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第1章
第13話 人気の角兎
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「冒険者ギルドに依頼を出したら?地元民の方が狩場に慣れているでしょう。」
「ギルドには既に先約で依頼が入っていて、優先順位がだいぶ下なんです。しかも依頼料が値上がりしていて。」
「はあ……、つまり、みーんな角兎が食べたいってことね。」
「お察しの通りです。」
3人組の話を聞いてレオノールさんが小さくため息をついた。よくわからないけど、角兎が大人気で手に入らなくて、3人組の上司の人が食べたがったから狩りに来たと。
でも、上手く角兎が狩れなかったってことか。
もしかして、僕達に害意を向けてた人達も他所から来た人達なのかな。岩場での角兎の狩り方がわからなくて、僕達が狩ったのを欲しがったのかも。
「……実は、宿も一杯で入れなくてですね。食事も自前で調達となってしまって……。」
「野営は慣れてるでしょ。角兎にこだわらなきゃどうとでもなるじゃない。」
「おっしゃる通りですが……。」
「あなた達の事情なんて、この子達には全然関係ないじゃない。」
レオノールさんはふぅとまたため息をついた後、くるりと僕達の方に向き直り、僕達の方に歩み出た。びくりと兄上が身体を震わせた。でも、戦おうとしているわけじゃない。
もう、剣は収めていて、レオノールさんの挙動を伺っている感じだ。
レオノールさんは僕達に近づくとかがみ込んで、僕に手を差し伸べた。
「怪我はない?」
「あ、……はい。」
近くで見ると紫の瞳はまるでアメジストのようだ。まつ毛まで銀色で長い。美形ってなんでまつ毛まで長いんだろうね。
差し出されたレオノールさんの手を取った時、ひんやりとした感触と共に頭の中にいくつかの絵が思い浮かんだ。
今より若い、少年っぽい姿で髪も肩に触れるかくらいの長さ。くるくるとした癖のある金髪の、また違うタイプの美少年と一緒にいる姿。
長い髪を靡かせて戦っている姿。
髪を三つ編みにして、片側に一つにまとめてお茶を飲んでいる姿。
それから真っ赤に血に染まった腕、黒ずんだ顔……。
なんだこの映像……。会ったことがある人かもとは思ったけれど、戦っている姿を見たことがあるとは思えないのに。
それに最後のは?
グルグルと眩暈がする。
「君、大丈夫?」
頭に響くように声が聞こえる。ハッとして前を見ると、紫色の瞳が僕の顔を覗き込んでいた。
「あ、ええと……。あの……。」
まだなんだか眩暈がする。足元が妙にふわっとした感じ。
「クリス、どうした?大丈夫か?」
兄上が心配そうな声で言って僕の肩を掴んだ。
いけない。兄上に心配をかけちゃう!
