越し。だから、カトリアナにとっては触れられている感覚など微塵もない。
なんなら夜会でのダンスの方がよほど密着しているくらいだ。
なのに、胸の鼓動がどんどん激しくなっていく。
触れるか触れないか、翳しているとも言えるような微かな接触で、レオンハルトがドレスに触れる。
そして、跪いたまま、祈るように目を伏せた。
唇が微かに動いて。
何かを呟いているのだと気付く。
でもその声はあまりに小さくて、何を願っているのか聞くことも出来ないけれど。
・・・でも、きっと貴方は。
私の無事を願ってくださっているのでしょう。
どうか、守ってください、と。
そのおまじないは、時間にして、ほんの数十秒。
でも、レオンハルトの真剣すぎる眼差しが。
跪き、祈り請う姿が。
全身全霊でカトリアナへの愛を囁いているようで。
きっと、これまでよりもずっと、事態は緊迫している筈なのに。
そう思うと、不安で堪らなくなるのに。
おまじないを呟くレオンハルトの姿が眼裏に浮かぶたびに、頬が熱くなるのだ。
それに・・・帰り際にあんなことを仰るから。
---本当は、じかにリングに触れてお願いしたかったんだけど・・、ね?---
直にって、直にって、これどこに着けてるか分かってるくせに・・・。
・・・という訳で、護衛と侍女たちの心の声が呟かれ始めることになる。
今度は青くなったわ。(心の声: シュリエラ)
と思ったら、また赤くなって俯いてる。(心の声: ルナフレイア)
・・・数分でいいから二人きりにしてほしいって、殿下、一体カトリアナさまに何をしたんですか~っ?(心の声: 全員)
朝一番に、相談がある、と、カトリアナをわざわざ出迎えに行ったレオンハルトは、警護体制の変更を伝えた後、何故か人払いを命じた。
「五分、いや数分でいい。二人きりにしてくれないかな?」
いつもの柔らかい口調。
柔らかい表情。
なのに、何故だろう。
酷くピリピリしているのを肌で感じてしまう。
恐らくは昨夜の侵入者騒ぎのせいだろう。
そう辺りをつけたのはアッテンボロー。
事情を知らないシュリエラと、まだ知らされていないルナフレイアは、何かあったのかと不安顔だ。
それでもただ頷いて部屋の外で待機すること、三分、いや四分ほどだったろうか。
「ありがとう。僕はもう行くから入っていいよ」
そう言って、レオンだけ部屋から出てきた。
「カトリアナをよろしくね」
それだけを言い残して護衛を引き連れ、自分の執務室へと帰って行ったのだ。
そうして中に入ったら、この通りである。
抱きしめる、とか、口づけるとかは、俺らがいる前でも平気でやってるよな。(心の声: アッテンボロー)
しかもたった数分、確かに五分もかからなかったわ。(心の声: シュリエラ)
でも、今のカトリアナさまは明らかに動揺してる。分からないわ。何があったのかしら。(心の声: ルナフレイア)
当のカトリアナは、そんな心配を周りがしていることにも気づかないくらいに動揺していた。
というか、激しく打ち続ける胸の鼓動が治まらないでいた。
「改めて人払いされるなんて、何か問題でもございましたか、レオンさま?」
二人きりの室内で、カトリアナが心配そうに問いかけた。
「うん、ちょっとね。おまじないがしたくて」
「おまじない?」
「そう。君の安全を願って。どうか無事でありますようにってね」
少し恥ずかしそうに微笑むレオンにカトリアナも釣られて笑みが零れるが、ここで、はた、とそれで何故人払いを? と不思議に思う。
そんな考えに気付いたのか、レオンハルトはちょっと顔を赤くして、小さな声でもごもごと呟いた。
「え?」
よく聞き取れず、首を傾げながら問い返す。
「・・・別に疾しい気持ちとかじゃないからね。本当に心配で、ちょっと縋りたい気分で・・・」
意味がよく分からなかった。
目の前にいたレオンハルトがすっと跪く。
驚いて視線を下げると、レオンハルトは「右足? それとも左かな?」と質問した。
何のことかと戸惑っていると、「護身用具をつけてる足」と答えが返る。
「え、あ、右、です」
問われるままに答えを返すと、レオンは自分の手を、そっとドレスの上、腰より少し下のあたりに翳す。
「・・・大体、この辺り、かな」
そうぽつりと呟くと、そっと、本当にとても軽く、ドレスに触れる。
「ここで合ってる?」
そう聞かれて、やっと何を聞かれているのか理解して、小刀を装着しているガーターリングの部分をそっと手で示した。
「・・・ここか」
少しだけ、手を下にずらす。
ドレス越し。だから、カトリアナにとっては触れられている感覚など微塵もない。
なんなら夜会でのダンスの方がよほど密着しているくらいだ。
なのに、胸の鼓動がどんどん激しくなっていく。
触れるか触れないか、翳しているとも言えるような微かな接触で、レオンハルトがドレスに触れる。
そして、跪いたまま、祈るように目を伏せた。
唇が微かに動いて。
何かを呟いているのだと気付く。
でもその声はあまりに小さくて、何を願っているのか聞くことも出来ないけれど。
・・・でも、きっと貴方は。
私の無事を願ってくださっているのでしょう。
どうか、守ってください、と。
そのおまじないは、時間にして、ほんの数十秒。
でも、レオンハルトの真剣すぎる眼差しが。
跪き、祈り請う姿が。
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きっと、これまでよりもずっと、事態は緊迫している筈なのに。
そう思うと、不安で堪らなくなるのに。
おまじないを呟くレオンハルトの姿が眼裏に浮かぶたびに、頬が熱くなるのだ。
それに・・・帰り際にあんなことを仰るから。
---本当は、じかにリングに触れてお願いしたかったんだけど・・、ね?---
直にって、直にって、これどこに着けてるか分かってるくせに・・・。
・・・という訳で、護衛と侍女たちの心の声が呟かれ始めることになる。
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