転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

文字の大きさ
278 / 334
第2章

第278話 離れてても動かせるやつ

しおりを挟む
「写し絵」の魔道具が発動するときに白い球がピョンって出てきたら面白いって思ったんだけど確かに写る人がみんなビックリ顔になっちゃったら困るね。
これは隠し機能にしておこう。

出来上がった写し絵を見つめながら小さく溜息をついている兄上に、小さい魔道具を見せる。
掌に収まるサイズのタグみたいな板に魔石が埋め込んである。持ちやすいようにぶら下げる紐付きだ。

「これもあると便利かと思って作ってみたんだ」
「……それは……?」

兄上は妙な物を見るような目つきで、僕の手の上の魔道具を見つめる。
「えーと……、離れてても『写し絵』の魔道具を動かせるんだ」

魔道具の名前を決めていなかったなと思いながら、小さい魔道具に魔力を通す。
「写し絵」の魔道具がカーンと言う音を立てて、白い球がピョーンと飛び出した。白い球が飛び出す設定をまだ解除していなかったよ。

「それ、リモ……」
「『タイマー』してから急いで戻らなくても良いかなって……。何か言った?」
「いや……」

小さい魔道具の説明をしようとした時、兄上が何か言いかけた気がしたので訊き返したんだけど、何でもないみたいだ。

「写し絵」の魔道具のところまで言って、魔法紙を確認すると兄上が魔道具の方に振り向いている様子が写っていた。

「ね。便利そうでしょ?」
「そうだな……」

兄上は何だか複雑そうな顔をしながら小さく頷いた。

「それがあれば、『タイマー』機能はいらなかったんじゃないか?」
「『タイマー』もカチッカチッカーン!ってなるの、格好良いでしょ?」
「……そうかもな……。まあ、魔道具一台で使えると、わかりやすくはあるか」
「うん。わかりやすいかも!」

「タイマー」の機能も小さい魔道具も問題なさそうでよかった。白い球だけ設定を解除する。
そして、今まで使っていたものの二倍のサイズの魔法紙と、大きめの魔道具を取り出した。

「あとね。大きい魔法紙でも写し絵が作れるようにしてみたんだ」
「うん?」
「最初は、魔法紙を一枚ずつセットするのが面倒かなと思って、仕組みを考えてたんだけど。
 写す魔法紙をセットするところと、予備の魔法紙を保管するところを分けると魔道具が大きくなっちゃうからイメージを写す機能のところと、魔法紙に写すところの機能を別々にしてみたんだ。
 持ち歩きしないなら大きいサイズの魔法紙をセットできるようにしても良いかなと思って」
「それ……もしかして、プリ……」
「この写す方の魔道具で、イメージを作って、後から『紙写』の魔道具に魔石を置くと魔法紙に写す仕組みだよ」

イメージを写した魔道具の魔石部分を「紙写」の魔道具の魔石をセットする部分に当てて、魔道具を動かす魔石に魔力を通すと、セットした魔法紙にイメージが写される。
イメージは魔石に複数保存しておいて、連続して魔法紙に写すことができるようにしたんだ。

「やっぱ、プリ……」
「まとめて、魔法紙に写すことはできたんだけど、三枚分のイメージのうち、二枚目のだけを魔法紙に写すとかが
まだできないんだけど……」
「……充分じゃないか?」
「大丈夫そう?」
「……大丈夫かというと微妙だけど……、魔石さえ取っておけば、後からもう一度魔法紙に写せるんだろう?」
「うん!あ!イメージを保存している魔石の部分を取り外しできるようにすれば良いかな。
 そうすれば、保管とかできるね!」
「そうだな。……今やらないでも良いからな」

その後、メイリが来たので、イメージを保存できる方の魔道具でメイリを写してみた。
魔法紙に写した絵は、時間が経ったら消えちゃいそうだから魔石に保存できるのは良いかも。
また、色々改良しないとなぁ。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

処理中です...