「だ、大丈夫。急に立ったら、なんかぐるぐるして。」
「立ちくらみか?転んだ時どこか打ったか?」
「大丈夫だよ。もう大丈夫。」
まだ少しだけクラクラした感じが残っていたけど、収まって来てたし大丈夫そうだと思うし嘘は言っていない。
兄上はちょっと神妙な顔をした後、僕のリュックの持ち手に手をかけた。
「帰ろう。荷物は俺が持つ。」
「え?大丈夫だって!本当に!」
兄上はぎっしり角兎が詰まったリュックを背負っている上に、もう一匹分を手に持っているんだ。いくら「運搬」スキルがアップしたからって無理はさせられない。
僕はブンブンと首を横に振った。
「本当に本当に大丈夫だから!」
リュックを引っ張り返しながら言う。
「ねえ。送って行こうか?鞄持つよ?」
レオノールさんが少し顔を近づけて言う。兄上は即座に首を横に振った。
「結構です。」
「うーん……。そう言われても、やっぱり途中までは同行するわよ。なんだじゃ弟の小さい時を思い出して気になっちゃって。
それとね。……さっきからずっとこっちの様子を伺っている奴らがいるのよ。
多分、君たちを尾けていくと思うわよ。」
「ギルドには既に先約で依頼が入っていて、優先順位がだいぶ下なんです。しかも依頼料が値上がりしていて。」
「はあ……、つまり、みーんな角兎が食べたいってことね。」
「お察しの通りです。」
3人組の話を聞いてレオノールさんが小さくため息をついた。よくわからないけど、角兎が大人気で手に入らなくて、3人組の上司の人が食べたがったから狩りに来たと。
でも、上手く角兎が狩れなかったってことか。
もしかして、僕達に害意を向けてた人達も他所から来た人達なのかな。岩場での角兎の狩り方がわからなくて、僕達が狩ったのを欲しがったのかも。
「……実は、宿も一杯で入れなくてですね。食事も自前で調達となってしまって……。」
「野営は慣れてるでしょ。角兎にこだわらなきゃどうとでもなるじゃない。」
「おっしゃる通りですが……。」
「あなた達の事情なんて、この子達には全然関係ないじゃない。」
レオノールさんはふぅとまたため息をついた後、くるりと僕達の方に向き直り、僕達の方に歩み出た。びくりと兄上が身体を震わせた。でも、戦おうとしているわけじゃない。
もう、剣は収めていて、レオノールさんの挙動を伺っている感じだ。
レオノールさんは僕達に近づくとかがみ込んで、僕に手を差し伸べた。
「怪我はない?」
「あ、……はい。」
近くで見ると紫の瞳はまるでアメジストのようだ。まつ毛まで銀色で長い。美形ってなんでまつ毛まで長いんだろうね。
差し出されたレオノールさんの手を取った時、ひんやりとした感触と共に頭の中にいくつかの絵が思い浮かんだ。
今より若い、少年っぽい姿で髪も肩に触れるかくらいの長さ。くるくるとした癖のある金髪の、また違うタイプの美少年と一緒にいる姿。
長い髪を靡かせて戦っている姿。
髪を三つ編みにして、片側に一つにまとめてお茶を飲んでいる姿。
それから真っ赤に血に染まった腕、黒ずんだ顔……。
なんだこの映像……。会ったことがある人かもとは思ったけれど、戦っている姿を見たことがあるとは思えないのに。
それに最後のは?
グルグルと眩暈がする。
「君、大丈夫?」
頭に響くように声が聞こえる。ハッとして前を見ると、紫色の瞳が僕の顔を覗き込んでいた。
「あ、ええと……。あの……。」
まだなんだか眩暈がする。足元が妙にふわっとした感じ。
「クリス、どうした?大丈夫か?」
兄上が心配そうな声で言って僕の肩を掴んだ。
いけない。兄上に心配をかけちゃう!
「だ、大丈夫。急に立ったら、なんかぐるぐるして。」
「立ちくらみか?転んだ時どこか打ったか?」
「大丈夫だよ。もう大丈夫。」
まだ少しだけクラクラした感じが残っていたけど、収まって来てたし大丈夫そうだと思うし嘘は言っていない。
兄上はちょっと神妙な顔をした後、僕のリュックの持ち手に手をかけた。
「帰ろう。荷物は俺が持つ。」
「え?大丈夫だって!本当に!」
兄上はぎっしり角兎が詰まったリュックを背負っている上に、もう一匹分を手に持っているんだ。いくら「運搬」スキルがアップしたからって無理はさせられない。
僕はブンブンと首を横に振った。
「本当に本当に大丈夫だから!」
リュックを引っ張り返しながら言う。
「ねえ。送って行こうか?鞄持つよ?」
レオノールさんが少し顔を近づけて言う。兄上は即座に首を横に振った。
「結構です。」
「うーん……。そう言われても、やっぱり途中までは同行するわよ。なんだじゃ弟の小さい時を思い出して気になっちゃって。
それとね。……さっきからずっとこっちの様子を伺っている奴らがいるのよ。
多分、君たちを尾けていくと思うわよ。」
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