99 / 334
第1章
第99話 木箱の中身
しおりを挟む
使い古した見慣れた感じの木箱がいくつも積み重なっている。普段より厨房に食糧が沢山あるというだけで、ぱっと見は別におかしな様子はない。それでも何となく気になってしまってじっと木箱を眺めていたら、頭の中に文字が浮かんできた。
《木箱》
《ハイイロローダケの胞子、毒》
「毒?」
「「え?」」
毒鑑定で毒の判定が出ちゃった。思わず声に出してしまったら兄上とジャックがギョッとした。僕の目線を追って木箱に近づいていった。僕も兄様達に続いて木箱に近寄理、四段積み重なった木箱の下から二段目を指差した。
「これ、木箱の外側に毒キノコの胞子がついていたみたい。」
「毒キノコ?木箱の中は?」
兄上とジャックが上に乗っている木箱を素早く取り除いていく。
問題の木箱の蓋を開けるとふわんと煙のように嫌な空気が出た気がした。恐る恐る木箱の中を覗き込むと、色々な種類のキノコが詰まっている。その中に灰色のキノコが混じっていた。沼地の近くで見たことがある灰色の毒キノコだ。
「この灰色のやつは毒キノコだよ。」
僕が木箱の中の灰色キノコを指さすと、ジャックは恐る恐ると言った様子で木箱の中を見た。
「おおお……。間違って採取してきちゃったんですかねぇ。危ないところでした。」
「この木箱の中のキノコは使わない方が良いな……。」
同じ木箱に入っているキノコには、灰色キノコの胞子がくっついたりしている。木箱の外にも奉仕が付着して居るくらいだからね。
木箱の蓋をしっかりと閉めて他の木箱から隔離させるように厨房の隅に移動させた。間違って誰か使ったりしないように貼り紙でもした方が良いんじゃないかって思ったりもしたけど、そもそも厨房で調理するのはジャックだけだ。
マーサも厨房を手伝っているけど、マーサが手伝って居るのは盛り付けとか配膳とかだ。
「他の木箱は大丈夫かな。」
「見てみよう。」
他の木箱に入っている食材は大丈夫なのか念の為に確認しておく。蓋を開けて一つずつ見てみたけど毒の判定が出るものはなかった。他の木箱には野菜やら果物やらが入っていてキノコ自体も他の木箱には入っていなかった。
「キノコが入っていたのはこの箱だけだったようだね。」
「……知らないキノコは基本的に使いませんけど。もしもうっかり使ってしまっていたらと思うと怖いですねぇ。」
一通り全部の木箱のチェックが終わったところで、ジャックが大きく安堵の息を吐いた。手拭き布で額の汗を拭い出す。
「お料理として出していたらと思うとゾッとしますね……。」
「未然に防げて良かったけど……、これは誰が持ってきたのかわかる?」
「いえ……。何人かの騎士の方達が運んでこられたと思うのですが、厨房の外に積み重ねて行かれたので顔を見ていない方がほとんどでした。申し訳ございません。」
兄上は腕組みをして少し難しい顔をした後、青ざめているジャックに微笑んでみせた。
「ジャックは悪くないよ。まだ何も起きてないし。
キノコは毒キノコかどうかの判断が難しいものだから、差し入れにキノコは持ってこないように伝えておくよ!」
兄上がジャックを励ますように言ったタイミングでマーサが夕食の配膳の確認にやってきた。
マーサがジャックと話をしている間に兄上と僕は母様に報告に行くことにした。
《木箱》
《ハイイロローダケの胞子、毒》
「毒?」
「「え?」」
毒鑑定で毒の判定が出ちゃった。思わず声に出してしまったら兄上とジャックがギョッとした。僕の目線を追って木箱に近づいていった。僕も兄様達に続いて木箱に近寄理、四段積み重なった木箱の下から二段目を指差した。
「これ、木箱の外側に毒キノコの胞子がついていたみたい。」
「毒キノコ?木箱の中は?」
兄上とジャックが上に乗っている木箱を素早く取り除いていく。
問題の木箱の蓋を開けるとふわんと煙のように嫌な空気が出た気がした。恐る恐る木箱の中を覗き込むと、色々な種類のキノコが詰まっている。その中に灰色のキノコが混じっていた。沼地の近くで見たことがある灰色の毒キノコだ。
「この灰色のやつは毒キノコだよ。」
僕が木箱の中の灰色キノコを指さすと、ジャックは恐る恐ると言った様子で木箱の中を見た。
「おおお……。間違って採取してきちゃったんですかねぇ。危ないところでした。」
「この木箱の中のキノコは使わない方が良いな……。」
同じ木箱に入っているキノコには、灰色キノコの胞子がくっついたりしている。木箱の外にも奉仕が付着して居るくらいだからね。
木箱の蓋をしっかりと閉めて他の木箱から隔離させるように厨房の隅に移動させた。間違って誰か使ったりしないように貼り紙でもした方が良いんじゃないかって思ったりもしたけど、そもそも厨房で調理するのはジャックだけだ。
マーサも厨房を手伝っているけど、マーサが手伝って居るのは盛り付けとか配膳とかだ。
「他の木箱は大丈夫かな。」
「見てみよう。」
他の木箱に入っている食材は大丈夫なのか念の為に確認しておく。蓋を開けて一つずつ見てみたけど毒の判定が出るものはなかった。他の木箱には野菜やら果物やらが入っていてキノコ自体も他の木箱には入っていなかった。
「キノコが入っていたのはこの箱だけだったようだね。」
「……知らないキノコは基本的に使いませんけど。もしもうっかり使ってしまっていたらと思うと怖いですねぇ。」
一通り全部の木箱のチェックが終わったところで、ジャックが大きく安堵の息を吐いた。手拭き布で額の汗を拭い出す。
「お料理として出していたらと思うとゾッとしますね……。」
「未然に防げて良かったけど……、これは誰が持ってきたのかわかる?」
「いえ……。何人かの騎士の方達が運んでこられたと思うのですが、厨房の外に積み重ねて行かれたので顔を見ていない方がほとんどでした。申し訳ございません。」
兄上は腕組みをして少し難しい顔をした後、青ざめているジャックに微笑んでみせた。
「ジャックは悪くないよ。まだ何も起きてないし。
キノコは毒キノコかどうかの判断が難しいものだから、差し入れにキノコは持ってこないように伝えておくよ!」
兄上がジャックを励ますように言ったタイミングでマーサが夕食の配膳の確認にやってきた。
マーサがジャックと話をしている間に兄上と僕は母様に報告に行くことにした。
381
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる