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第1章
第100話 敢えて蚊帳の外
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騎士達から厨房への差し入れに毒キノコが混じっていた件について母様はすぐにゴーシュさんを呼び出したようだ。
母様とゴーシュさんの話し合いには参加させてもらえなかった。
兄上と僕は離れに戻ってなさいって言われてしまったんだ。
「……兄上一人だったら、きっと話に参加させてもらえたよねぇ……」
離れに向かって歩きながら兄上を見上げた。兄上はちょっと考えている様子で目を細めて僕を見た。
「どうかなぁ?微妙な話題だから」
「微妙なの?」
「毒だぞ。一歩間違ったら、犠牲者が出たかもしれないんだからな。……クリスのおかげで未然に防げたよ」
「えへ。僕、役に立った?」
「ああ」
「えへへ」
役に立ったって言われると嬉しくなって頬が緩んだ。ニヨニヨしてたら兄上がポンと僕の頭の上に手を乗せて目を細め厳しめの表情を浮かべた。
「ああ……、母上とゴーシュさんとの話し合いの時、クリスが同席してたら毒鑑定のこととか話しちゃいそうだな。同席しなくて良かったよ」
「あー!……毒鑑定で見たって言っちゃってたかも」
そうだよね。どうやって毒だって気が付いたのかなんて聞かれたら、木箱に毒がついていたのが見えたって言っちゃっていた気がする。
危なかった!
「母様は僕が毒鑑定のこと喋らないように、離れに戻れって言ったのか……」
「うーん。それもあるかもしれないけど……。話の内容が毒のことだからだと思うよ。
もしもわざと持ち込まれたなら大事件じゃん」
「ええ!?わざとなの?何で!?」
僕はびっくりしてしまって立ち止まった。僕の声が大きくなったからか兄上は「シーッ」と人差し指を口に当てた。
「声を抑えて……。いや、離れで話そう。急いで戻るよ!」
キョロキョロと周囲を見回した後、兄上は僕の手首を掴んで走り出した。速い!
慌てて足に魔力を集める。チョンっと足の先が床に着いたら、魔力を爪先から噴射するみたいなイメージで床を蹴る。
ふわっと体が浮いた。兄上が引っ張ってくれるから一気に移動する。
「わあ!飛んでるみたい!」
「ちょっ……遊びじゃないぞ……、まあ、いいか」
兄上はチラリとだけ僕の方に顔を動かしたけど、僕の手を掴んだまま離れに向かって駆けた。
途中で風魔法も発動させて身体を押し上げたら、なんと離れの入り口まで一歩も足をつかないで済んだんだ。凄くない?
「あー、楽しかった!」
「クリスはお気楽だなぁ……」
兄上はちょっと呆れたような表情を浮かべた。
離れの玄関から入って扉を閉めた後、兄上はふぅと大きく息を吐いた。兄上の纏っている気配が急に柔らかくなるのがわかった。
今まで何か気を張っていたみたいだ。
「兄上、お疲れ様」
「うん?クリスも、お疲れさん」
僕が兄上に労いの言葉を言うと、兄上は口の端に笑みを浮かべた。ちょっと身を屈めて僕の目を覗き込んだ。
母様とゴーシュさんの話し合いには参加させてもらえなかった。
兄上と僕は離れに戻ってなさいって言われてしまったんだ。
「……兄上一人だったら、きっと話に参加させてもらえたよねぇ……」
離れに向かって歩きながら兄上を見上げた。兄上はちょっと考えている様子で目を細めて僕を見た。
「どうかなぁ?微妙な話題だから」
「微妙なの?」
「毒だぞ。一歩間違ったら、犠牲者が出たかもしれないんだからな。……クリスのおかげで未然に防げたよ」
「えへ。僕、役に立った?」
「ああ」
「えへへ」
役に立ったって言われると嬉しくなって頬が緩んだ。ニヨニヨしてたら兄上がポンと僕の頭の上に手を乗せて目を細め厳しめの表情を浮かべた。
「ああ……、母上とゴーシュさんとの話し合いの時、クリスが同席してたら毒鑑定のこととか話しちゃいそうだな。同席しなくて良かったよ」
「あー!……毒鑑定で見たって言っちゃってたかも」
そうだよね。どうやって毒だって気が付いたのかなんて聞かれたら、木箱に毒がついていたのが見えたって言っちゃっていた気がする。
危なかった!
「母様は僕が毒鑑定のこと喋らないように、離れに戻れって言ったのか……」
「うーん。それもあるかもしれないけど……。話の内容が毒のことだからだと思うよ。
もしもわざと持ち込まれたなら大事件じゃん」
「ええ!?わざとなの?何で!?」
僕はびっくりしてしまって立ち止まった。僕の声が大きくなったからか兄上は「シーッ」と人差し指を口に当てた。
「声を抑えて……。いや、離れで話そう。急いで戻るよ!」
キョロキョロと周囲を見回した後、兄上は僕の手首を掴んで走り出した。速い!
慌てて足に魔力を集める。チョンっと足の先が床に着いたら、魔力を爪先から噴射するみたいなイメージで床を蹴る。
ふわっと体が浮いた。兄上が引っ張ってくれるから一気に移動する。
「わあ!飛んでるみたい!」
「ちょっ……遊びじゃないぞ……、まあ、いいか」
兄上はチラリとだけ僕の方に顔を動かしたけど、僕の手を掴んだまま離れに向かって駆けた。
途中で風魔法も発動させて身体を押し上げたら、なんと離れの入り口まで一歩も足をつかないで済んだんだ。凄くない?
「あー、楽しかった!」
「クリスはお気楽だなぁ……」
兄上はちょっと呆れたような表情を浮かべた。
離れの玄関から入って扉を閉めた後、兄上はふぅと大きく息を吐いた。兄上の纏っている気配が急に柔らかくなるのがわかった。
今まで何か気を張っていたみたいだ。
「兄上、お疲れ様」
「うん?クリスも、お疲れさん」
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