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第1章
第4話 運搬スキル
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キノコが生えていた木の近くに黄色っぽい石を見つけた。これも色材になるかな。
黄色い石には毒はないみたいだったので、採っておくことにした。
「沼地でジメジメしているからこんなキノコが生えるのかな。」
「そうかも。あ、あそこにも赤のキノコがあった!」
沼地の周辺を一周してみると、沼地の近辺で赤と青と灰色のキノコを発見した。
パッと見、わかりにくい陰になった場所とかに多い。
嬉しくなって追加で採取をする。定期的に欲しいから根こそぎ採らずに残しておくけど。
僕は絵を描くのが好きで、森に狩りに行ったついでに色材になりそうなものを見つけると採取するようにしているんだ。
僕達が住んでいるゲンティアナ領は国の端っこの田舎で絵の具や道具は中々手に入らないから、色材や絵を描く板とかは自分で調達するようにしている。
キノコと石を採取して布で包んでリュックに入れた後、付近のいくつかの木の枝を風刃で落とす。葉をナイフで落として枝もリュックに突っ込んだ。
「……またそんなの集めてきて、トカゲ入るのか?」
「まだ入るよ。」
「いや、俺の獲物の分の入りきらないやつを持ってもらおうと思ったのに。」
「持つよ。入らない分は紐で吊るして運べば大丈夫。」
「ああ、早く『収納』できるようにならないかな。」
「そうだね。まだ『運搬』がちょっとだけだし。。」
荷物を沢山持つことを繰り返していくと、稀に「運搬」というスキルを得ることがある。持っている範囲の荷物が軽くなるスキルだ。
「運搬」を更に極めていくと「収納」という見えない場所に荷物を入れておくスキルに進化することがあるらしい。
アイテムボックス? なんだか妙な言葉が頭の中に浮かんできた。
僕と兄上も「運搬」スキルをもう持っている、と思う……。
ちょっと自信ない感じなのは、きちんとした鑑定をしてもらったことはないからだ。
意識すると荷物がちょっと軽くなる気がするんだ。でも楽に運べるようになったのは、腕力がついてきせいかもしれない、といったレベルだ。
はっきりとスキルを判定してももらうには大きな街にある大聖堂に行く必要がある。
学校に進学する場合スキルを考慮したりするから、行ってみたいけど遠いから行けていない。
辺境伯領にあったら、まだ行けない距離ではなかったんだけど残念ながら辺境伯領にはスキルを判定する大聖堂はないそうだ。
正式な判定の代わりに、大きな教会で仮認定というのをしてもらうことは出来る。
実際にスキルを見せたり話をしたりして、仮認定証を作ってもらうことができるのだ。
学園に入学する際のスキル認定証は、仮認定証でも構わないそうなので、大聖堂まで行けなくても実際はそんなに困ることはないらしい。
家族の中で母様だけが「収納」のスキルを持っている。「運搬」や「収納」は世間一般的には荷運びとかをする者が持つことが多いスキルらしくて、貴族では持っていることはあまり吹聴しないそうなんだけど、持っていると絶対に便利だと母様は言う。
母様は昔、騎士団の治療部隊で働いていて、遠征の時にとても重宝したのだそうだ。スキル自体も遠征で大量の荷物を運んでいるうちに得たのだそうだ。
父上も同じ騎士団に所属していてその時に母様との出会いも遠征中だったらしい。父上は「運搬」のスキルまでは得たけれど、まだ「収納」スキルは得ていない。
だから頑張って荷物を大量に運び続けても「収納」スキルを得られるとは限らないのだけど、母様曰く父上は力が強すぎて荷物を楽々運んでいるから「収納」スキルにまで至らないのではとのことだ。
とはいえ、荷運びをしていたからといって必ず「運搬」や「収納」スキルを得られるわけではないようで、スキルを取得する条件も曖昧だ。
どちらかと言うと「運搬」や「収納」スキルを得た人が荷運びの仕事をしているといった感じか。
大量に荷物を運べると軍で重用されるそうだけど、遠くに荷物を運ぶのにあちこち行かされたりこき使われることも多いらしい。母様は貴重品と貴重な薬を入れる程度の収納しか持っていないと言っていたそうだ。
本当は大きな鞄程度は収納できていたらしいけれど、「収納」で徴用されすぎると前線に送られるから黙っていたのだそうだ。そのことは家族以外には内緒だって言ってた。
スキルって凄いって思っちゃうし、それで仕事を得られたり良い学校に通えたりすることもあるけど、他人に知られない方が良いことも多いんだって母様が良く言っているんだ。
唐揚げも母様のスキルかもしれない。いや、作り方を教われば作れるならスキルじゃないのかな。でも、作り方が分かっても美味しく作れるかどうか……。
そう言えば「運搬」や「収納」も魔力を使うと思うんだけど、何属性なんだろう。無属性ってやつ?
