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第1章
第98話 厨房にて
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「おお、ローレン坊ちゃん、クリス坊ちゃん。お帰りなさい。」
ジャックは本館の厨房に居た。兄上の読みが当たった。
ジャックは包丁を持つ手を止めて、僕と兄上に笑顔を向けてくれた。
「ただいま、ジャック。俺は今日の夕食は、クリスとメイリと一緒に離れで食べるからそっちで用意してくれる?」
「畏まりました。離れでお召し上がりになるよう、お食事をお運びしますね。」
「頼む。……あと、鹿魔獣の肉って今日はメニューに出る?」
「坊ちゃん達が今日狩ってきて下さったやつですね。ローストにしてお出しする予定です。」
「「やった!」」
思わず、兄上と万歳をした。声を揃ってしまう。
鹿魔獣系のお肉って美味しいんだよね!ローストとか最高だ!
「鹿魔獣一頭分のお肉はかなり量がありますので、お客様にもお出しする予定です。問題ないですか?」
「もちろん!」
ジャックに確認されて兄上が即答で頷いた。
「そう言えば、昼に帰って肉を渡した時バタバタしていて、来客に出すのかどうか言ってなかったな。」
「はい。勝手ながら肉の量を見て判断させていただきました。」
「良かった。殿下達の狩りの訓練の獲物の方はまだ食糧向きじゃなかったから。」
「肉もですが食糧の備蓄は余裕がございますよ。昨日坊ちゃん達が狩ってきてくださったものや、旦那様が持ち帰ってきてくださったものもございますし、
滞在されている騎士の方達からの差し入れでいただいたものもございます。」
「それなら安心だね!」
町の宿とかに滞在している騎士の人も多いみたいだけど、殿下や辺境伯様達に同行している使用人や一部の騎士の人達は本館に滞在している。
人数分だけで考えても普段の何倍もの食事量だ。辺境伯様や騎士の人達は身体が大きいから沢山食べそうだよね。
狩ってきた魔獣の肉を腐りにくいように氷漬けにしたけど、長期間保存しておけるほどは残っていないかもしれない。
そうなるとまた鹿魔獣を狩ってきたほうが良いかな?明日も狩りにに行けるかな。鹿魔獣は美味しいからお肉は沢山あっても良いよね。
兄上と僕の収納に一頭ずつ入れたら二頭持ち帰れるかな。
沼地の件で、森は立ち入り禁止とか言われないと良いんだけど。
明日の狩りに想いを馳せていたら、ジャックがお皿に切ったリンゴを乗せて出してくれた。
「まだ夕食まではお時間がありますから。」
「わあい。ありがとう!」
ちょうどリンゴのソースを作っていたところなんだって。鹿魔獣のローストにリンゴのソースをかけて出してくれるらしい。お洒落だね!
皿からリンゴを手掴みで摘もうとして、屋敷に戻ってきてからまだ手を洗っていなかったことを思い出す。母様に注意されているのに。
急いでうがいと手洗いをして、早速リンゴをいただいた。酸っぱいけど美味しい!
シャクシャクとリンゴを齧っていたら、ふと厨房の隅に積み重なっている木箱が目についた。
「……あの木箱の中は何が入っているの?」
「滞在中の騎士様達から差し入れでいただいたものですね。少し前にお届けいただいたのですが、まだよく見ていなくて……。」
「差し入れ……。」
「クリス、どうかしたのか?」
僕がじっと木箱を見つめていたら、兄上が僕の肩越しに視線の先を追った。
積み重なっている木箱の一つがちょっと気になったんだ。
ジャックは本館の厨房に居た。兄上の読みが当たった。
ジャックは包丁を持つ手を止めて、僕と兄上に笑顔を向けてくれた。
「ただいま、ジャック。俺は今日の夕食は、クリスとメイリと一緒に離れで食べるからそっちで用意してくれる?」
「畏まりました。離れでお召し上がりになるよう、お食事をお運びしますね。」
「頼む。……あと、鹿魔獣の肉って今日はメニューに出る?」
「坊ちゃん達が今日狩ってきて下さったやつですね。ローストにしてお出しする予定です。」
「「やった!」」
思わず、兄上と万歳をした。声を揃ってしまう。
鹿魔獣系のお肉って美味しいんだよね!ローストとか最高だ!
「鹿魔獣一頭分のお肉はかなり量がありますので、お客様にもお出しする予定です。問題ないですか?」
「もちろん!」
ジャックに確認されて兄上が即答で頷いた。
「そう言えば、昼に帰って肉を渡した時バタバタしていて、来客に出すのかどうか言ってなかったな。」
「はい。勝手ながら肉の量を見て判断させていただきました。」
「良かった。殿下達の狩りの訓練の獲物の方はまだ食糧向きじゃなかったから。」
「肉もですが食糧の備蓄は余裕がございますよ。昨日坊ちゃん達が狩ってきてくださったものや、旦那様が持ち帰ってきてくださったものもございますし、
滞在されている騎士の方達からの差し入れでいただいたものもございます。」
「それなら安心だね!」
町の宿とかに滞在している騎士の人も多いみたいだけど、殿下や辺境伯様達に同行している使用人や一部の騎士の人達は本館に滞在している。
人数分だけで考えても普段の何倍もの食事量だ。辺境伯様や騎士の人達は身体が大きいから沢山食べそうだよね。
狩ってきた魔獣の肉を腐りにくいように氷漬けにしたけど、長期間保存しておけるほどは残っていないかもしれない。
そうなるとまた鹿魔獣を狩ってきたほうが良いかな?明日も狩りにに行けるかな。鹿魔獣は美味しいからお肉は沢山あっても良いよね。
兄上と僕の収納に一頭ずつ入れたら二頭持ち帰れるかな。
沼地の件で、森は立ち入り禁止とか言われないと良いんだけど。
明日の狩りに想いを馳せていたら、ジャックがお皿に切ったリンゴを乗せて出してくれた。
「まだ夕食まではお時間がありますから。」
「わあい。ありがとう!」
ちょうどリンゴのソースを作っていたところなんだって。鹿魔獣のローストにリンゴのソースをかけて出してくれるらしい。お洒落だね!
皿からリンゴを手掴みで摘もうとして、屋敷に戻ってきてからまだ手を洗っていなかったことを思い出す。母様に注意されているのに。
急いでうがいと手洗いをして、早速リンゴをいただいた。酸っぱいけど美味しい!
シャクシャクとリンゴを齧っていたら、ふと厨房の隅に積み重なっている木箱が目についた。
「……あの木箱の中は何が入っているの?」
「滞在中の騎士様達から差し入れでいただいたものですね。少し前にお届けいただいたのですが、まだよく見ていなくて……。」
「差し入れ……。」
「クリス、どうかしたのか?」
僕がじっと木箱を見つめていたら、兄上が僕の肩越しに視線の先を追った。
積み重なっている木箱の一つがちょっと気になったんだ。
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