転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第294話 毒鑑定の魔道具

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何かよくわからない光景だった。
ピンク髪の令嬢のお母さんは、「呪いの毒の病」という感染症にかかったって言っていた。
それって、アンソラ男爵領や辺境伯領で今、問題になっている感染症と同じってことなのかな。
アンそら男爵領や辺境伯領の流行病は、まだ紫色の木の実の毒とは確定していないけど、紫色の木の実の毒だったら、呪いの毒に変化することはあり得る。

脳裏で見た光景の中で、ピンク髪の令嬢が言っていた「呪いの毒の病」は未来のことなんだろうか。
それとも、もう「呪いの毒」に変化しちゃっているのかな。
今、既に「呪いの毒」に変化しちゃっていたとしても、シャル叔父さんが光水入りの栄養剤を届けてくれているはずだ。
早い時期に感染症がおさまれば、ピンク髪の令嬢のお母さんも病に倒れることはなくなるよね。
間に合うと良いなぁ。

ピンク髪の令嬢が住んでいた場所というのは、今感染症が流行っているところかな。
それとも、また何処かの川に毒が流されるんだろうか。

僕がジランやノドナスに行けたら、川の水を毒鑑定するんだけど……。
毒鑑定って魔法陣出てたっけ?
                       
いつも、毒鑑定の結果の方に注目してたから魔法陣が出ていたかどうか、ちゃんと見てなかった。

試しに「収納」から水筒を出して、コップに水を注いで見つめてみる。

《コップの水》
《毒なし》

毒鑑定が発動した!魔法陣は?視界の端っこに微かに見えた。
毒鑑定の時は、目の前に解読した内容が文字で浮かんで来るんだ。
だからつい文字を見てしまうんだけど、端の方に小さく魔法陣が出ているみたいだ。
ぼやけていてよく見えないから何度か毒鑑定を発動させて魔法陣をよく見る。

何回か魔法陣に注視してみて、水魔石に魔法陣を刻んでみた。
試しに魔力を流し込んでもう一度コップの水を見てみた。

《毒なし》

「あれ?」

毒なしってことは表示されたけど、「コップの水」って情報は出なかった。
魔法陣の記述が不足しているのかな?それとも、魔法陣魔石だと毒鑑定のレベルが低いんだろうか。

それでも毒があるか無いかが魔法陣魔石でわかるなら良いかも。

他の属性の魔石でも試してみた。口に入るとちょっと毒だっていう絵の具で毒のあるなしの結果を比較してみていたら
乳白色の魔法陣魔石だと、毒が無い時にぼんやりと光利、毒がある時に強い光で点滅するようになることがわかった。

それと、僕が「毒鑑定」をした時と違って、対象にかなり近づかないと反応しないこともわかった。

あとは毒鑑定の結果が文字で浮かんで来るのは、他の人でも同じように浮かぶのかを確認したい。

兄上に聞いてみようかな。

『もしもし?どうした?』
「毒鑑定の魔道具を作っているんだけど……」
『……』

ドタドタドタ、コンコンコン

兄上の返事が聞こえないと思ったら、勢いよく駆けてくる足音とドアを激しくノックする音がした。
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