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第1章
第101話 密かな自主練
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兄上はチラリと一瞬だけ扉に目線を動かした。外に誰かいないか気にしているみたいだ。
「……さっきの話の続きだ。毒って色々やばいと思うんだ。
あの毒キノコは間違って紛れ込んだのかもしれない。でも、もしかしたら誰かがわざと入れていたかもしれない……」
「え?わざとなの?」
兄上がちょっと怖い話を始めた。近くに人がいないか気にするはずだ。一応周辺の気配を探ってみたけど、僕と兄上以外では二階にメイリの魔力を感じるくらいだ。離れの周辺に誰かいる様子はなかった。
「わざとかどうかはわからない。間違って紛れ込んだんだと思いたいけどな。
……本当のところがどうなのかは、わからないけど。『わざとやったんだ』って話になったら大騒ぎになる。
犯人探しってことにもなるかもしれない。話に参加してたら巻き込まれるかもしれないだろ?」
「巻き込まれるって?」
「何度もしつこく話を訊かれるかもしれないし、『疑った』って逆恨みされるかもしれないとかだな、考えられるのは」
「うーん……面倒そうだね……」
「だろう?まあ、差し入れに毒キノコが入っていたのは単純に間違っただけかもしれないけどな。今は母上に任せておこう」
「わかった!」
僕が頷くと兄上は「ふう」とちょっと安心したみたいに息を吐いてから大きく伸びをした。
「つっかれたなぁ!シャワー浴びて着替えておこうぜ」
「うん!」
朝からあちこち出かけていたんだってことを思い出した。
汗だくになったりはしていないけど、森にも荒地にも行ったからなぁ。
シャワーと聞いて水魔法で温かい水を出す練習をしようかなと思いついたので、急いで部屋に戻って着替えとタオルを取りに行く。「収納」がしっかり使えるようになったら、着替えやタオルは「収納」に常備しておきたいなぁ。
張り切ってシャワー室に入ったけど、シャワー室のタンクの水は使わない。魔法でシャワーを浴びてみようと思うんだ。でもいきなり掌から温水を出して浴びようとすると失敗しちゃいそうだ。あっつう!ってなっても大変だ。水魔法で適度な温度の温水を出してみるところから始める。
木桶の上に右手を翳して、温めの水が流れ出るのをイメージする。
チョロチョロと掌から水が出てくる。
左手を木桶の中に突っ込んで水を触ってみて水温を確認する。
「温め……、あ、冷たくなった!」
温めの水が出てきて、順調!って思ったらすぐに冷たい水に変わった。
最初は安定しなかったけど何度か試したら、なんとか温い温度の水を出し続けることが出来てきた。
「うーむ……」
温めの水から少しずつ温度を上げるように意識をしていく。温度が上がった!と思ったらまた冷たい水に戻った。
多分、意識が逸れちゃうと冷たい水に戻っちゃうんだと思う。
集中を切らさないように気をつけながらちょうど良さそうな温度のお湯を出していく。
だんだんとお湯を出す感覚はわかって来た。でも身体を洗いながらだと気が逸れてしまって中々温度が安定しなさそうだ。
練習している間に木桶にお湯が溜まったので、シャワーじゃなくて木桶のお湯で身体を洗うことになった。理想は頭の上あたりからちょうど良いくらいのお湯が降ってくるって感じなんだけど、まだ道のりは遠そうだ。
身体を洗い終えた後、脱衣所で魔石水を飲んで魔力を補給する
魔石水をゴクゴクと飲み込み、ふわっと魔力が少し回復した感じがしたところで「収納」の練習をしたかったことを思い出した。
「しまった。温水を出すのに魔力を使うより、『収納』を試せば良かったよ……」
「収納」はどのくらい魔力を消費しちゃうかがわからないんだよね。
温水を出して魔力を多少使っちゃったけど、寝る前にちょっと「収納」を試すくらいは大丈夫かな。
