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第1章
第56話 狩りがご希望らしい
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「狩りをしているところが見たい。もしくは狩りをしたい。」
昼食後に殿下達に呼び出しを受けた兄様について行ってみると、割と、どストレートな注文を受けていた。
兄上はどう応えるんだろう、と僕は兄上を伺うように見上げた。兄上は落ち着いた表情で少しだけ間をおいて口を開いた。
「俺と弟はまだ強い魔獣とは戦えないので、狩りに行って良いと許可されている場所が限られています。
僕達が狩りの訓練で使っていた場所でも構わないでしょうか。
それと、護衛は騎士の方にお願いしたいのですが。」
「もちろんだとも。」
兄上の言葉に殿下は、長椅子に深くもたれかかって足を組み、余裕がある表情で頷いた。
「年下の君達に護衛を頼むようなことはしないよ。安心したまえ。
それと、君達のような子供が訓練するような場所で構わない。僕達もこれまで訓練はしてきたが、魔獣相手には初心者なんだ。」
子供って言われた!
でも魔獣がウヨウヨするような場所に連れてけとか言われなくてよかった!
兄上は殿下達と一つしか違わないのに、子供って言われても気にならないのかな。
僕と兄上は狩りをしても大丈夫そうなところしか行っちゃダメって言われているし、普段狩りで行ける範囲じゃないところに連れてけとか言われても困るからね。
それにしても兄上は殿下相手なのに落ち着いて受け答えしているなぁ。
敏腕の営業マンみたいだ。……営業マンってなんだろう……?
兄上の応対の様子に感心していたら、ゾロゾロと殿下や令嬢、令息達の移動が始まってしまった。もう出かける準備は済んでいて早速出発するらしい。
屋敷の玄関の外に出たところに、馬車が既に待機している。ずらりと騎士達も並んでいた。
殿下、ハロルド君、シェリル嬢、リネリア嬢が連れ立って外に出ていく。ドアを開けて立っている騎士が厳かにお辞儀をしていてメイドさん達が何か抱えて歩いている。
大移動な感じなのだけど、令嬢達の姿を見て、「あれ?」と思う。
シェリル嬢は深緑色を基調にして袖や胸元に白いレースがついている丈の長いワンピースを着ている。
リネリア嬢は白地に焦茶色のラインがアクセントになったふんわりしたドレスだ。
二人とも似合っていると思うのだけど、狩りに行くのに裾の長い服で大丈夫なのかなとちょっと気になってしまった。
妹のメイリが狩りの練習をする時は、子供用の騎士服の上に同系色の膝丈くらいの長さのチュニックを羽織っていることが多かった。
騎士服のズボンの上に裾がヒラヒラしたチュニックを着るのは、「その方が可愛い」というメイリのこだわりらしかった。
その格好じゃない時も、裾とか袖にフリルが付いているみたいなシャツを着ていたり、とにかくちょっと可愛くしたいらしい。実際メイリは何を着ても可愛いんだけど。
チュニックでなくても良いんだけど、令嬢達のワンピースは裾が長くて引っ掛かっちゃったり汚れたりしちゃいそうな気がする。
でも、普段のドレスとは別で用意しているのだろうし、汚れても良い服装として着ているのかもしれないんだよね。
殿下達は馬車に乗り、護衛騎士は馬で馬車と並走するようだ。
兄上は案内をするので馬に乗って先頭を進む。僕も兄上の後ろ姿が見える位置を馬で進む。
馬で進みながら振り返ってみると、かなり長い行列だった。
先導する騎士達の馬の列の後ろに馬車2台が並び、さらに後ろに馬に乗った騎士がゾロゾロと並んで進んでいる。
町の人達が遠巻きに見ている。別に物陰とかに隠れて見ていなくても良いと思うんだけどね。
午前中は町の中を見に行っていたらしいけれど、その時もこんな感じだったのかな。
なんでこんな大行列の案内役を兄上がやっているんだろう。
父上は辺境伯様やオーキッド伯爵様の対応をしているんだよね。あっちはあっちで一緒に狩りとかに行っているのかな。
昼食後に殿下達に呼び出しを受けた兄様について行ってみると、割と、どストレートな注文を受けていた。
兄上はどう応えるんだろう、と僕は兄上を伺うように見上げた。兄上は落ち着いた表情で少しだけ間をおいて口を開いた。
「俺と弟はまだ強い魔獣とは戦えないので、狩りに行って良いと許可されている場所が限られています。
僕達が狩りの訓練で使っていた場所でも構わないでしょうか。
それと、護衛は騎士の方にお願いしたいのですが。」
「もちろんだとも。」
兄上の言葉に殿下は、長椅子に深くもたれかかって足を組み、余裕がある表情で頷いた。
「年下の君達に護衛を頼むようなことはしないよ。安心したまえ。
それと、君達のような子供が訓練するような場所で構わない。僕達もこれまで訓練はしてきたが、魔獣相手には初心者なんだ。」
子供って言われた!
