転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第307話 毒ギルド

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ゴロゴロと石が転がっている河原を歩く足音。ザーッと流れる川の音が聞こえる中黒ローブが川原を彷徨いていて、川の水を採取したりしていた。



『ノワールの奴から連絡来たか?』
『いや。川の毒撒きしに行ってから報告が来てないと思うぞ。ゲンティアナだったよな』



「ゲンティアナ!」
「静かに」
「あぅ……」

黒ローブ達から「ゲンティアナ」という単語が聞こえてきたので、つい大きい声を出してしまった。父上に注意された。
慌てて両手で口を押さえた。

『もう第二王子は移動してるんだろ。ど田舎に毒撒いても無駄だと思うんだが』

ど田舎ってゲンティアナのこと!?口を押さえたままキョロキョロと父上や母様の表情を伺ってしまった。
父上も母様も特に表情は変えず、じっと黒ローブ達の話に耳を澄ませているようだ。

『毒まきの指令が出た後に第二王子が移動したからな』
『暗殺も失敗して逃げられてるし』
『それはうちのギルドの責ではない』
『しかしな、呪いの毒が提供できないからだって、文句言われてるんだろう。ギルマスの奴が大口叩くから……』
『シッ……。まあ、こんなところで聞き耳を立てている奴はいないか……。ここでは良いが、他では誰が聞いているかわからないからな』

家族全員で聞き耳を立てていたら、黒ローブ達ばボソボソと愚痴っぽいことを言い始めた。

『パープルヴァレートレントの実さえ手に入れば、呪いの毒は手に入ったも同然だとか言って……。
 今だに毒の生成に成功していない』
『実験は帝国外でやれって言われてたからな……』
『川での実験は別に良い。同時にペオニアの第二王子の暗殺の協力依頼なんて受けるからややこしくなったんだ』
『ペオニアで実験するなら一石二鳥だと思って引き受けたんだろう。

 だが、暗殺はなかなか成功しないし、警戒されて行動しにくくなるし、面倒なんだよなぁ』

黒ローブ達は一定の距離を移動しては川の水を採取したり、転がっている魚系魔獣の遺骸を調べたりしていた。
メモを取ったりしながら淡々と作業をしながら、ボソボソと話しもしていた。

「……毒ギルドかしら」

黒ローブ達が次の場所に移動を始めて少し会話が途切れたところで、呟いた。少し首を傾げ何か思い出すかのように瞬きを数回した。

「毒ギルド?」
「ええ。闇ギルド……、あまり良くない仕事もするギルドの一つらしいわ。毒を作ったり、売ったりしているギルドがあると聞いたことがあるの。
 暗殺だとかの時に、直接毒を盛ったりするのではなく毒を提供するようなことをする組織のことよ」

薬師のおばあちゃんに聞いたことがある、と母様が説明してくれた。
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