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第1章
第45話 欲しがり妹のパターン
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ーーーうふふ。お姉様、その髪飾り、欲しいですわ。
ーーー……婚約者からいただいたものを譲るわけには行かないのよ。
ーーーまたそんな意地悪を言うのね。酷い!お姉様は酷いわ!
ーーーリネリア、また妹を虐めているのか!
ーーーお父様ぁ!リネリアお姉様ったら、髪飾りをマリエルに見せびらかすのぉ!マリエルは婚約者がいないから貰えないんだろうって。
ーーーリネリア!またそんなことを言ったのか。婚約は家同士の結びつきのためのもので、お前が自慢するものではない。いっそ、マリエルとの婚約に変えようか。
ーーーお父様……。
泥沼だ。オーキッド伯爵が。まるで人が変わったみたいになってる。ナイスミドルがダメダメミドルだ。
いや、オーキッド伯爵のことはさっきちょっとご挨拶しただけで、実はよく知らないんだけど。
それでも、リネリア城のお母上が亡くなる光景ではとても悲しんでいたのになぁ。
僕はハッとした。リネリア嬢のお母上が亡くなる……、それが本当に合ったら?
三ヶ月後に家庭教師が来るって言っていた。三ヶ月後、昨日浮かんだ光景ではその頃にリネリア城のお母上が亡くなってしまう?
大雨の日の馬車の事故で。
「クリス君?」
顔を上げると、リネリア嬢が首を少し傾げて僕を見つめていた。
僕の妄想かもしれない。でも、兄上は僕の「勘」はよく当たるって言ってた。
「……家庭教師の方が最初にいらした時は、絶対に、絶対にご両親が一緒に会った方が良いです。特にお母上は……。」
「それはそうね、レッスンの方針を話し合ったりされるものね。」
「それもあるし……。……色々安心だと思います!」
うまく言えない。うまく言えないよぉ。馬車の事故で死ぬかもしれないなんて突然言ったって、びっくりさせちゃうし信じてもらえないよね。
それなら、家庭教師が来る前に馬車で遠出しないようにして貰えば、と思って言ってみたけど……。なんとかならないのかなぁ……。
僕の頭の中だけの出来事なら良いんだけどなぁ。
昨日から、妙に頭の中に色々な光景が浮かんできて困惑している。
メイリの夢の話に影響されたのかなとは思うけど、それだけではないような気がしてきている。
僕は他人の「害意」とかは感じ取れると思う。その感覚と少し近いのな。いや、そうでもない?
「害意」はその人が持っている「念」のようなものを察知している。
脳裏に浮かんできた絵はその人の未来を含む環境を察知している?……全部の人じゃないよね。
家族は一番身近なのに、脳裏に絵が浮かんだことがない。何か引き出しがあってそこから引っ張り出しているみたいな感じかな。
メイリの夢の話だったり、実際に会って会話したりしたことが引き出しの鍵になっているんじゃないだろうか。
「リネリア嬢。剣術にはもう加わらないのかい? あと少ししたら引き上げるそうだけど。」
殿下が木剣を掲げながらリネリア城に声をかけた。
リネリア嬢は振り向いて、立ち上がった。
「あ、私は、魔法の訓練をしていても良いでしょうか。」
「ああ。別に良いんじゃない?」
「そっちの方が向いていそうよね。」
「訓練にはまた来れるから、無理はしないようにね。」
殿下達がリネリア城に口々に声をかけてから、また剣術の稽古に意識を向けていった。
あっさりしている。でもリネリア嬢を見下したりした感情は感じない。
ただ、あまり興味がないのかもしれない。
殿下とシェリル嬢とハロルド君は仲が良いと思う。彼ら達は友達同士で、リネリア嬢は知り合いという感じだ。
玄関ホールでも待ち合わせだって、リネリア嬢だけが別行動だったし。
それが悪いとかではないんだけど。
リネリア嬢が参加しているのって、お父上であるオーキッド伯爵が連れてきたからなのかな。
殿下達が訓練をするのに、自分の娘も入学準備があるから一緒にって。あり得そうだ。
ーーー……婚約者からいただいたものを譲るわけには行かないのよ。
ーーーまたそんな意地悪を言うのね。酷い!お姉様は酷いわ!