でも魔獣がウヨウヨするような場所に連れてけとか言われなくてよかった!
兄上は殿下達と一つしか違わないのに、子供って言われても気にならないのかな。
僕と兄上は狩りをしても大丈夫そうなところしか行っちゃダメって言われているし、普段狩りで行ける範囲じゃないところに連れてけとか言われても困るからね。
それにしても兄上は殿下相手なのに落ち着いて受け答えしているなぁ。
敏腕の営業マンみたいだ。……営業マンってなんだろう……?
兄上の応対の様子に感心していたら、ゾロゾロと殿下や令嬢、令息達の移動が始まってしまった。もう出かける準備は済んでいて早速出発するらしい。
屋敷の玄関の外に出たところに、馬車が既に待機している。ずらりと騎士達も並んでいた。
殿下、ハロルド君、シェリル嬢、リネリア嬢が連れ立って外に出ていく。ドアを開けて立っている騎士が厳かにお辞儀をしていてメイドさん達が何か抱えて歩いている。
大移動な感じなのだけど、令嬢達の姿を見て、「あれ?」と思う。
シェリル嬢は深緑色を基調にして袖や胸元に白いレースがついている丈の長いワンピースを着ている。
リネリア嬢は白地に焦茶色のラインがアクセントになったふんわりしたドレスだ。
二人とも似合っていると思うのだけど、狩りに行くのに裾の長い服で大丈夫なのかなとちょっと気になってしまった。
妹のメイリが狩りの練習をする時は、子供用の騎士服の上に同系色の膝丈くらいの長さのチュニックを羽織っていることが多かった。
騎士服のズボンの上に裾がヒラヒラしたチュニックを着るのは、「その方が可愛い」というメイリのこだわりらしかった。
その格好じゃない時も、裾とか袖にフリルが付いているみたいなシャツを着ていたり、とにかくちょっと可愛くしたいらしい。実際メイリは何を着ても可愛いんだけど。
チュニックでなくても良いんだけど、令嬢達のワンピースは裾が長くて引っ掛かっちゃったり汚れたりしちゃいそうな気がする。
でも、普段のドレスとは別で用意しているのだろうし、汚れても良い服装として着ているのかもしれないんだよね。
殿下達は馬車に乗り、護衛騎士は馬で馬車と並走するようだ。
兄上は案内をするので馬に乗って先頭を進む。僕も兄上の後ろ姿が見える位置を馬で進む。
馬で進みながら振り返ってみると、かなり長い行列だった。
先導する騎士達の馬の列の後ろに馬車2台が並び、さらに後ろに馬に乗った騎士がゾロゾロと並んで進んでいる。
町の人達が遠巻きに見ている。別に物陰とかに隠れて見ていなくても良いと思うんだけどね。
午前中は町の中を見に行っていたらしいけれど、その時もこんな感じだったのかな。
なんでこんな大行列の案内役を兄上がやっているんだろう。
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