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第1章
第64話 ドームの果物
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日がまだ明るいうちに男爵邸に戻って、その日の案内業務は終了だ。
夕食の時間まではまだ間があるから、魔魚でお腹いっぱいで夕食が食べられないってことはないだろうと思う。
離れの厨房にも兄上が釣った分の魔魚が提供された。本館も離れも夕食は魔魚祭りだ。
ジャックは魔魚をハーブで煮込んだスープを作ってくれた。魔魚の肉がたっぷりで、ニンニクが効いていて美味しい。
魔魚漁の様子をメイリに話したら、今度行きたいって言っていた。
フックを川に放り込むだけだから、腕力があまりないメイリでも魔魚を釣れそうだ。まあ、魔魚を川から引き上げる方が大変なんだけど。
父上と母様、兄上もまた本館で客人達と夕食で、今日もまたメイリと二人きりの夕食だ。
父上は予想通り辺境伯様達と遠出で狩りに行っていたらしい。
お土産に、変わった果物を持って帰ってきてくれたのでそれがデザートで添えられていた。
乳白色のブドウより小さい粒の実が集まって球体を形成している。メイリと半分にしたから、皿の上には白い粒のドームが置いてあるみたいになっていた。
「何か光っているみたい。」
メイリが乳白色のドームの物体を覗き込んで言った。
「確かに……。」
テーブルの上に置かれたランプを試しに移動させて、果物から遠ざけるとぼんやりと光を放っているのがよくわかった。
「やっぱり光っているわね!本当に不思議な果物!」
メイリはそっと指を伸ばして、ドーム型の果物から小さい粒を摘んだ。
恐る恐るといった様子で口に含んでから、首を傾げる。
「うーん……。うっすら甘い……。味はいまいち……。」
「そう?」
僕もちょうど最後のパンの一口を食べ終わったところだったので、果物に手を伸ばしてみた。
手を触れた途端、「光」を感じた。
口に含むと、一瞬目の前がパーっと光に満ちたように感じた。
脳裏にレオノールさんが倒れた時の姿が浮かび、それを光で包んでいくイメージが湧いた。
「……これって多分『呪いの毒』に効くと思う……。」
僕がつぶやくように言うと、メイリが手を止めて僕の方を見た。
パチパチと瞬きをした後に、口元に笑みを浮かべる。
「クリス兄様の『勘』ね!」
「当たっているかは分からないよ。ちょっとそう感じただけで……。」
「クリス兄様は毒もわかるじゃない。きっと当たっているわ。」
僕がキノコやら薬草やらの中で「毒」だと思ったものも、一応、持ち帰って薬師のおばあちゃんに見てもらっていた。
持ち帰るのがやばそうな気がしたものは、絵に書いただけにしていた。薬師のおばあちゃんが知っている範囲では「毒」の判断は当たっていた。
メイリもそのことを知っているから、僕がドームの果物が「呪いの毒」に効くって思ったことを信じてくれたようだ。
そして、メイリの前に置かれていた果物の皿を僕の前に押し出した。
「実験とか何かに使うなら、これも使って。」
「え?これはメイリのだよ。必要だったら父上に聞いてみるよ。」
「すぐにまた採ってこれるものか分からないじゃない!お父様のことだから、多分、凄く遠くとか、めちゃくちゃ強い魔獣がいるところまで出かけたのよ、きっと。」
「……それは、否定できない……。」
追加で入手できるか分からないのと、森の中の様子を見ると「呪いの毒」のことは、脳裏の光景以外でも心配ではあったから、メイリから差し出されたドームの果物をありがたく受け取ることにした。
とは言っても、ドームの果物をどう使ったら良いかは分からないんだけど。
夕食の時間まではまだ間があるから、魔魚でお腹いっぱいで夕食が食べられないってことはないだろうと思う。
離れの厨房にも兄上が釣った分の魔魚が提供された。本館も離れも夕食は魔魚祭りだ。
ジャックは魔魚をハーブで煮込んだスープを作ってくれた。魔魚の肉がたっぷりで、ニンニクが効いていて美味しい。
魔魚漁の様子をメイリに話したら、今度行きたいって言っていた。
フックを川に放り込むだけだから、腕力があまりないメイリでも魔魚を釣れそうだ。まあ、魔魚を川から引き上げる方が大変なんだけど。
父上と母様、兄上もまた本館で客人達と夕食で、今日もまたメイリと二人きりの夕食だ。
父上は予想通り辺境伯様達と遠出で狩りに行っていたらしい。
お土産に、変わった果物を持って帰ってきてくれたのでそれがデザートで添えられていた。
乳白色のブドウより小さい粒の実が集まって球体を形成している。メイリと半分にしたから、皿の上には白い粒のドームが置いてあるみたいになっていた。
「何か光っているみたい。」
メイリが乳白色のドームの物体を覗き込んで言った。
「確かに……。」
テーブルの上に置かれたランプを試しに移動させて、果物から遠ざけるとぼんやりと光を放っているのがよくわかった。
「やっぱり光っているわね!本当に不思議な果物!」
メイリはそっと指を伸ばして、ドーム型の果物から小さい粒を摘んだ。
恐る恐るといった様子で口に含んでから、首を傾げる。
「うーん……。うっすら甘い……。味はいまいち……。」
「そう?」
僕もちょうど最後のパンの一口を食べ終わったところだったので、果物に手を伸ばしてみた。
手を触れた途端、「光」を感じた。
口に含むと、一瞬目の前がパーっと光に満ちたように感じた。
脳裏にレオノールさんが倒れた時の姿が浮かび、それを光で包んでいくイメージが湧いた。
「……これって多分『呪いの毒』に効くと思う……。」
僕がつぶやくように言うと、メイリが手を止めて僕の方を見た。
パチパチと瞬きをした後に、口元に笑みを浮かべる。
「クリス兄様の『勘』ね!」
「当たっているかは分からないよ。ちょっとそう感じただけで……。」
「クリス兄様は毒もわかるじゃない。きっと当たっているわ。」
僕がキノコやら薬草やらの中で「毒」だと思ったものも、一応、持ち帰って薬師のおばあちゃんに見てもらっていた。
持ち帰るのがやばそうな気がしたものは、絵に書いただけにしていた。薬師のおばあちゃんが知っている範囲では「毒」の判断は当たっていた。
メイリもそのことを知っているから、僕がドームの果物が「呪いの毒」に効くって思ったことを信じてくれたようだ。
そして、メイリの前に置かれていた果物の皿を僕の前に押し出した。
「実験とか何かに使うなら、これも使って。」
「え?これはメイリのだよ。必要だったら父上に聞いてみるよ。」
「すぐにまた採ってこれるものか分からないじゃない!お父様のことだから、多分、凄く遠くとか、めちゃくちゃ強い魔獣がいるところまで出かけたのよ、きっと。」
「……それは、否定できない……。」
追加で入手できるか分からないのと、森の中の様子を見ると「呪いの毒」のことは、脳裏の光景以外でも心配ではあったから、メイリから差し出されたドームの果物をありがたく受け取ることにした。
とは言っても、ドームの果物をどう使ったら良いかは分からないんだけど。
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