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第1章
第27話 この地を選んだ理由
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「兄上、お疲れですか?」
「うーん……。まあ、座ってただけだけどね。」
兄上は僕の斜め向かいの席に腰を下ろし、マーサが出してくれた果実水を口にしてから、ふーっと深く息を吐いた。
「嫌なお客様だったの?」
メイリは椅子を少し動かして兄上のピッタリ隣に座った。心配そうに見上げるメイリの頭を兄上がポンポンと撫でる。
「そうではないよ。思ったより沢山偉い人がいたから、下手なこと言っちゃわないように黙ってたんだ。それがちょっと疲れただけ。」
「そっかぁ。お疲れ様でした。」
「兄様お疲れ様でした。」
「ありがとう。」
僕とメイリが労いの言葉を言うと、兄上はニコッと笑った後、ぐびぐびと果実水を煽った。それからテーブルの上に並べてあった絵に目を落とした。
「あれ?客人に会った?」
「ハロルド君には兄上と一緒にお会いしたでしょう?」
僕が絵を描いた板を一つ手にとって不思議そうな顔をする兄上に言った。兄上は少し眉間に皺を寄せ、青い髪の令嬢の絵を僕の方に向けた。
「ナスタチウム辺境伯令嬢には会ったことないだろう?そっくりなんだけど。こっちの方が大人っぽい感じだけど。」
「そうなの?」
「こっちも!殿下はまあ、いかにも王子様ってイメージだからわかるけど。オーキッド伯爵令嬢もいる。」
「ええ……_」
「すごいな!よく似ているよ!どこで見てたんだ?」
「見てないよ。」
僕は絵に描いたのはメイリの夢の中の登場人物と、僕がイメージで追加した人物だけだと説明した。インテリメガネだけはハロルド君を思い浮かべながら描いたけど。
「メイリの夢?メイリの夢が正夢だったってことか?」
「それより、そんなに沢山の貴族家の人が来ているの?どうなっちゃってるの?」
「そうよ?こんな超ド田舎に?」
「超ド田舎言うな。大人は辺境伯様とオーキッド伯爵様だけだよ。あと、護衛だか側近だかの人。」
「それでも多いね。」
「角兎のソテー目当てだって。」
「はあ……、角兎なんてどこでも食べられるんじゃないのかな。」
「辺境伯様が、ここの角兎のソテーがオーキッド伯爵領の料理屋のより美味しかったとか言ったしたらしいんだ。」
「ええ……。」
迷惑な。多分料理人の腕の差だか、その時の角兎の状態がちょっと違ったとかじゃないのかな。わざわざここまで大勢で押しかける程のことだろうか。
僕が疑問に思っていることをメイリも思ったのだろう。兄上を見上げて言う。
「ねえ。王子殿下も角兎を食べたくてきたの?普段もっと美味しいものを食べていそうだけど。」
「ここに来るって決めたのは伯爵様達みたいだよ。
殿下達が学園に入る前の訓練場所を探してたんだって。それで、候補に色々な場所が上がってたらしいんだけど、
なんやかんやでここに決めたっぽい。」
「なんやかんや?」
「はっきりは教えてもらえなかったよ。でも、遠いし田舎だって言って候補地から落とそうとしたら、辺境伯様が。ゲンティアナの食事はオーキッド伯爵領のより美味いって言ったからオーキッド伯爵様がムキになったんじゃないかなって思う。本当に美味いんんだろうな?って目つきがちょっと怖かったよ。」
「そんな理由?本当にそれだけでここを選んだの?」
「角兎狩りが妙な感じで盛り上がってたみたいだし、本当にそうなんじゃないかな。」
「はあ……。」
聞いても、あまり納得できない理由だった。
急に偉い身分のお客さんが家に殺到してきて、多分、角兎の狩場もしばらく混雑しそうだ。
「うーん……。まあ、座ってただけだけどね。」
兄上は僕の斜め向かいの席に腰を下ろし、マーサが出してくれた果実水を口にしてから、ふーっと深く息を吐いた。
「嫌なお客様だったの?」
メイリは椅子を少し動かして兄上のピッタリ隣に座った。心配そうに見上げるメイリの頭を兄上がポンポンと撫でる。
「そうではないよ。思ったより沢山偉い人がいたから、下手なこと言っちゃわないように黙ってたんだ。それがちょっと疲れただけ。」
「そっかぁ。お疲れ様でした。」
「兄様お疲れ様でした。」
「ありがとう。」
僕とメイリが労いの言葉を言うと、兄上はニコッと笑った後、ぐびぐびと果実水を煽った。それからテーブルの上に並べてあった絵に目を落とした。
「あれ?客人に会った?」
「ハロルド君には兄上と一緒にお会いしたでしょう?」
僕が絵を描いた板を一つ手にとって不思議そうな顔をする兄上に言った。兄上は少し眉間に皺を寄せ、青い髪の令嬢の絵を僕の方に向けた。
「ナスタチウム辺境伯令嬢には会ったことないだろう?そっくりなんだけど。こっちの方が大人っぽい感じだけど。」
「そうなの?」
「こっちも!殿下はまあ、いかにも王子様ってイメージだからわかるけど。オーキッド伯爵令嬢もいる。」
「ええ……_」
「すごいな!よく似ているよ!どこで見てたんだ?」
「見てないよ。」
僕は絵に描いたのはメイリの夢の中の登場人物と、僕がイメージで追加した人物だけだと説明した。インテリメガネだけはハロルド君を思い浮かべながら描いたけど。
「メイリの夢?メイリの夢が正夢だったってことか?」
「それより、そんなに沢山の貴族家の人が来ているの?どうなっちゃってるの?」
「そうよ?こんな超ド田舎に?」
「超ド田舎言うな。大人は辺境伯様とオーキッド伯爵様だけだよ。あと、護衛だか側近だかの人。」
「それでも多いね。」
「角兎のソテー目当てだって。」
「はあ……、角兎なんてどこでも食べられるんじゃないのかな。」
「辺境伯様が、ここの角兎のソテーがオーキッド伯爵領の料理屋のより美味しかったとか言ったしたらしいんだ。」
「ええ……。」
迷惑な。多分料理人の腕の差だか、その時の角兎の状態がちょっと違ったとかじゃないのかな。わざわざここまで大勢で押しかける程のことだろうか。
僕が疑問に思っていることをメイリも思ったのだろう。兄上を見上げて言う。
「ねえ。王子殿下も角兎を食べたくてきたの?普段もっと美味しいものを食べていそうだけど。」
「ここに来るって決めたのは伯爵様達みたいだよ。
殿下達が学園に入る前の訓練場所を探してたんだって。それで、候補に色々な場所が上がってたらしいんだけど、
なんやかんやでここに決めたっぽい。」
「なんやかんや?」
「はっきりは教えてもらえなかったよ。でも、遠いし田舎だって言って候補地から落とそうとしたら、辺境伯様が。ゲンティアナの食事はオーキッド伯爵領のより美味いって言ったからオーキッド伯爵様がムキになったんじゃないかなって思う。本当に美味いんんだろうな?って目つきがちょっと怖かったよ。」
「そんな理由?本当にそれだけでここを選んだの?」
「角兎狩りが妙な感じで盛り上がってたみたいだし、本当にそうなんじゃないかな。」
「はあ……。」
聞いても、あまり納得できない理由だった。
急に偉い身分のお客さんが家に殺到してきて、多分、角兎の狩場もしばらく混雑しそうだ。
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