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第2章
第293話 家族の絵を描く
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シャル叔父さんが救援物資を運んで行って、後は状況が改善するのを祈るだけになった。
シャル叔父さんからは定期連絡は魔道具がどこまで繋がるかの情報にもなるので
場所の情報は僕にも教えてもらえている。
教えてもらった地名と日付を地形図に書き込んでいく。知らない地名は位置を確認して書いておく。
アンソラ男爵領のヨンスと言う街で、救援物資を領都のアンスまで届けてもらうように手配をしたそうだ。
アンソラ男爵に直接会って説明をした方が良いのだろうけれど、辺境伯領にも急いで救援物資を届けたいからと言うことで、アンソラ男爵宛の手紙を添えて救援物資を渡したらしい。
引き出しから「写し絵」を取り出した。
父上、母様、兄上、メイリ、僕とシャル叔父さんが写っている「写し絵」だ。
シャル叔父さん達の隔離期間が明けてから、救援物資の準備とかでかなりバタバタしていたけど皆で並んでいる「写し絵」を作ることができた。
「写し絵」の魔道具はシャル叔父さんも欲しがっていた。広める方法はいずれ考えるけれど、個人的に欲しいんだって。
一つ買い取ってくれた。
「写し絵」を眺めているうちに、絵を描きたくなってきた。皆で並んでいる「写し絵」を参考にして描き始める。
絵の場合は色付けが自由にできるのが良いね。
「写し絵」の魔道具で魔法紙に写したものは白黒だからなぁ。
そのうちルドおじさんが色も出る魔法紙を作ってくれるかもしれないけど、それ以前に、「写し絵」の魔道具は人や物の形状を取り込んでいて
色は取り込んでないんだよね。
ちゃんと色の情報も取り込むようにできたら、魔法紙に映し出さなくても魔道具で表示できるよね。
今度方法を考えよう。
少し大きめの板にシャル叔父さんも加わった家族の絵を描く。
色付けは自由だけど落ち着いた優しい雰囲気の色合いにしてみた。
ーーー感染症が流行った時、私のお母さんも感染して倒れたの。凄く怖かったわ。
お母さんがもう目を覚さないんじゃないかって思って……
ーーーそれは大変だったんだね……
ーーーええ。お薬を買うお金もなくて……。どうにもならなくて祈ったわ。
祈るくらいしかできなかったから。毎日祈っていたら、ある日お母さんが回復してきたの。
それで、私に光魔法の素質があるんじゃないかって言われて、教会に預けられたの。
ーーー……ミラは聖女様だったのかい?
ーーー聖女だなんて……。教会には光魔法を使える人が集められていたのよ。私の他にも何人もいたわ
絵の背景の色を足そうと絵の具をパレットに出した時、脳裏に光景が浮かんできた。
ネイサン殿下と、ピンクの髪の令嬢が話している光景だ。
ーーーあの時の流行病は『呪いの毒の病』と呼ばれていて教会で作っている聖水しか聞かなかったって話だった。君がみんなを救ったんだよ。
ーーーそんな……。少しでも皆さんのお役に立てていたのなら良かったです
ピンク髪の令嬢が恥ずかしそうに身体をくねらせた。
ネイサン殿下が微笑んで頷く。
ーーー凄いことだよ。誰にでもできることではないからね。……その活躍が目立ったから、お父上と再会出来たのかい?
ーーー活躍というか、教会に入るときに素性は調べられるんです。
それで、私が持っていたスカーフの紋章から私のお父さんがバーベナ子爵だということが分かって……。疫病が落ち着いた頃にバーベナ子爵家に引き取られたんです。
ーーー……やはり、光魔法が僕達を導いてくれたんだね。君が光魔法に目覚めなかったら、僕達は出会えていなかったかもしれない。
ネイサン殿下がうっとりした表情でピンク髪の令嬢の手を握った。
そこで脳裏の光景が消えた。
僕はふぅーーと深く息を吐いた。
シャル叔父さんからは定期連絡は魔道具がどこまで繋がるかの情報にもなるので
場所の情報は僕にも教えてもらえている。
教えてもらった地名と日付を地形図に書き込んでいく。知らない地名は位置を確認して書いておく。
アンソラ男爵領のヨンスと言う街で、救援物資を領都のアンスまで届けてもらうように手配をしたそうだ。
アンソラ男爵に直接会って説明をした方が良いのだろうけれど、辺境伯領にも急いで救援物資を届けたいからと言うことで、アンソラ男爵宛の手紙を添えて救援物資を渡したらしい。
引き出しから「写し絵」を取り出した。
父上、母様、兄上、メイリ、僕とシャル叔父さんが写っている「写し絵」だ。
シャル叔父さん達の隔離期間が明けてから、救援物資の準備とかでかなりバタバタしていたけど皆で並んでいる「写し絵」を作ることができた。
「写し絵」の魔道具はシャル叔父さんも欲しがっていた。広める方法はいずれ考えるけれど、個人的に欲しいんだって。
一つ買い取ってくれた。
「写し絵」を眺めているうちに、絵を描きたくなってきた。皆で並んでいる「写し絵」を参考にして描き始める。
絵の場合は色付けが自由にできるのが良いね。
「写し絵」の魔道具で魔法紙に写したものは白黒だからなぁ。
そのうちルドおじさんが色も出る魔法紙を作ってくれるかもしれないけど、それ以前に、「写し絵」の魔道具は人や物の形状を取り込んでいて
色は取り込んでないんだよね。
ちゃんと色の情報も取り込むようにできたら、魔法紙に映し出さなくても魔道具で表示できるよね。
今度方法を考えよう。
少し大きめの板にシャル叔父さんも加わった家族の絵を描く。
色付けは自由だけど落ち着いた優しい雰囲気の色合いにしてみた。
ーーー感染症が流行った時、私のお母さんも感染して倒れたの。凄く怖かったわ。
お母さんがもう目を覚さないんじゃないかって思って……
ーーーそれは大変だったんだね……
ーーーええ。お薬を買うお金もなくて……。どうにもならなくて祈ったわ。
祈るくらいしかできなかったから。毎日祈っていたら、ある日お母さんが回復してきたの。
それで、私に光魔法の素質があるんじゃないかって言われて、教会に預けられたの。
ーーー……ミラは聖女様だったのかい?
ーーー聖女だなんて……。教会には光魔法を使える人が集められていたのよ。私の他にも何人もいたわ
絵の背景の色を足そうと絵の具をパレットに出した時、脳裏に光景が浮かんできた。
ネイサン殿下と、ピンクの髪の令嬢が話している光景だ。
ーーーあの時の流行病は『呪いの毒の病』と呼ばれていて教会で作っている聖水しか聞かなかったって話だった。君がみんなを救ったんだよ。
ーーーそんな……。少しでも皆さんのお役に立てていたのなら良かったです
ピンク髪の令嬢が恥ずかしそうに身体をくねらせた。
ネイサン殿下が微笑んで頷く。
ーーー凄いことだよ。誰にでもできることではないからね。……その活躍が目立ったから、お父上と再会出来たのかい?
ーーー活躍というか、教会に入るときに素性は調べられるんです。
それで、私が持っていたスカーフの紋章から私のお父さんがバーベナ子爵だということが分かって……。疫病が落ち着いた頃にバーベナ子爵家に引き取られたんです。
ーーー……やはり、光魔法が僕達を導いてくれたんだね。君が光魔法に目覚めなかったら、僕達は出会えていなかったかもしれない。
ネイサン殿下がうっとりした表情でピンク髪の令嬢の手を握った。
そこで脳裏の光景が消えた。
僕はふぅーーと深く息を吐いた。
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