黄色い石には毒はないみたいだったので、採っておくことにした。
「沼地でジメジメしているからこんなキノコが生えるのかな。」
「そうかも。あ、あそこにも赤のキノコがあった!」
沼地の周辺を一周してみると、沼地の近辺で赤と青と灰色のキノコを発見した。
パッと見、わかりにくい陰になった場所とかに多い。
嬉しくなって追加で採取をする。定期的に欲しいから根こそぎ採らずに残しておくけど。
僕は絵を描くのが好きで、森に狩りに行ったついでに色材になりそうなものを見つけると採取するようにしているんだ。
僕達が住んでいるゲンティアナ領は国の端っこの田舎で絵の具や道具は中々手に入らないから、色材や絵を描く板とかは自分で調達するようにしている。
キノコと石を採取して布で包んでリュックに入れた後、付近のいくつかの木の枝を風刃で落とす。葉をナイフで落として枝もリュックに突っ込んだ。
「……またそんなの集めてきて、トカゲ入るのか?」
「まだ入るよ。」
「いや、俺の獲物の分の入りきらないやつを持ってもらおうと思ったのに。」
「持つよ。入らない分は紐で吊るして運べば大丈夫。」
「ああ、早く『収納』できるようにならないかな。」
「そうだね。まだ『運搬』がちょっとだけだし。。」
荷物を沢山持つことを繰り返していくと、稀に「運搬」というスキルを得ることがある。持っている範囲の荷物が軽くなるスキルだ。
「運搬」を更に極めていくと「収納」という見えない場所に荷物を入れておくスキルに進化することがあるらしい。
アイテムボックス? なんだか妙な言葉が頭の中に浮かんできた。
僕と兄上も「運搬」スキルをもう持っている、と思う……。
ちょっと自信ない感じなのは、きちんとした鑑定をしてもらったことはないからだ。
意識すると荷物がちょっと軽くなる気がするんだ。でも楽に運べるようになったのは、腕力がついてきせいかもしれない、といったレベルだ。
はっきりとスキルを判定してももらうには大きな街にある大聖堂に行く必要がある。
学校に進学する場合スキルを考慮したりするから、行ってみたいけど遠いから行けていない。
辺境伯領にあったら、まだ行けない距離ではなかったんだけど残念ながら辺境伯領にはスキルを判定する大聖堂はないそうだ。
正式な判定の代わりに、大きな教会で仮認定というのをしてもらうことは出来る。
実際にスキルを見せたり話をしたりして、仮認定証を作ってもらうことができるのだ。
学園に入学する際のスキル認定証は、仮認定証でも構わないそうなので、大聖堂まで行けなくても実際はそんなに困ることはないらしい。
家族の中で母様だけが「収納」のスキルを持っている。「運搬」や「収納」は世間一般的には荷運びとかをする者が持つことが多いスキルらしくて、貴族では持っていることはあまり吹聴しないそうなんだけど、持っていると絶対に便利だと母様は言う。
母様は昔、騎士団の治療部隊で働いていて、遠征の時にとても重宝したのだそうだ。スキル自体も遠征で大量の荷物を運んでいるうちに得たのだそうだ。
父上も同じ騎士団に所属していてその時に母様との出会いも遠征中だったらしい。父上は「運搬」のスキルまでは得たけれど、まだ「収納」スキルは得ていない。
だから頑張って荷物を大量に運び続けても「収納」スキルを得られるとは限らないのだけど、母様曰く父上は力が強すぎて荷物を楽々運んでいるから「収納」スキルにまで至らないのではとのことだ。
とはいえ、荷運びをしていたからといって必ず「運搬」や「収納」スキルを得られるわけではないようで、スキルを取得する条件も曖昧だ。
どちらかと言うと「運搬」や「収納」スキルを得た人が荷運びの仕事をしているといった感じか。
大量に荷物を運べると軍で重用されるそうだけど、遠くに荷物を運ぶのにあちこち行かされたりこき使われることも多いらしい。母様は貴重品と貴重な薬を入れる程度の収納しか持っていないと言っていたそうだ。
本当は大きな鞄程度は収納できていたらしいけれど、「収納」で徴用されすぎると前線に送られるから黙っていたのだそうだ。そのことは家族以外には内緒だって言ってた。
スキルって凄いって思っちゃうし、それで仕事を得られたり良い学校に通えたりすることもあるけど、他人に知られない方が良いことも多いんだって母様が良く言っているんだ。
唐揚げも母様のスキルかもしれない。いや、作り方を教われば作れるならスキルじゃないのかな。でも、作り方が分かっても美味しく作れるかどうか……。
そう言えば「運搬」や「収納」も魔力を使うと思うんだけど、何属性なんだろう。無属性ってやつ?
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