307 / 334
第2章
第307話 毒ギルド
しおりを挟む
ゴロゴロと石が転がっている河原を歩く足音。ザーッと流れる川の音が聞こえる中黒ローブが川原を彷徨いていて、川の水を採取したりしていた。
『ノワールの奴から連絡来たか?』
『いや。川の毒撒きしに行ってから報告が来てないと思うぞ。ゲンティアナだったよな』
「ゲンティアナ!」
「静かに」
「あぅ……」
黒ローブ達から「ゲンティアナ」という単語が聞こえてきたので、つい大きい声を出してしまった。父上に注意された。
慌てて両手で口を押さえた。
『もう第二王子は移動してるんだろ。ど田舎に毒撒いても無駄だと思うんだが』
ど田舎ってゲンティアナのこと!?口を押さえたままキョロキョロと父上や母様の表情を伺ってしまった。
父上も母様も特に表情は変えず、じっと黒ローブ達の話に耳を澄ませているようだ。
『毒まきの指令が出た後に第二王子が移動したからな』
『暗殺も失敗して逃げられてるし』
『それはうちのギルドの責ではない』
『しかしな、呪いの毒が提供できないからだって、文句言われてるんだろう。ギルマスの奴が大口叩くから……』
『シッ……。まあ、こんなところで聞き耳を立てている奴はいないか……。ここでは良いが、他では誰が聞いているかわからないからな』
家族全員で聞き耳を立てていたら、黒ローブ達ばボソボソと愚痴っぽいことを言い始めた。
『パープルヴァレートレントの実さえ手に入れば、呪いの毒は手に入ったも同然だとか言って……。
今だに毒の生成に成功していない』
『実験は帝国外でやれって言われてたからな……』
『川での実験は別に良い。同時にペオニアの第二王子の暗殺の協力依頼なんて受けるからややこしくなったんだ』
『ペオニアで実験するなら一石二鳥だと思って引き受けたんだろう。
だが、暗殺はなかなか成功しないし、警戒されて行動しにくくなるし、面倒なんだよなぁ』
黒ローブ達は一定の距離を移動しては川の水を採取したり、転がっている魚系魔獣の遺骸を調べたりしていた。
メモを取ったりしながら淡々と作業をしながら、ボソボソと話しもしていた。
「……毒ギルドかしら」
黒ローブ達が次の場所に移動を始めて少し会話が途切れたところで、呟いた。少し首を傾げ何か思い出すかのように瞬きを数回した。
「毒ギルド?」
「ええ。闇ギルド……、あまり良くない仕事もするギルドの一つらしいわ。毒を作ったり、売ったりしているギルドがあると聞いたことがあるの。
暗殺だとかの時に、直接毒を盛ったりするのではなく毒を提供するようなことをする組織のことよ」
薬師のおばあちゃんに聞いたことがある、と母様が説明してくれた。
『ノワールの奴から連絡来たか?』
『いや。川の毒撒きしに行ってから報告が来てないと思うぞ。ゲンティアナだったよな』
「ゲンティアナ!」
「静かに」
「あぅ……」
黒ローブ達から「ゲンティアナ」という単語が聞こえてきたので、つい大きい声を出してしまった。父上に注意された。
慌てて両手で口を押さえた。
『もう第二王子は移動してるんだろ。ど田舎に毒撒いても無駄だと思うんだが』
ど田舎ってゲンティアナのこと!?口を押さえたままキョロキョロと父上や母様の表情を伺ってしまった。
父上も母様も特に表情は変えず、じっと黒ローブ達の話に耳を澄ませているようだ。
『毒まきの指令が出た後に第二王子が移動したからな』
『暗殺も失敗して逃げられてるし』
『それはうちのギルドの責ではない』
『しかしな、呪いの毒が提供できないからだって、文句言われてるんだろう。ギルマスの奴が大口叩くから……』
『シッ……。まあ、こんなところで聞き耳を立てている奴はいないか……。ここでは良いが、他では誰が聞いているかわからないからな』
家族全員で聞き耳を立てていたら、黒ローブ達ばボソボソと愚痴っぽいことを言い始めた。
『パープルヴァレートレントの実さえ手に入れば、呪いの毒は手に入ったも同然だとか言って……。
今だに毒の生成に成功していない』
『実験は帝国外でやれって言われてたからな……』
『川での実験は別に良い。同時にペオニアの第二王子の暗殺の協力依頼なんて受けるからややこしくなったんだ』
『ペオニアで実験するなら一石二鳥だと思って引き受けたんだろう。
だが、暗殺はなかなか成功しないし、警戒されて行動しにくくなるし、面倒なんだよなぁ』
黒ローブ達は一定の距離を移動しては川の水を採取したり、転がっている魚系魔獣の遺骸を調べたりしていた。
メモを取ったりしながら淡々と作業をしながら、ボソボソと話しもしていた。
「……毒ギルドかしら」
黒ローブ達が次の場所に移動を始めて少し会話が途切れたところで、呟いた。少し首を傾げ何か思い出すかのように瞬きを数回した。
「毒ギルド?」
「ええ。闇ギルド……、あまり良くない仕事もするギルドの一つらしいわ。毒を作ったり、売ったりしているギルドがあると聞いたことがあるの。
暗殺だとかの時に、直接毒を盛ったりするのではなく毒を提供するようなことをする組織のことよ」
薬師のおばあちゃんに聞いたことがある、と母様が説明してくれた。
297
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる