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第1章
第122話 王子とヒロインの出会い?
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「あ!昨日の夜、また夢を見たの。森から帰ってからで良いから絵を描いて欲しいの」
急に思い出したらしくメイリがパッと顔をあげた。絵のリクエストだ。今描いてって言われたら時間がないけど、出かけて帰ってからだったらもちろん良いと思って僕は頷いた。
「王子様とお姫様?」
「うん!王子様とヒロインの出会いと再会!」
「ヒロイン?」
「ミラたんよ」
「ミラたんって……。もしかしてピンクの?同じ人達ってこと?王子様も?」
「そうよ。王子様はお忍びで町に出てミラたんが落としたスカーフを拾うの。そして、時間が経ってから再会するのよ!」
キラキラと目を輝かせたメイリの表情を見ているのに脳裏では別の光景が浮かび上がってきた。
ガラガラと荒々しい音を立てて走る荷馬車。その荷馬車の車輪が路面の水溜りの水を弾き飛ばし、歩道を歩いていた少女のスカートに泥水が引っかかる。
少女が小さく声を上げて、半歩後退した瞬間、突風が吹いて少女のスカーフを飛ばした。
風に舞い上がるスカーフ。揺れるピンク色のおさげ髪。
メイリの話と被る。ピンク髪の女の子だ。
ピンク色の髪の少女の服装は肘にツギハギの跡があり、袖やスカートの裾は擦り切れかけている。
少女が慌てて風に舞うスカーフを追いかける。
スカーフが一度地面に落ち、また風に吹き飛ばされそうになったところを、誰かが拾い上げた。
身を屈めてスカーフを拾い上げた人物が、被っていたフードがずれるのを手で押さえた。
フードからちらりと覗く金髪。青い瞳。左の目の下にほくろ。ネイサン殿下だ。
スカーフは少し色褪せているけれど艶があり、角に花をモチーフにした紋章の刺繍が施されている。
ネイサン殿下は不思議そうにその刺繍をじっと見つめた。
ーーー返して!
ーーー……これは……君の?
ーーーそうよ!返してってば!
ーーーどうして、これは君のなの?
ーーーいいから返してよ!
ピンク髪の少女はネイサン殿下に飛びつきそうな勢いだ。ネイサン殿下はスカーフをヒラヒラとさせながらしばらく考えた様子で口を開いた。
ーーーふーん……。まあいいや。はい、どうぞ
ーーー……あ、ありがとう……。
ネイサン殿下がスカーフを差し出して微笑むと、ピンク髪の少女は急に勢いを無くして頬を赤らめた。そしてハッとスカートの裾に目を向け、泥が跳ねた裾を隠すようにスカートを押さえた。
無言でぺこっと勢いよくお辞儀をして、バタバタと駆けていく。
遠ざかっていくピンク色のおさげ髪をネイサン殿下は少しの間眺めていた。
メイリが言うようにスカーフを拾って渡していた。これが「王子様とヒロインの出会い」ってこと?再会もあるのかな。
脳裏の光景が過ぎ去った後、目の前には首を傾げて不思議そうな顔をしているメイリの姿が見えた。
「クリス兄様?帰ったら絵を描いてくれる?」
「うん。わかった。帰ったらね」
「やった!」
僕が絵を描く約束をしたらメイリがとても嬉しそうに笑った。
脳裏に光景が浮かび上がってきたしメイリに期待されているし、印象がはっきり記憶にあるうちに絵に描いておきたい気持ちになってしまう。
森にも行きたいから、絵を描くのはやっぱり森から帰ってきてからが良いと思う。
忘れないように特徴とかよく覚えておこう。
急に思い出したらしくメイリがパッと顔をあげた。絵のリクエストだ。今描いてって言われたら時間がないけど、出かけて帰ってからだったらもちろん良いと思って僕は頷いた。
「王子様とお姫様?」
「うん!王子様とヒロインの出会いと再会!」
「ヒロイン?」
「ミラたんよ」
「ミラたんって……。もしかしてピンクの?同じ人達ってこと?王子様も?」
「そうよ。王子様はお忍びで町に出てミラたんが落としたスカーフを拾うの。そして、時間が経ってから再会するのよ!」
キラキラと目を輝かせたメイリの表情を見ているのに脳裏では別の光景が浮かび上がってきた。
ガラガラと荒々しい音を立てて走る荷馬車。その荷馬車の車輪が路面の水溜りの水を弾き飛ばし、歩道を歩いていた少女のスカートに泥水が引っかかる。
少女が小さく声を上げて、半歩後退した瞬間、突風が吹いて少女のスカーフを飛ばした。
風に舞い上がるスカーフ。揺れるピンク色のおさげ髪。
メイリの話と被る。ピンク髪の女の子だ。
ピンク色の髪の少女の服装は肘にツギハギの跡があり、袖やスカートの裾は擦り切れかけている。
少女が慌てて風に舞うスカーフを追いかける。
スカーフが一度地面に落ち、また風に吹き飛ばされそうになったところを、誰かが拾い上げた。
身を屈めてスカーフを拾い上げた人物が、被っていたフードがずれるのを手で押さえた。
フードからちらりと覗く金髪。青い瞳。左の目の下にほくろ。ネイサン殿下だ。
スカーフは少し色褪せているけれど艶があり、角に花をモチーフにした紋章の刺繍が施されている。
ネイサン殿下は不思議そうにその刺繍をじっと見つめた。
ーーー返して!
ーーー……これは……君の?
ーーーそうよ!返してってば!
ーーーどうして、これは君のなの?
ーーーいいから返してよ!
ピンク髪の少女はネイサン殿下に飛びつきそうな勢いだ。ネイサン殿下はスカーフをヒラヒラとさせながらしばらく考えた様子で口を開いた。
ーーーふーん……。まあいいや。はい、どうぞ
ーーー……あ、ありがとう……。
ネイサン殿下がスカーフを差し出して微笑むと、ピンク髪の少女は急に勢いを無くして頬を赤らめた。そしてハッとスカートの裾に目を向け、泥が跳ねた裾を隠すようにスカートを押さえた。
無言でぺこっと勢いよくお辞儀をして、バタバタと駆けていく。
遠ざかっていくピンク色のおさげ髪をネイサン殿下は少しの間眺めていた。
メイリが言うようにスカーフを拾って渡していた。これが「王子様とヒロインの出会い」ってこと?再会もあるのかな。
脳裏の光景が過ぎ去った後、目の前には首を傾げて不思議そうな顔をしているメイリの姿が見えた。
「クリス兄様?帰ったら絵を描いてくれる?」
「うん。わかった。帰ったらね」
「やった!」
僕が絵を描く約束をしたらメイリがとても嬉しそうに笑った。
脳裏に光景が浮かび上がってきたしメイリに期待されているし、印象がはっきり記憶にあるうちに絵に描いておきたい気持ちになってしまう。
森にも行きたいから、絵を描くのはやっぱり森から帰ってきてからが良いと思う。
忘れないように特徴とかよく覚えておこう。
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