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第1章
第28話 事前準備
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「……え、ちょっと待って。明日の朝、僕と兄様が案内するのって、殿下とハロルド君だけじゃないの?」
「ハロ……テッセン伯爵令息のことか……。名前呼びの許可ないうちにそんな風に呼んだらダメだぞ。
令嬢達……。ナスタチウム辺境伯令嬢とオーキッド伯爵令嬢も一緒だそうだ。」
「えーと……。覚えられないよ……。兄上、よく覚えたね。」
「この絵と似てるんだから、名前書いておけばいいんじゃないか?」
「そんなに似てる?」
「うーん。絵の方がちょっと大人っぽいって感じだけど。でも髪色とかは一緒だし、似てると思う。」
兄上はそう言うと、絵を指さしてそれぞれの名前を教えてくれた。僕はそれを聴きながら絵の下の方の余白に名前を書き入れる。
兄上が直接書いてくれたら良いのに、文字だけ浮くと嫌だから僕が書けって。
「ネイサン第二王子殿下。名前呼びを許可されないうちは『殿下』って呼べば良いと思う。テッセン伯爵令息はさっき会ったからわかるよね。
青い髪色の人が、シェリル・ナスタチウム辺境伯令嬢だ。」
「シェルたん!」
青髪の令嬢の絵を兄上が指差したら、メイリが声を上げた。兄上が片眉を吊り上げる。
「メイリ、許可なく相手の名前を略して呼ぶのはダメだよ。略さなくても、本人の許可なく名前で呼んだらダメなんだ。」
「ええー?じゃあ、リリ嬢は?」
「リリ嬢……、リネリア・オーキッド伯爵令嬢のこと?オーキッド伯爵令嬢も勝手に名前を略して呼んだらダメだって。
俺達が無礼なことをしたら、父上や母上が困ることになるかもしれないんだよ。」
「……はーい……。」
メイリはちょっと不満げに唇を尖らせた。
それにしても、メイリの言っていた略称は、客人できている彼らの実際の名前に近い。メイリ、予言者か何かか?
「兄上、よく覚えてるね。凄い。」
「いや、全然だった。母上に来客リストを見せてもらったんだ。」
兄上はそう言うとポケットからメモ書きしたカードを取り出してピラピラとして見せた。
2枚の板のカードに名前が羅列されている。
「なるほど。」
兄上も挨拶だけで名前覚えられた訳ではないとわかってちょっとホッとした。
でも、僕が描いた絵に名前を書いていった時、兄上は別にメモ書きのカードは見ていなかったから、もう覚えているんだろう。
僕もちゃんと覚えないと。本人に直接お会いした時に、カードと見比べながら挨拶するわけにはいかないからね。
テーブルの上に並べられた絵を改めて見下ろした。
「……明日の朝の案内ってどこに行く予定か決まっているの?」
「うーん。訓練場かな。」
「え?敷地内じゃん。」
「ある程度戦闘できるのかとか知らないと、どこに連れていったらいいかわからないよ。
俺一人で護衛みたいなことは無理だし。お付きの人は同行するんだろうけどさ。それも何人ついてくるのかとか様子見だよ。」
「そういうものか……。」
「それに、もともとゲンティアナ領には訓練に来たって話だからな。訓練場は案内しておいた方が良いだろ。」
「実際の狩りとかをしに来たんでしょう?」
「それでも、日々の鍛錬とかはするだろう。」
「そうだね。」
「クリスもな!鍛錬怠るなよ!」
「え?」
「来客がいる間、鍛錬をサボってると鈍るぞ!」
「……わかってるよ……。」
兄上に言われて気がついたけど、朝、走ったり弓の稽古をしたりしてたけどいつも使っている時間に訓練場が使えないかもしれないのか。
普段より早く起きるとかしないとダメかも。
色々ペースが乱れそうだな。
朝の鍛錬の為に早起きすることにして、さっさとお風呂に入って寝てしまうことにしよう。
「ハロ……テッセン伯爵令息のことか……。名前呼びの許可ないうちにそんな風に呼んだらダメだぞ。
令嬢達……。ナスタチウム辺境伯令嬢とオーキッド伯爵令嬢も一緒だそうだ。」
「えーと……。覚えられないよ……。兄上、よく覚えたね。」
「この絵と似てるんだから、名前書いておけばいいんじゃないか?」
「そんなに似てる?」
「うーん。絵の方がちょっと大人っぽいって感じだけど。でも髪色とかは一緒だし、似てると思う。」
兄上はそう言うと、絵を指さしてそれぞれの名前を教えてくれた。僕はそれを聴きながら絵の下の方の余白に名前を書き入れる。
兄上が直接書いてくれたら良いのに、文字だけ浮くと嫌だから僕が書けって。
「ネイサン第二王子殿下。名前呼びを許可されないうちは『殿下』って呼べば良いと思う。テッセン伯爵令息はさっき会ったからわかるよね。
青い髪色の人が、シェリル・ナスタチウム辺境伯令嬢だ。」
「シェルたん!」
青髪の令嬢の絵を兄上が指差したら、メイリが声を上げた。兄上が片眉を吊り上げる。
「メイリ、許可なく相手の名前を略して呼ぶのはダメだよ。略さなくても、本人の許可なく名前で呼んだらダメなんだ。」
「ええー?じゃあ、リリ嬢は?」
「リリ嬢……、リネリア・オーキッド伯爵令嬢のこと?オーキッド伯爵令嬢も勝手に名前を略して呼んだらダメだって。
俺達が無礼なことをしたら、父上や母上が困ることになるかもしれないんだよ。」
「……はーい……。」
メイリはちょっと不満げに唇を尖らせた。
それにしても、メイリの言っていた略称は、客人できている彼らの実際の名前に近い。メイリ、予言者か何かか?
「兄上、よく覚えてるね。凄い。」
「いや、全然だった。母上に来客リストを見せてもらったんだ。」
兄上はそう言うとポケットからメモ書きしたカードを取り出してピラピラとして見せた。
2枚の板のカードに名前が羅列されている。
「なるほど。」
兄上も挨拶だけで名前覚えられた訳ではないとわかってちょっとホッとした。
でも、僕が描いた絵に名前を書いていった時、兄上は別にメモ書きのカードは見ていなかったから、もう覚えているんだろう。
僕もちゃんと覚えないと。本人に直接お会いした時に、カードと見比べながら挨拶するわけにはいかないからね。
テーブルの上に並べられた絵を改めて見下ろした。
「……明日の朝の案内ってどこに行く予定か決まっているの?」
「うーん。訓練場かな。」
「え?敷地内じゃん。」
「ある程度戦闘できるのかとか知らないと、どこに連れていったらいいかわからないよ。
俺一人で護衛みたいなことは無理だし。お付きの人は同行するんだろうけどさ。それも何人ついてくるのかとか様子見だよ。」
「そういうものか……。」
「それに、もともとゲンティアナ領には訓練に来たって話だからな。訓練場は案内しておいた方が良いだろ。」
「実際の狩りとかをしに来たんでしょう?」
「それでも、日々の鍛錬とかはするだろう。」
「そうだね。」
「クリスもな!鍛錬怠るなよ!」
「え?」
「来客がいる間、鍛錬をサボってると鈍るぞ!」
「……わかってるよ……。」
兄上に言われて気がついたけど、朝、走ったり弓の稽古をしたりしてたけどいつも使っている時間に訓練場が使えないかもしれないのか。
普段より早く起きるとかしないとダメかも。
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