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第1章
第44話 魔力制御
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「そうね。……その制御のところを魔法陣がやっているって言いたいのね?」
リネリア嬢は僕が描いた図を覗き込んで、納得したように頷いた。
「はい。あ、僕が考えただけです。研究者の人が言ってたとかじゃないですからね。」
「ええ。でも、図に描くとわかりやすいわね。……それで……。詠唱魔法も魔法は同じって言いたいの?詠唱がこの『制御』ってことかしら。」
レナリア嬢が僕が描いた図の「制御」と書かれた丸印を指差して言った。
「詠唱は『制御』の一部だと思います。詠唱しながら魔力制御もしているでしょう?」
「ああ、確かにそうね。」
僕は「制御」と書かれた丸の真ん中に線を引いた。片方に「詠唱」と小さく書いて、もう片方に「自分の魔力制御」と書き込んだ。
「割合はわからないけど、詠唱魔法は、魔力制御の一部を詠唱でやっていて、詠唱部分も自分で制御できるようになったら無詠唱なんだと思う。」
「理論的にはそうね。とても難しそうだけど。」
「詠唱魔法も、詠唱と自分の魔力制御のバランスをとるというのが難しいと思うんです。……だからあまり威力が出ないのかも。」
「威力?」
僕は、詠唱魔法の結果の魔法の威力が、あまり強くないって感じたんだけど、もしかしてそれをいうと、殿下達の魔法が威力がないって批判しちゃっていることになっちゃうかな。
どう言おうとアワアワしているとリネリア嬢が納得したように頷いた。
「だから、私の魔法は失敗したのね!」
「あ……。そうだと思います……。」
リネリア嬢の魔法の場合は、詠唱と魔力制御のバランスが取れずに失敗したパターンだ。でも、魔力に見合った魔法が発動できていないという点では同じことだと思う。
「言いたいことはわかったわ。結局、詠唱も魔力制御も頑張らないとダメってことね。」
「いえ。魔法制御を頑張った方が良いと思うんです。魔法で大事なのは魔力制御だと思うから。」
「なるほどね。それなら魔力制御を頑張るわ!」
リネリア嬢が大きく頷いてグッと拳を握りしめた。
納得させちゃったけど、魔力制御と一言で言っても、自分の体の中の魔力を循環させたり、発動させる体の部位に魔力を集めたり、
想定している魔法を発動させるために組み立てたりと色々複雑だと思う。
「ここである程度練習できると思うけど、それでも難しかったら魔力制御をどなたかに習ったりできないですか?」
「家庭教師の先生が来ることになっているから、先生の相談するわ。
今は外国に行っていらして、いらっしゃるのが三ヶ月くらい先の話なのだけど。」
「家庭教師……。」
ーーーリネリアの家庭教師の先生が来るのは来週ね。それまでに戻れるかわからないから、出発を延期しようかしら。
昨晩、脳裏に流れた台詞を思い出した。
すぐにまた別の絵と台詞が浮かぶ。
ーーー新しいお母様と妹だよ。仲良くなさい。
ーーーマリエルです!素敵なお兄様とお姉様ができて嬉しい!
杏色の髪をツインテールにした令嬢がツインテールを跳ねさせながら青年、多分リネリア嬢の兄上に抱きついた。
ーーーリネリアお姉様。素敵な色のドレスですね!マリエル、着てみたいです!
ーーーえ、これはお母様に最後に買っていただいた……。
ーーーわーん!お母様って……!今のお母様は認めてくれていないのね!マリエルのことも嫌なんだわ!
ーーーそ、そんな……。
ーーーリネリアはどうしてそんな意地悪なことを言うの?
ーーーリネリアはまだ新しい生活に慣れていないのかもしれないね。でも、知らない家に入ったばかりのジャニスとマリエルが、
もっと心細い思いをしているとわからないかい?ドレスくらい譲ってあげなさい。
ーーーだ、だけどこのドレスは……!
ーーーそんな冷たい娘だったのかい?
ーーーお父様!
脳裏の光景が怒涛の展開。リネリア嬢のお母上が亡くなって、お父上が再婚するのか?
それで連子の令嬢とうまく行ってなくてリネリア嬢が責められる?
これ、「欲しがり妹」のパターンじゃないか?