今日は色々なことがあって「収納」を試すのをうっかり忘れてはいたけど、「収納」はずっと欲しかったスキルだから、ちゃんと使いこなせるようになりたいよね。
「……さっきの話の続きだ。毒って色々やばいと思うんだ。
あの毒キノコは間違って紛れ込んだのかもしれない。でも、もしかしたら誰かがわざと入れていたかもしれない……」
「え?わざとなの?」
兄上がちょっと怖い話を始めた。近くに人がいないか気にするはずだ。一応周辺の気配を探ってみたけど、僕と兄上以外では二階にメイリの魔力を感じるくらいだ。離れの周辺に誰かいる様子はなかった。
「わざとかどうかはわからない。間違って紛れ込んだんだと思いたいけどな。
……本当のところがどうなのかは、わからないけど。『わざとやったんだ』って話になったら大騒ぎになる。
犯人探しってことにもなるかもしれない。話に参加してたら巻き込まれるかもしれないだろ?」
「巻き込まれるって?」
「何度もしつこく話を訊かれるかもしれないし、『疑った』って逆恨みされるかもしれないとかだな、考えられるのは」
「うーん……面倒そうだね……」
「だろう?まあ、差し入れに毒キノコが入っていたのは単純に間違っただけかもしれないけどな。今は母上に任せておこう」
「わかった!」
僕が頷くと兄上は「ふう」とちょっと安心したみたいに息を吐いてから大きく伸びをした。
「つっかれたなぁ!シャワー浴びて着替えておこうぜ」
「うん!」
朝からあちこち出かけていたんだってことを思い出した。
汗だくになったりはしていないけど、森にも荒地にも行ったからなぁ。
シャワーと聞いて水魔法で温かい水を出す練習をしようかなと思いついたので、急いで部屋に戻って着替えとタオルを取りに行く。「収納」がしっかり使えるようになったら、着替えやタオルは「収納」に常備しておきたいなぁ。
張り切ってシャワー室に入ったけど、シャワー室のタンクの水は使わない。魔法でシャワーを浴びてみようと思うんだ。でもいきなり掌から温水を出して浴びようとすると失敗しちゃいそうだ。あっつう!ってなっても大変だ。水魔法で適度な温度の温水を出してみるところから始める。
木桶の上に右手を翳して、温めの水が流れ出るのをイメージする。
チョロチョロと掌から水が出てくる。
左手を木桶の中に突っ込んで水を触ってみて水温を確認する。
「温め……、あ、冷たくなった!」
温めの水が出てきて、順調!って思ったらすぐに冷たい水に変わった。
最初は安定しなかったけど何度か試したら、なんとか温い温度の水を出し続けることが出来てきた。
「うーむ……」
温めの水から少しずつ温度を上げるように意識をしていく。温度が上がった!と思ったらまた冷たい水に戻った。
多分、意識が逸れちゃうと冷たい水に戻っちゃうんだと思う。
集中を切らさないように気をつけながらちょうど良さそうな温度のお湯を出していく。
だんだんとお湯を出す感覚はわかって来た。でも身体を洗いながらだと気が逸れてしまって中々温度が安定しなさそうだ。
練習している間に木桶にお湯が溜まったので、シャワーじゃなくて木桶のお湯で身体を洗うことになった。理想は頭の上あたりからちょうど良いくらいのお湯が降ってくるって感じなんだけど、まだ道のりは遠そうだ。
身体を洗い終えた後、脱衣所で魔石水を飲んで魔力を補給する
魔石水をゴクゴクと飲み込み、ふわっと魔力が少し回復した感じがしたところで「収納」の練習をしたかったことを思い出した。
「しまった。温水を出すのに魔力を使うより、『収納』を試せば良かったよ……」
「収納」はどのくらい魔力を消費しちゃうかがわからないんだよね。
温水を出して魔力を多少使っちゃったけど、寝る前にちょっと「収納」を試すくらいは大丈夫かな。
今日は色々なことがあって「収納」を試すのをうっかり忘れてはいたけど、「収納」はずっと欲しかったスキルだから、ちゃんと使いこなせるようになりたいよね。
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