ーーーリネリア、また妹を虐めているのか!
ーーーお父様ぁ!リネリアお姉様ったら、髪飾りをマリエルに見せびらかすのぉ!マリエルは婚約者がいないから貰えないんだろうって。
ーーーリネリア!またそんなことを言ったのか。婚約は家同士の結びつきのためのもので、お前が自慢するものではない。いっそ、マリエルとの婚約に変えようか。
ーーーお父様……。
泥沼だ。オーキッド伯爵が。まるで人が変わったみたいになってる。ナイスミドルがダメダメミドルだ。
いや、オーキッド伯爵のことはさっきちょっとご挨拶しただけで、実はよく知らないんだけど。
それでも、リネリア城のお母上が亡くなる光景ではとても悲しんでいたのになぁ。
僕はハッとした。リネリア嬢のお母上が亡くなる……、それが本当に合ったら?
三ヶ月後に家庭教師が来るって言っていた。三ヶ月後、昨日浮かんだ光景ではその頃にリネリア城のお母上が亡くなってしまう?
大雨の日の馬車の事故で。
「クリス君?」
顔を上げると、リネリア嬢が首を少し傾げて僕を見つめていた。
僕の妄想かもしれない。でも、兄上は僕の「勘」はよく当たるって言ってた。
「……家庭教師の方が最初にいらした時は、絶対に、絶対にご両親が一緒に会った方が良いです。特にお母上は……。」
「それはそうね、レッスンの方針を話し合ったりされるものね。」
「それもあるし……。……色々安心だと思います!」
うまく言えない。うまく言えないよぉ。馬車の事故で死ぬかもしれないなんて突然言ったって、びっくりさせちゃうし信じてもらえないよね。
それなら、家庭教師が来る前に馬車で遠出しないようにして貰えば、と思って言ってみたけど……。なんとかならないのかなぁ……。
僕の頭の中だけの出来事なら良いんだけどなぁ。
昨日から、妙に頭の中に色々な光景が浮かんできて困惑している。
メイリの夢の話に影響されたのかなとは思うけど、それだけではないような気がしてきている。
僕は他人の「害意」とかは感じ取れると思う。その感覚と少し近いのな。いや、そうでもない?
「害意」はその人が持っている「念」のようなものを察知している。
脳裏に浮かんできた絵はその人の未来を含む環境を察知している?……全部の人じゃないよね。
家族は一番身近なのに、脳裏に絵が浮かんだことがない。何か引き出しがあってそこから引っ張り出しているみたいな感じかな。
メイリの夢の話だったり、実際に会って会話したりしたことが引き出しの鍵になっているんじゃないだろうか。
「リネリア嬢。剣術にはもう加わらないのかい? あと少ししたら引き上げるそうだけど。」
殿下が木剣を掲げながらリネリア城に声をかけた。
リネリア嬢は振り向いて、立ち上がった。
「あ、私は、魔法の訓練をしていても良いでしょうか。」
「ああ。別に良いんじゃない?」
「そっちの方が向いていそうよね。」
「訓練にはまた来れるから、無理はしないようにね。」
殿下達がリネリア城に口々に声をかけてから、また剣術の稽古に意識を向けていった。
あっさりしている。でもリネリア嬢を見下したりした感情は感じない。
ただ、あまり興味がないのかもしれない。
殿下とシェリル嬢とハロルド君は仲が良いと思う。彼ら達は友達同士で、リネリア嬢は知り合いという感じだ。
玄関ホールでも待ち合わせだって、リネリア嬢だけが別行動だったし。
それが悪いとかではないんだけど。
リネリア嬢が参加しているのって、お父上であるオーキッド伯爵が連れてきたからなのかな。
殿下達が訓練をするのに、自分の娘も入学準備があるから一緒にって。あり得そうだ。
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