何でも欲しがる妹だけが溺愛されて、当人が辛い思いをするやつ。
あれ?……「欲しがり妹のパターン」ってなんだ?そんな物語読んだことがあったっけ?
リネリア嬢は僕が描いた図を覗き込んで、納得したように頷いた。
「はい。あ、僕が考えただけです。研究者の人が言ってたとかじゃないですからね。」
「ええ。でも、図に描くとわかりやすいわね。……それで……。詠唱魔法も魔法は同じって言いたいの?詠唱がこの『制御』ってことかしら。」
レナリア嬢が僕が描いた図の「制御」と書かれた丸印を指差して言った。
「詠唱は『制御』の一部だと思います。詠唱しながら魔力制御もしているでしょう?」
「ああ、確かにそうね。」
僕は「制御」と書かれた丸の真ん中に線を引いた。片方に「詠唱」と小さく書いて、もう片方に「自分の魔力制御」と書き込んだ。
「割合はわからないけど、詠唱魔法は、魔力制御の一部を詠唱でやっていて、詠唱部分も自分で制御できるようになったら無詠唱なんだと思う。」
「理論的にはそうね。とても難しそうだけど。」
「詠唱魔法も、詠唱と自分の魔力制御のバランスをとるというのが難しいと思うんです。……だからあまり威力が出ないのかも。」
「威力?」
僕は、詠唱魔法の結果の魔法の威力が、あまり強くないって感じたんだけど、もしかしてそれをいうと、殿下達の魔法が威力がないって批判しちゃっていることになっちゃうかな。
どう言おうとアワアワしているとリネリア嬢が納得したように頷いた。
「だから、私の魔法は失敗したのね!」
「あ……。そうだと思います……。」
リネリア嬢の魔法の場合は、詠唱と魔力制御のバランスが取れずに失敗したパターンだ。でも、魔力に見合った魔法が発動できていないという点では同じことだと思う。
「言いたいことはわかったわ。結局、詠唱も魔力制御も頑張らないとダメってことね。」
「いえ。魔法制御を頑張った方が良いと思うんです。魔法で大事なのは魔力制御だと思うから。」
「なるほどね。それなら魔力制御を頑張るわ!」
リネリア嬢が大きく頷いてグッと拳を握りしめた。
納得させちゃったけど、魔力制御と一言で言っても、自分の体の中の魔力を循環させたり、発動させる体の部位に魔力を集めたり、
想定している魔法を発動させるために組み立てたりと色々複雑だと思う。
「ここである程度練習できると思うけど、それでも難しかったら魔力制御をどなたかに習ったりできないですか?」
「家庭教師の先生が来ることになっているから、先生の相談するわ。
今は外国に行っていらして、いらっしゃるのが三ヶ月くらい先の話なのだけど。」
「家庭教師……。」
ーーーリネリアの家庭教師の先生が来るのは来週ね。それまでに戻れるかわからないから、出発を延期しようかしら。
昨晩、脳裏に流れた台詞を思い出した。
すぐにまた別の絵と台詞が浮かぶ。
ーーー新しいお母様と妹だよ。仲良くなさい。
ーーーマリエルです!素敵なお兄様とお姉様ができて嬉しい!
杏色の髪をツインテールにした令嬢がツインテールを跳ねさせながら青年、多分リネリア嬢の兄上に抱きついた。
ーーーリネリアお姉様。素敵な色のドレスですね!マリエル、着てみたいです!
ーーーえ、これはお母様に最後に買っていただいた……。
ーーーわーん!お母様って……!今のお母様は認めてくれていないのね!マリエルのことも嫌なんだわ!
ーーーそ、そんな……。
ーーーリネリアはどうしてそんな意地悪なことを言うの?
ーーーリネリアはまだ新しい生活に慣れていないのかもしれないね。でも、知らない家に入ったばかりのジャニスとマリエルが、
もっと心細い思いをしているとわからないかい?ドレスくらい譲ってあげなさい。
ーーーだ、だけどこのドレスは……!
ーーーそんな冷たい娘だったのかい?
ーーーお父様!
脳裏の光景が怒涛の展開。リネリア嬢のお母上が亡くなって、お父上が再婚するのか?
それで連子の令嬢とうまく行ってなくてリネリア嬢が責められる?
これ、「欲しがり妹」のパターンじゃないか?
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あれ?……「欲しがり妹のパターン」ってなんだ?そんな物語読んだことがあったっけ?
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