転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第308話 更に新たな黒ローブ

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毒ギルドの人達は、誰かに頼まれて毒を準備するということか。
でも、川に毒も撒いているよね。

「川に毒を撒くのは、毒を盛るのと変わらないんじゃないの?」
「そうね。川に毒を流しているから、毒の提供だけとは言えないわね……。毒に関わる仕事を広範囲にしている組織、というところかしら」
母様が少し首を傾げた。

長椅子にドッカリと腰を下ろして腕組みをしていた父上が低い声で言う。

「尋問しても、目的をはっきり言わないのは、指示されてやっているだけだからだな……」

メモを取っていた兄上が顔を上げた。チラリと壁の「動く写し絵」の状況を確認してから視線を父上と母様に向ける。

「ここまでで、わかったことをまとめたよ。
 この黒ローブ達は誰かの指示で川に毒を撒いて、その後の調査をしている。
 わかっている場所では、ゲンティアナ、アンソラ、辺境伯領の川に毒を流している。

 目的は『呪いの毒』を作り出すことらしい。でも、川の汚染自体も目的の可能性はある。
『呪いの毒』を作り出したらどうするつもりなのかは不明。
『呪いの毒』を作り出すのにはまだ成功していないけど、何らかの毒がアンソラ男爵領や辺境伯領の川を汚染している。
でも、周辺の人々は回復傾向にあるらしい。……これは、シャル叔父さんが支援物資を運んでくれたからだと思う。

 それ以外にも殿下の暗殺への協力も組織で請け負っている。
 この間捕まえた黒ローブは多分、こいつらの仲間の『ノワール』という奴。
 こいつらの組織は毒ギルドというものの可能性が高い。

……このくらい?」

兄上が顔をあげて父上と母様の顔を交互に見ると、母様が頷いた。

「そうね。……でも、ゲンティアナの川のときは、捕まえた時にこぼした毒が流れたのよね。
ゲンティアナの時は他の川に撒かれた毒と違うようだわ」

「そうだね。それは謎だけど……」

『バチャッ』
  
母様と兄上が議論をしている中、「動く写し絵」の中で黒ローブ達が移動を続けていた。
追いかける為に、移動先を予測して映し出す位置を変えていたんだけど、映し出す位置を変えたら、違う人が映っていた。それと馬二頭。

黒ローブの仲間?黒いローブを着ているけど、背格好が先程の人達に比べて何だか小さい気がする。

「あれ?位置を間違ったか……」

映し出す位置が違ってたかなと思って修正しようとしたら、声が聞こえてきた。

『おい!ネロ!その水は川の水じゃないだろうな!』

怒鳴るような声が聞こえてきたら、小柄な黒ローブが振り返った。フードからチラリと見える黒っぽい髪。
若い?僕より年上っぽく見えるけど、兄上と同じくらいに見える男の子だ。
側で馬が桶から水を飲んでいるので、その水のことを言っているらしい。
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